タイトル

開講年度 開講学部等
2025 人文学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期 火9~10 講読 6.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1011310030 変体漢文(基礎)[Japanized Classical Chinese (Basic)] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
黒羽 亮太[KUROHA Ryota]
担当教員[ローマ字表記]
黒羽 亮太 [KUROHA Ryota]
特定科目区分   対象学生 人文学部正規生のみ 対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
 この授業では、日本古代~中世の貴族の日記をテキストとし、古写本の写真を参照しながら、古記録読解の基礎を学ぶ。
 この時代の古文書や古記録については、漢文のような文体で書かれているが、実はそれらの多くは純粋な漢文ではなく、日本語特有の変則的な要素を一部に含む文体で書かれている場合が多い。こうした文体が「変体漢文」と呼ばれている。例えば変体漢文では、文末に丁寧語としての「…候(そうろう)」が多く見られるが、正式な漢文には存在しない。また変体漢文では、助動詞「被」が受け身だけでなく尊敬の意でも用いられるが、正式な漢文では尊敬の意は通じない。こうした変体漢文特有の変則性については枚挙にいとまがないため、接する機会を重ねながら経験的に学んでゆく必要がある。
 いっぽう、日本の古代史・中世史分野において研究論文を執筆する際に、漢文や変体漢文の史料を引用する場合には、返り点を付けることによってみずからの解釈を示すことが求められる。従ってそのような分野の研究を志望する諸君にとっては、漢文訓読の方法に習熟しておくことが必要となる。この授業は、中学や高校の古典の授業で学んだ漢文訓読の方法を思い出しながら学び直す機会となるだろう。
 そもそも古文書・古記録の判読は、若いうちに経験するほうが効果的である。記憶力やイメージ把握能力が豊かで、高校で得られた古文や漢文の知識が衰えないうちに触れておくのがよい。最初は難しく思えるだろうが、活字よりも原本で読むほうがはるかにおもしろいし、かえって文章構造を把握しやすい場合さえある。将来的に活字史料を使って研究することになる場合にも、原本の姿をイメージできる経験があれば、活字を相対化する視点から発見が得られる可能性も広がる。
 そこでこの授業では、日本古代~中世の貴族の日記をテキストとし古写本を適宜参照しながら、漢文訓読の方法をおさらいしつつ、日本の変体漢文特有の変則性をも学ぶことによって、古記録読解の基礎を養ってほしい。
授業の到達目標
古代~中世の古記録を読解するために必要な知識を得る。既に示されている句読点の位置について、客観的に再検討できる。
写本関係等を踏まえながら、誤字の可能性を想定できる。史料の歴史的背景について関心を持つ。
授業計画
【全体】
 この授業では平安時代の貴族が記した日記を、翻刻されたテキスト(刊本)によって読み進めていく。テキストには院政期に活躍した藤原宗忠の日記『中右記』ををとりあげる。
 この授業は史料講読に準ずる内容のものであり、それと同様に受講者が分担して史料を検討し、それに基づく解読を行う。担当した箇所についてはレジメの作成が必須である。また、レジメの作成に当たっては当時の貴族の世界を詳しく知るために図面や系図、あるいは儀式書や法制書などからの引用も必要になろう。授業では受講生全員が、担当の有無に関わりなく、毎回十分な下調べをした上で出席することが必須で、しばしば指名して意見を求める。

 なお、担当箇所を決定する初回授業は必ず出席しなければならず、いかなる理由であれ、無断欠席した場合には以後の授業に参加することはできない(言うまでもないが、履修登録修正期間であることは欠席の理由にならない)。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 ガイダンス 担当者・担当箇所の決定 参考文献の閲読や報告に向けた準備(目安2時間)
第2回 古代・中世の古記録と写本・部類記 『中右記』の書誌情報 古代・中世の古記録と写本・部類記 『中右記』の書誌情報 参考文献の閲読や報告に向けた準備(目安2.5時間)
第3回 受講生による『中右記』の読解(1) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第4回 受講生による『中右記』の読解(2) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第5回 受講生による『中右記』の読解(3) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第6回 受講生による『中右記』の読解(4) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第7回 受講生による『中右記』の読解(5) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第8回 受講生による『中右記』の読解(6) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第9回 受講生による『中右記』の読解(7) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第10回 受講生による『中右記』の読解(8) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第11回 受講生による『中右記』の読解(9) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第12回 受講生による『中右記』の読解(10) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第13回 受講生による『中右記』の読解(11) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第14回 受講生による『中右記』の読解(12) 『中右記』輪読 前回の範囲の復習・今回の範囲の予習(目安2.5時間)、報告担当者はレジメの作成(目安15時間)
第15回 総まとめ ふりかえり 試験に向けた見直し(目安6時間)
第16回 期末試験 期末試験 試験に向けた見直し(目安7時間)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: 60%
成績評価法
平常点(史料読解報告)30%、期末試験70%
なお、報告をしなかった者、および3回以上欠席したものは、期末試験の如何に関わらず不可とする。
教科書にかかわる情報
教科書 書名 大日本古記録『中右記』 ISBN 400009730X
著者名 出版社 岩波書店 出版年
教科書 書名 増補史料大成『中右記』 ISBN 4653016879
著者名 出版社 臨川書店 出版年
教科書 書名 陽明叢書『中右記』 ISBN 4784205160
著者名 陽明文庫 出版社 思文閣出版 出版年
備考
テキスト(大日本古記録)はコピーを配布するので、購入の必要は無い。
参考書にかかわる情報
備考
授業中に紹介する。
メッセージ
君も一緒に楽しく『中右記』を読もう('ω')ノ
キーワード
持続可能な開発目標(SDGs)

関連科目
変体漢文(展開)
くずし字(基礎)
くずし字(展開)
履修条件
連絡先
初回授業・修学支援システム等で案内する。
オフィスアワー
教員が在室する任意の時間帯(多忙な時やオンラインによる授業・会議・研究発表等実施中は除く)

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