開講年度
開講学部等
2025
人文学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期
金5~6
演習
10.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1011310037
音声学[Phonetics]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
乾 秀行[INUI Hideyuki]
ー
担当教員[ローマ字表記]
乾 秀行 [INUI Hideyuki]
特定科目区分
対象学生
人文学部正規生のみ
対象年次
2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
音声学は言語学を研究をする上で必須の学問となります。語学教育では最初に文字と発音を覚えますので、言語にとって文字があることが当たり前のように思っている人もいるでしょう。しかし、人間の言語にとって音声が一次的であり、文字は実際の音声を抽象化して書き写したものにすぎず、あくまで二次的なものです。実際世界で話されている言語の多くは、文字がなく、話し手は今も音声のみで暮らしています。逆に、文字のみしか持たない言語(古典ギリシア語、ラテン語等)は、話し手がいないため、その生命を既に失っている死語であり、言語の最大の特徴である言語変化もしません。
さて言語研究をする際に、音声を軽視して手軽く文字化された資料から始めてしまったために、大切な事実を見逃して間違った結論を導いてしまうことがよくあります。生の音声データをしっかり観察する力を身につけることが言語研究をする上で一番大切なことで、すべてに優先されます。特に、文字を持たない言語や(日本の)方言を記述するフィールドワークでは、音声学の知識と技術は必要不可欠です。大学の言語学講座に必ず「音声学」という授業があるのはそのためです。
この授業は、英語や日本語といった特定言語を対象にした個別音声学(語学学習や言語教育が主目的)ではなく、一般音声学的立場で行いますので、ヒトが出せる言語音すべてが対象となります。皆さんが考えている以上に世界には珍しい言語音があります。授業では今までに聞いたことのない言語音に遭遇することもあるでしょう。しかしそれ以上に重要なことは、ちょっとした唇や舌の動きを変えるだけで全く別の音になってしまうという事実です。これが言語の音変化の源です。実際に口の中をいろいろに動かすことで、様々な言語音を作り出し、またそれを聞き取ることで個々の言語音の共通点と相違点を実感していくことになります。この方法は音声学の中では調音音声学という分野に該当します。授業では、ヒトの音声器官のしくみ、発声と調音のしくみ、具体的な子音や母音の発音の仕方を体感した後、ヒトの言語音として使われている子音・母音の聴き取り及び発音の練習をします。
なお、授業(実習)の性格上、受講者数は20名程度で行うことを想定しています。言語学分野に進む可能性のある人は、早めに(できれば2年生のうちに)受講してください。様々な言語音を作り出したり、聞き分けたりできるようになることは、純粋に楽しい行為であり、言語学の醍醐味です。同じ日本語でも、話されている地域(方言差)はもちろん、同じ人間でも前後の音環境や使われる場面によって、音声学的には実に様々な音を出しています。ものまね芸人はどうやって本人の声に似せているのか、はたまた外国人の話す日本語はなぜ変に聞こえるのか、子どもはどうやって言語音を聞き分けるようになるのか、音声学を身につけることで答えが見つかると思います。
授業の到達目標
一般音声学に関する基本的な知識を身につけ、言語音の発声方法を理解できる。音声から言語現象をみることで、文字による先入観にとらわれず客観的に考察できる。特定の個別言語に限らず、純粋にヒトが出せる言語音に関心を持つことができる。
授業計画
【全体】
教科書に沿って、ヒトの言語音の出し方を理解し、実践することを通して、子音と母音の聴き取り及び発音の練習をする。授業終了後は、その時間にやったことを振り返るために小レポートを修学支援システムを使って提出する。期末テストでは、国際音声字母表に出てくる子音や母音の聴き取りを行います。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
オリエンテーション
教科書、授業内容、授業の進め方、期末テスト、成績評価法の説明
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第2回
始動と調音
呼気と吸気、口腔内調音器官の形状と名称
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第3回
肺気流、声門気流、軟口蓋気流
声門および軟口蓋と口腔内調音器官の閉鎖と開放のコントロール
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第4回
無声と有声、鼻音
声門および口蓋垂のコントロール
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第5回
発声と気音
声帯振動と呼気のタイミング
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第6回
調音(閉鎖、摩擦、接近)
口蓋と舌の距離
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第7回
調音(ふるえ、たたき、はじき、側面)
舌のコントロール
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第8回
調音位置(前)
唇、歯、歯茎、後部歯茎、そり舌、硬口蓋による調音
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第9回
調音位置(後ろ)
軟口蓋、口蓋垂、咽頭、喉頭による調音
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第10回
同時調音と音連続
硬・軟口蓋化、唇音化、二重調音の仕組み
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第11回
第一次基本母音
前舌・後舌、開口度、円唇・非円唇の調整と聴き取り
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第12回
第二次基本母音
前舌・中舌・後舌、開口度、円唇・非円唇の調整と聴き取り
調音の確認、発声練習。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第13回
国際音声字母の聞き取り練習1
国際音声字母表の説明、聴き取り練習
聞き取り練習(ソフト利用)。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第14回
国際音声字母の聞き取り練習2
期末テストに向けての聴き取り練習
聞き取り練習(ソフト利用)。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第15回
国際音声字母の聞き取り練習3
期末テストに向けての聴き取り練習
聞き取り練習(ソフト利用)。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
第16回
期末テスト
聴き取りテスト
聞き取り練習(ソフト利用)。
授業計画に沿って、準備学習2時間と復習2時間を行う。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 20% B: --% C: 80% D: --%
成績評価法
授業内のレポート、学期末の筆記テストで評価します。
レポート 10%、学期末の筆記テスト 90%
教科書にかかわる情報
教科書
書名
実践音声学入門
ISBN
9784469213065
著者名
J.C.キャットフォード著 ; 竹林滋, 設楽優子, 内田洋子訳
出版社
大修館書店
出版年
2006
教科書
書名
A Course in Phonetics
ISBN
9781428231276
著者名
Peter Ladefoged, Keith Johnson
出版社
Heinle
出版年
2010
備考
教科書は受講確定後、受講する学生分を生協に依頼しますので、それから購入してください。
参考書にかかわる情報
参考書
書名
国際音声記号ガイドブック
ISBN
4469212776
著者名
国際音声学会編
出版社
大修館書店
出版年
2003
備考
メッセージ
音声聴き取りのためのソフトをノートパソコンに入れて使います。
キーワード
一般音声学、調音音声学、子音、母音、国際音声字母
持続可能な開発目標(SDGs)
(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する。
関連科目
言語学概論(音韻・形態・統語)、言語学概論(意味・類型・歴史)、言語類型論、言語と人間
履修条件
言語学分野に進む学生の専門基礎にあたる授業なので、分野が開設している分野入門「言語学概論(音韻・形態・統語)」あるいは「言語学概論(意味・類型・歴史)」を受講する、あるいは既に受講した人が対象の授業です。言語学分野に興味のある人が受講してください。
連絡先
inui@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
月火水の午後であれば、比較的対応可能です。相談・質問がある場合は、事前にメールでアポを取ってください。
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