開講年度
開講学部等
2025
人文学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期
木3~4
講義
1.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1011315011
言語学特殊講義(言語学)[Topics in Linguistics (Linguistics)]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
乾 秀行[INUI Hideyuki]
ー
担当教員[ローマ字表記]
乾 秀行 [INUI Hideyuki]
特定科目区分
対象学生
対象年次
3~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
言語類型論的観点で、主語をめぐる諸問題について講義します。主語は、生成文法に代表される理論研究おいては普遍文法に必須の文法カテゴリーとして位置づけられ、また記述研究においても便利な文法カテゴリーとして常用されます。しかし、その振る舞いは実は諸言語によりかなり異なっており、言語によっては主語という文法カテゴリーを立てることすら難しい場合があります。たとえば能格言語では、自動詞文の主語と同じ振る舞いをするのは他動詞文の目的語の方であり、主語や目的語という文法カテゴリーの普遍性が揺らぎます。さらに動格言語では、そもそも自動詞文と他動詞文という設定そのものが成り立たず、動詞の持つ動作性や意志性と状態性などの意味の違いによって自動詞に2種類の異なる主語が現れてしまいます。
そこで本講義では、まず、伝統的な西欧文法、インド文法、アラビア文法における文法記述には主語という文法カテゴリーが存在していなかったことを確認すると共に、歴史的にヨーロッパで主語という文法カテゴリーがどのような言語特徴のもと確立されていったかを概観します。次に言語類型論的観点から、主語を特徴づけている要素を検証し、諸言語の言語構造を記述する上で、主語が本当に必要かどうかについて考察します。具体的には、形態格としての名詞の格標示(無標の主格あるいは絶対格)とそれに関連する動詞人称標示、談話機能としての主題、意味役割としての動作主(あるいは主役)の3つのレベルを諸言語がどのように文法化しているかを観察します。最後に主語を用いなくても普遍的に通用する文法モデルを一緒に考えていきましょう。
授業の到達目標
言語類型論の基本的な用語に関する知識を身につけ、それによる研究内容を理解できる。世界言語全般の視点から言語現象を客観的に考察できる。世界諸言語に関して広く関心を持つことができる。
授業計画
【全体】
授業は毎回テキストに沿って、解説を行います。受講生は、その内容をまとめて修学支援システムを使って授業外レポートとして提出します。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
オリエンテーション
授業内容、授業の進め方、成績評価法の説明
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第2回
主語の定義
近現代のヨーロッパ文法における主語
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第3回
世界の伝統文法1
インド伝統文法(パーニニ)、ギリシア語伝統文法(ストア派)
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第4回
世界の伝統文法2
アラビア語伝統文法
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第5回
西欧中世の統語理論
モディストによる思弁文法
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第6回
中世ヨーロッパ諸語の語順のタイプと統語法
ヨーロッパにおける主語・目的語の確立
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第7回
標準ヨーロッパ(SAE)における主語の義務化
現代ヨーロッパ諸語における主語・目的語
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第8回
類型論的に見た主語現象1
主語の両面性:題目と主役、動詞人称標示と名詞格標示
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第9回
類型論的に見た主語現象2
役柄標示と名詞句階層、動格型の役柄標示、語順の文法化
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第10回
自動詞分裂(動格現象)
自動詞の意味内容、動格型言語と能動詞・所動詞
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第11回
主語のない文法モデル1
主語への様々なアプローチ、動詞と名詞
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第12回
主語のない文法モデル2
意味に基づく動詞分類
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第13回
主語のない文法モデル3
態:動詞の結合価とその変換
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第14回
主語のない文法モデル4
情報伝達(主題と焦点)
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第15回
予備
まとめ
次の授業の前までに授業内容のまとめを修学支援システムを用いて提出する。
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 10% C: --% D: --%
成績評価法
授業内のレポート、学期末の筆記テストで評価します。
レポート 20%、学期末のレポート 80%
教科書にかかわる情報
教科書
書名
世界言語への視座 歴史言語学と言語類型論
ISBN
4385362777
著者名
松本克己
出版社
三省堂
出版年
2006
備考
教科書は一回目の授業で受講者数を確認して、割引価格で注文します。
参考書にかかわる情報
備考
授業中に適宜提示。
メッセージ
毎回ノートパソコンを使います。
キーワード
言語類型論、主語、主格、絶対格、主題、動作主、有生性、意志性
持続可能な開発目標(SDGs)
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する。
関連科目
言語学演習(言語類型論)、言語学演習(フィールド言語学)、言語類型論、言語学卒論基礎演習、言語学卒論発展演習
履修条件
言語学分野の学生のための特殊講義です。
連絡先
inui@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
月火水の午後であれば、比較的対応可能です。相談・質問がある場合は、事前にメールでアポを取ってください。
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