タイトル

開講年度 開講学部等
2025 人文学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 木7~8 講読 5.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1012310019 変体漢文(展開)[Japanized Classical Chinese (Advanced)] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
真木 隆行[MAKI Takayuki]
担当教員[ローマ字表記]
真木 隆行 [MAKI Takayuki]
特定科目区分   対象学生 人文学部正規生のみ 対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
この授業では、日本古代~中世の古文書の写真版をテキストとし、古文書判読の基礎を学ぶ。
 日本の古代中世の古文書・古記録は、文体としては漢文のようだが、日本語特有の変則的な要素を一部に含む文体で書かれている場合が多い。こうした文体が「変体漢文」と呼ばれている。例えば、文末に丁寧語としての「…候(そうろう)」があったり、助動詞「被」が受け身だけでなく尊敬の意でも用いられていたりする。こうした変体漢文特有の変則性については枚挙にいとまがないため、接する機会を重ねながら経験的に学んでゆく必要がある。
 また、古文書・古記録の原本の書体としては、楷書体のほか、行書体・草書体など多様であり、字体については旧字体や異体字で書かれている場合が多い。これらの判読は、最初は難しく感じるだろうが、若いうちに経験するほうが効果的である。高校で得られた古文や漢文の知識が残っている上に、記憶力やイメージ把握能力が豊かだからである。なにしろ活字で読むよりも、原本のままで読むほうがはるかにおもしろいし、かえって文章構造を把握しやすい場合さえある。各自の研究では活字史料の利用が中心となる場合であっても、原本写真の判読経験は重要となる。原本の姿を想像できるようになり、活字を相対化できる視点が得られるからである。
 いっぽう、日本の古代史・中世史の分野では、漢文・変体漢文の史料を論文に引用する際に、返り点や読点を付けることが求められる。この授業では、中学や高校の古典の授業で学んだ漢文訓読の方法を思い出しながら、学び直す機会にしていただきたい。
授業の到達目標
古代~中世の古文書をある程度判読できる。古代~中世の古文書を判読するために必要な知識を得る。より深く、より興味深い内容解釈ができるよう努める。古文書の文意や歴史的背景にも関心を持つ。
前回分の復習をおこなう。古文書の釈文を記し、読点・返り点・送り仮名を適切に付すことができる。
授業計画
【全体】
古文書の釈文を手書き原稿に翻刻した上でプリント配布し、成果を報告する。この作業を受講者が分担する。検討後は各自で復習を重ね、検討済みの古文書をきちんと訓読できるようにする。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 授業のはじめに ガイタンス テキスト用古文書の選定3時間以上。
第2回 テキスト用古文書集の確定 受講者選定古文書の確認 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第3回 受講者選定古文書1通目および2通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第4回 受講者選定古文書3通目および4通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第5回 受講者選定古文書5通目および6通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第6回 受講者選定古文書7通目および8通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第7回 受講者選定古文書9通目および10通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第8回 受講者選定古文書11通目および12通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第9回 受講者選定古文書13通目および14通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第10回 受講者選定古文書15通目および16通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第11回 受講者選定古文書17通目および18通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第12回 受講者選定古文書19通目および20通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第13回 受講者選定古文書21通目および22通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第14回 受講者選定古文書23通目および24通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第15回 受講者選定古文書25通目および26通目の判読 古文書の判読と解説 事前事後の学修時間目安2時間。今回担当者は原稿作成8時間以上。
第16回 総括と試験 持ち込み不可の試験を実施 試験準備30時間以上。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: 50%
成績評価法
学期末の筆記テスト 100%
最終試験(持ち込み不可)において、3通の古文書を出題する。
そのうち1通目と2通目は、授業中に検討済みのものから出題する(1通目は楷書体に改めるのみ、2通目には更に読点・返り点・送り仮名もつける)。3通目は、未検討の古文書から出題する(楷書体に改めるのみ)。採点は減点方式とする。詳細は授業中に説明する。
欠席時間率30%以上、および報告担当の不履行は、原則として欠格とする。出欠確認における不正行為は、試験の不正行為に準じて対応する。
教科書にかかわる情報
備考
古文書の写真版コピー(A3版)を配布する。どのような古文書を読むかについては、東寺百合文書WEB(http://hyakugo.kyoto.jp/)の中からリクエストしていただく予定。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 『くずし字用例辞典』……①  ISBN 9784490103335
著者名 児玉幸多 出版社 東京堂出版 出版年 1993
参考書 書名 『くずし字解読辞典』……② ISBN 9784490103335
著者名 児玉幸多 出版社 東京堂出版 出版年 1993
参考書 書名 日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法 ISBN 9784642082730
著者名 苅米一志 出版社 吉川弘文館 出版年 2015
備考
①→児玉幸多『くずし字用例辞典』東京堂出版(税込み/6,264)、これは漢和辞書タイプのもので、厚めで情報量が多い。
②→児玉幸多『くずし字解読辞典』東京堂出版(税込み/2,376)、これは一筆目の形から検索できるものだが、薄めで情報量が少なめ。
いずれかの購入が望ましいが、①のほうをおすすめしておく。
このほか、日本史関係辞書(例えば『角川日本史辞典』など)や年表(例えば歴史学研究会編『新版日本史年表』岩波書店など)が手元にあれば卒論作成時にも便利(教員志望者は必携と言える)。
メッセージ
はじめは慣れないかもしれませんが、復習を繰り返せば、けっこう読めるようになるものですよ。
キーワード
持続可能な開発目標(SDGs)

関連科目
日本史入門、日本史概説、変体漢文、くずし字
履修条件
連絡先
修学支援システムにてお知らせします。人文学部棟3階の研究室へのご来訪にも対応します。
オフィスアワー
各曜日の放課後。このほかにも在室時に多忙でなければ対応可能。

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