開講年度
開講学部等
2025
人文学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期
木3~4
演習
10.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1012315028
言語学演習(音声学・音韻論)[Seminar in Linguistics (Phonetics/Phonology)]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
乾 秀行[INUI Hideyuki]
ー
担当教員[ローマ字表記]
乾 秀行 [INUI Hideyuki]
特定科目区分
対象学生
対象年次
3~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
言語ドキュメンテーション作成および談話分析を行う演習です。言語研究の多くは、通常文レベル以下で行われています。しかし、自然言語は談話の中で使われているもので、長いテキストの中にこそ、その言語の言語特徴が現れます。たとえば日本語はSOV語順で、仮に主語「が」目的語「を」で標示されると説明されていても、実際の発話では主語が出てこない文があったり、格助詞が現れなかったりして、いつも想定されるすべての形式が完全な形で出てきません。ある形式が現れないことにも理由があるはずです。本演習では、諸言語のモノローグあるいはダイヤローグの動画あるいは音声データを用いてドキュメンテーションを作成し、それを分析することを通して、そこに現れる言語特徴を記述する練習をします。
本演習のテーマのひとつは、音声記述を通して、普段見落としがちな特徴に注目することです。生の音声データには、文字化されない様々な音声特徴が含まれています。そこには、ネイティブが認識する「言語らしさ」があります。卑近な例を挙げれば、なぜ外国人の話す日本語が変に聞こえるのか、テレビ番組で演じられる役者の方言に違和感を感じるのか、そういった疑問を解決するためには、生の音声からスタートするしかありません。
もうひとつのテーマは統語的単位についてです。通常、文と文なら節、文の中なら句、句の中なら語といった単位が互いに何らかの統語的な関係にあります。ところで実際の談話において、それらの単位が音声的な単位として有効である根拠はあるのでしょうか。談話では前後に文が連なっていて、互いに結束しています。談話は情報伝達を目的にしているので、語順が入れ替わったり、節や句や語の省略があったり、ポーズ、特別なアクセントやイントネーションが現れたりします。たとえば話し手と聞き手にとっての主題は、Givón (1983)が指摘したように、主題への接近可能性において、語順の右転移・左転移、代名詞化、人称接辞化、アクセント付与、ゼロ照応など多様な振る舞いを見せます。本演習では、談話分析を通して、これまで当たり前だと思っていた語順・統語的単位に関して、生データを用いて実証できるか検証してみましょう。
なお、ドキュメンテーション作成には動画が扱え、グロス(形態素毎の意味や文法説明)がつけられるフリーソフトELANを使います。
授業の到達目標
1.言語記述の基礎的技術を身につける。2.ドキュメンテーション作成の技術を身につける。3.生データから言語特徴を取り出し、分析する力を身につける
授業計画
【全体】
1.言語の動画あるいは音声データをELANに取り込み、音声転写をし、形態素分析をしてグロスを付ける(ドキュメンテーション作成)。
2.ドキュメンテーションから形態素を拾い出して、異音、異形態の条件を探り、記述文法書と比較しながら、音韻および形態を考察する。
3.特定の言語特徴を選んで、談話における現れ方を分析し、発表する。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
オリエンテーション
ELANのインストール
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第2回
ELANの使い方1
動画ファイルと音声ファイルの作成
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第3回
ELANの使い方2
データのELANへの取り込み、音声波形の選択と再生
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第4回
ELANの使い方3
音声波形へのIPA表記とグロス作成
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第5回
音素を探す1
音声表記と音素表記、異音
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第6回
音素を探す2
音素と正書法
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第7回
形態素を探す1
形態素分析と異形態
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第8回
形態素を探す2
グロス作成
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第9回
パラダイムを作る1
語形成
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第10回
パラダイムを作る2
語形変化
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第11回
超分節素を探す1
語アクセントと文イントネーション
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第12回
超分節その役割
プロミネンスとポーズ
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第13回
談話分析1
主題と焦点
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第14回
談話分析2
主題への接近可能性(ゼロ照応、代名詞、定・不定、語順転移)
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
第15回
談話分析3
まとめ
授業計画に沿って、準備学習2時間と複数2時間を行う。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 30% B: 20% C: 20% D: 30%
成績評価法
プレゼンテーション 40%、学期末レポート 60%
教科書にかかわる情報
備考
授業中に適宜提示。
参考書にかかわる情報
参考書
書名
Topic continuity in discourse : a quantitative cross-language study
ISBN
9789027228635
著者名
edited by T. Givo?n
出版社
J. Benjamins Pub. Co.
出版年
1983
備考
授業中に適宜提示。
メッセージ
言語学分野の演習です。
キーワード
音声学、音韻論、音素、異音、形態素分析、異形態、アクセント、イントネーション、主題、焦点、談話分析
持続可能な開発目標(SDGs)
関連科目
音声学、言語と人間、言語学演習(フィールド言語学)、言語学概論(音韻・形態・統語)、言語学概論(意味・類型・歴史)
履修条件
音声はIPA表記しますので、音声学の技能が必須となります。
連絡先
inui@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
ゼミ用LINE使用。木金のゼミの授業前後。
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