タイトル

開講年度 開講学部等
2025 教育学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 金3~4 講義 10.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1022101302 アジアの持続可能な開発[Sustainable Development in Asia] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
森 朋也[MORI Tomoya]
担当教員[ローマ字表記]
森 朋也 [MORI Tomoya]
特定科目区分   対象学生   対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
本講義の目的は、アジアにおける持続可能な社会について様々な角度から検証を行い、いかにすれば経済開発と環境保護、および人々の自由と平和が両立する持続可能な発展が可能であるかを考えることである。また、そのような中で日本が果たす役割についても考える。

授業のグループワークでは、開発分野で用いられる、ロールプレイやダイヤモンドランキングなどを利用する。
授業の到達目標
アジアに関する専門的な知識を有し、その社会的な課題に対して問題解決の糸口を発見し、提案する技能を身につけることができる。
授業計画
【全体】
本講義は「持続可能な発展のための教育」に関する専門内容の理解し、かつ 「アジア」という地域性を理解するように構成されている。

まず、「開発」をめぐる歴史を振り返り、どのような文脈で「持続可能な開発」という考えが生まれたのかを理解する。つぎに、近代以降、いかにアジアにおいて国民国家が建設され、また、その中で「開発」がどのように捉えられてきたのかを学ぶ。その後、個別の学習内容に移っていく。最後に、具体的に授業準備として授業計画、指導案を作成して、模擬授業を実施する。


なお、それぞれの回の項目に書かれている括弧の中身は、国際理解教育の学習領域に該当する。

【学校での学習内容との関連】
*小中学校の英語や社会が該当すると考えられる。しかし、授業では特定の科目に特化するだけではなく、科目横断的な内容も多く含まれる。

【授業形態】
単独
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 持続可能な開発のための教育(ESD) 授業では「持続可能な開発/発展」という考え方、その歴史的背景を学ぶ。とりわけ、持続可能な開発のための教育(ESD)と持続可能な開発目標(SDGs)を中心に取り上げる。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間:1時間程間の目安)
(総時度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第2回 持続可能な開発/発展の理念と展開① 授業では「開発/発展」概念の変遷、また、それにもとづいて開発援助がいかに変容していったのかを学ぶ。その上で、「持続可能な開発/発展」は、どうあるべきかを考える。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第3回 持続可能な開発/発展の理念と展開② 授業では、予習で読んできた論文をもとに「開発」とは、「持続可能な開発」とは何かを議論する。とりわけ、グローバルとローカルという二つの視点から考える。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第4回 開発と文化①:近代化と開発

(多文化社会)
授業では「近代化=開発」と被開発援助国、あるいは地域の固有の価値観や文化の対立をめぐる問題を考えていく。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第5回 開発と文化②:国民国家と開発独裁

(多文化社会)
「国民国家」を建設する中で国家は「開発」を進めて「国民文化」を創出する。それは度々に「マイノリティ」の生活や文化、社会の「多様性」を無視して進められる。授業では東南アジアを事例に当該の問題について議論していく。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第6回 平和と自由①:平和と暴力

(地球的課題:平和と人権)
授業では「平和」と「暴力」の概念をガルトゥングの理論から考えていく。また、授業ではいくつかのアジアの地域における「暴力」について取り上げて「平和」とは何かを考えていく。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第7回 平和と自由②:自由と貧困

(地球的課題:平和と人権)
授業では、アマルティア・センの「権原」、「ケイパビリティ」論の視点から「自由」とは何か、「開発」とは何かを考えていく。授業では「飢餓」を事例に当該の問題を考えていく
授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第8回 アジアとのつながり①:あなたの○○は誰がつくったの

(グローバル社会)
自分が持っているモノがどこからやってきて、また誰によって作られているのかを考える。授業では、ワーク「あなたのスマートフォンは誰がつくったの」を通して、グローバル経済の構造上の課題を考える。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第9回 アジアとのつながり②:あなたの○○は誰がつくったの

(グローバル社会)
私たちの身の回りにある製品には多くの植物性油が含まれている。授業では、植物性油の一つであるパーム油を取り上げて、生産に携わっている人々の状況をロールプレイ「油ヤシ農園開発についての関係者会議」を通して考える。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第10回 環境と開発①:「自然」は誰のものか

(地球的課題:環境と開発)
「自然」は人間が生きていくために不可欠なものである。そのような「自然」は特定の誰かや国家によって独占・所有されるべきだろうか。講義ではワーク「ダム開発とメコン川流域住民」を行い、「自然」とは誰のものかについて考える。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第11回 環境と開発②:公害について考える

(地球的課題:環境と開発)
日本の公害問題をとりあげて、加害者の地域住民と河川とのつながり、そこに含まれる「暴力」の問題を再考する。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:4時間程度)
【予習】
・事前に講師が配布した文献・資料を読んで、指定された設問に回答しておくこと(3時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
第12回 環境と開発③:「当事者」を考える

(地球的課題:環境と開発)

これまでの内容を振り返りながら、「当事者」の語りから問題の本質を考えていく。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:6時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
【課題】
・レポート課題を作成すること(5時間)
第13回 模擬授業準備① 模擬授業の準備を行う。グループで授業のテーマを決めて授業計画を作成する。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:3時間程度)
【予習】
・グループで模擬授業のテーマを決め、授業計画について話し合っておくこと(2時間)。
【復習】
・授業を踏まえて授業計画を作成しておくこと(1時間程度)。
第14回 模擬授業準備② 引き続き、準備を行う。グループで指導案を作成する。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:3時間程度)
【予習】
・グループで指導案、板書計画を作成しておくこと(2時間程度)
【復習】
・授業で出てきたキーワードについて調べ、整理しておくこと(1時間程度)。
レポート課題の提出。
第15回 模擬授業① 学生が模擬授業を実施する。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:5時間程度)
【予習】
・模擬授業の準備を行うこと(4時間程度)
【復習】
・模擬授業の振り返りをしておくこと(1時間程度)。
第16回 模擬授業② 学生が模擬授業を実施する。 授業中に指示した次回までの学習(予習・復習)について(カッコ内は時間の目安)
(総時間:5時間程度)
【予習】
・模擬授業の準備を行うこと(4時間程度)
【復習】
・模擬授業の振り返りをしておくこと(1時間程度)。
授業計画、指導案、授業の振り返りを翌週に提出。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 25% B: 25% C: 10% D: 40%
成績評価法
成績は、宿題・レポート(50%)、模擬授業(40%)、授業内のディスカッションの参加・貢献度(10%)で評価する。
教科書にかかわる情報
備考
授業で配布したレジュメを用いる。参考文献は以下を参考。その他にも授業で関連文献を適宜提示する。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 スマホから考える世界・わたし・SDGs ISBN 9784877732318
著者名 出版社 開発教育協会 出版年 2018
参考書 書名 パーム油のはなし : 「地球にやさしい」ってなんだろう? ISBN 9784877732332
著者名 出版社 開発教育協会 出版年 2018
参考書 書名 水から広がる学び : アクティビティ20 ISBN 9784877732196
著者名 出版社 開発教育協会 出版年 2014
参考書 書名 服・ファッション:開発教育アクティビティ集5 ISBN 9784877732417
著者名 出版社 開発教育協会 出版年 2017
参考書 書名 ガルトゥング平和学の基礎 ISBN 9784589040275
著者名 ヨハン・ガルトゥング著 ; 藤田明史編訳 出版社 法律文化社 出版年 2019
参考書 書名 自由と経済開発 ISBN 9784532148294
著者名 アマルティア・セン著 ; 石塚雅彦訳 出版社 日本経済新聞社 出版年 2002
参考書 書名 コモンズの思想を求めて : カリマンタンの森で考える ISBN 4000270249
著者名 井上真著 出版社 岩波書店 出版年 2004
参考書 書名 経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか ISBN 9784582765137
著者名 C.ダグラス・ラミス著 出版社 平凡社 出版年 2004
備考

メッセージ
僕も“アジア”については知らないことが多いです。一緒に勉強できればと思います。
キーワード
アジア、持続可能な開発、持続可能な開発目標(SDGs)、持続可能な開発のための教育(ESD)、フェアトレード、モノカルチャー、国民国家、開発独裁、グローバリゼーション、南北問題、貧困、不平等・格差、コモンズ
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • 安全な水とトイレをみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 人や国の不平等をなくそう
  • つくる責任つかう責任
  • 気候変動に具体的な対策を
  • Life on land
  • パートナーシップで目標を達成しよう
  • パートナーシップで目標を達成しよう
(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(ジェンダー)ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う。
(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
(気候変動)気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
(平和)持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
(実施手段)持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
関連科目
国際理解教育概論、異文化体験演習、インターカルチュラルスタディーズⅠ・Ⅱ、異文化学習論、異文化学習演習、国際理解教育論Ⅰ・Ⅱ
履修条件
連絡先
moritomo@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
水曜日のお昼(11:50~12:50)

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