タイトル

開講年度 開講学部等
2025 教育学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期前半 金3~4 講義 3.5
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1022203001 幼児と人間関係[(Human Relation of Early Childhood)] 日本語 1
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
恒吉 徹三[TSUNEYOSHI Tetsuzoh]
担当教員[ローマ字表記]
恒吉 徹三 [TSUNEYOSHI Tetsuzoh], 白石 敏行 [SHIRAISHI Toshiyuki]
特定科目区分   対象学生   対象年次 1~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
幼児期の人間関係の発達について講義します。幼児期には,養育者をはじめとする大人との関わりの中で,人間関係の基礎を身につけていきます。この発達過程や,この発達過程を促進する養育者との関係,及び,幼児の人間関係の発達を促すための保育者の関わり,友だちとの関わりの中での協力すること(協同性),そして,将来的には,社会の中で生きるために他者も大切にしながら(他者への敬意,他者を一人のまとまりある個人として敬意を払うこと),自らも自分らしく生きる関係を築くこと(自立性と自律性)。このような社会の中で「人間」として生きたいくための基礎を形作る養育者や養育者を囲む環境(家族や地域社会やさらに広い社会)についても目を向けながら学ぶ講義です。
講義では,より発展的な内容も取り扱いますので,テキストを事前学修として読んだ上で出席し,講義終了後には事後学修として振り返りを実施して理解を深めてください。
授業の到達目標
1.人間関係が育っていくには、どのような要因が関わっているのかについて説明できる。
2.どのような大人(養育者,保育者)や仲間との関わりが必要であるのか説明できる。
3.どのような人間関係を幼児期に育てていく必要があるのかについて説明できる。
*「赤ちゃん」と呼ばれる乳児期を経て幼児期を迎えた子どもたちは,さらに,さまざまな人との関係を持つようになります。そして,幼児期の他者との関わりは,その後の他者との人間関係の発達を考える上でも重要な基盤をかたち作るものとなるものです。
けれど,意外と見落とされがちなのが,D.W.ウィニコットが「抱える環境」という言葉で表現した,いわば養育者の「腕」や養育者がそこに「いる」ことそのものが果たす役割です。授乳もおむつ交換も語りかける行為も,養育者がそこにいなければ起きないものです。つまり,後ろ支え(背景)があって初めて何か「する」ことができるのです。この概念は,地域社会,さらには社会全体が,子どもの育ちや養育者・保育者を抱えているのかを示す概念でもあります。つまり,「抱える環境」と呼ばれる居場所を得て,やっと人と人が安心して関わることもできることを示す概念であり機能なのです。
この講義のテーマは,人間関係が育っていくには,どのような要因が関わっているのかを学ぶことです。どのような大人(養育者,保育者)や仲間との関わりが必要であるのか,そして後には社会の中で生きてくために,さまざまな他者と関わり協力しながらも自分らしく生きていくためにはどのような人間関係を幼児期に育てていく必要があるのかについて学びます。つまり,これらのテーマについて自らの言葉で説明できることがこの講義の目標です。(DP1,DP2,DP3,DP4,DP5)
授業計画
【全体】
幼児と人間関係について講義します。子どもの人間関係の発達についての理論や、養育者、保育者、ともだちとの関係、さらに広がる人間関係についても学びます。
なおこの講義は、白石(第1回目、6回目〜8回目)、恒吉(第2回目〜第5回目)の2名で担当します。
また、【授業内レポート】が3回実施されます(第1回目、第4回目、第7回目)。
実施方法は講義の際にお知らせします(授業内レポートは1回につき10点、合計30点です)。
期末試験は70点満点での実施です。

授業形態:オムニバス(白石[4回]:第1回,第6回〜第8回/恒吉[4回]:第2回〜第5回)
  
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 大学生の人間関係はどこで学んだものでしょう? オリエンテーション
幼稚園教育要領における領域「人間関係」のねらいと内容について(担当:白石敏行)
【授業内アンケート】(10点)
予習(120分以上):これまでの日常生活を振り返って、さまざまな別れにどのように対応してきたか考えておいてください。
復習(120分以上):個人的な別れの体験が、臨床心理学の観点からはどのように説明できるか自分のことばで説明してみてください。
第2回 人間関係の発達の基礎についての理論 養育者との関わりの中で育まれるもの(ウィニコットの「抱える環境」)。前半の時間は講義し、後半はグループでの意見交換と全体での共有を行います。(担当:恒吉徹三) 授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第3回 人間関係を形成するのに必要な大人の関わりについて ボウルビィのアタッチメント理論(養育者・大人と子どもの関係・相互作用について)。前半の時間は講義し、後半はグループでの意見交換と全体での共有を行います。(担当:恒吉徹三)
授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第4回 人間関係の一生涯にわたる発達理論から学ぶ幼児期の人間関係の重要性 エリクソンの個体発達文化の図式(一生涯にわたる人間関係の発達論について)。前半の時間は講義し、後半はグループでの意見交換と全体での共有を行います。(担当:恒吉徹三)
【授業内アンケート】(10点)
授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第5回 対人関係の発達に遊びが果たす役割
子どもの遊びの発達,ウィニコットの中間領域論(移行対象,イマジナリー・コンパニオン)。前半の時間は講義し、後半はグループでの意見交換と全体での共有を行います。その際には、第2回〜5回目の講義を通して幼児の人間関係についての振り返りの時間としてもグループでの議論を実施します。(担当:恒吉徹三) 授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第6回 友だち関係の中での葛藤が育む人間関係 他者とのぶつかり合いの中で学んでいること(担当:白石敏行) 授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第7回 保育者と幼児の関係 保育者が果たす役割(可能なときには各自の幼児期体験を振り返りながら,負担だと感じるときには,資料などに記述された事例も通して,保育者と幼児の関わりについてグループ討論を行うことで理解を深めます)(担当:白石敏行)
【授業内アンケート】(10点)
授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
第8回 ・幼児の人間関係の広がり
・試験
養育者,保育者,友だちとの関係から見知らぬ他者との関係へ(担当:白石敏行) 授業計画に沿って予習・復習(学修時間の目安4時間以上) (具体的な内容については授業中に伝達する)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 10% B: 25% C: --% D: --%
成績評価法
・期末の筆記試験:70%,,レポート:30%
成績は、講義内レポート(30%:第1回,第4回,第7回で実施:講義を通して理解できたこと,講義内容から思い描いたこと,講義の中で自らが考えたこと,グループ討論により学んだことなどを書いてもらいます。),期末試験(70%)で評価します。
教科書にかかわる情報
教科書 書名 幼児と人間関係-保育者をめざす- ISBN 9784810314922
著者名 金 俊華・垂見直樹(編著),?福留留美・橋本 翼(著) 出版社 同文社 出版年
備考
参考書にかかわる情報
参考書 書名 新訂・事例で学ぶ保育内容 領域 人間関係 ISBN 9784893472571
著者名 無藤隆(監修),岩立京子(編集代表) 出版社 萌文書林 出版年
備考
【基本資料】:幼稚園教育要領、保育所保育指針
【映像資料】:”Still Face Experiment”の動画を必ず視聴してください。人間関係が何をもたらすのかを,幼児と養育者との相互作用の画像を通して学ぶことができます。
メッセージ
初回に講義のオリエンテーションを行いますので、必ず出席してください。事前学習として,自分自身の他者との関係の特徴について考えながら出席してください。事後学習では,講義内容を復習して理解を深めてください。また,事後学習の一貫として,日ごろから,日常場面の中で目にする幼児の人間関係について観察したり、テレビや動画に出てくる幼児と他者との関係についても観察したり、考えたりしておいてください。
キーワード
幼児、人間関係、養育者、保育者、環境。
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 貧困をなくそう
  • 質の高い教育をみんなに
  • ジェンダー平等を実現しよう
  • パートナーシップで目標を達成しよう
(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(ジェンダー)ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う。
(平和)持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
関連科目
履修条件
連絡先
恒吉:whiteow[at]yamaguchi-u.ac.jp
白石:t-shira[at]yamaguchi-u.ac.jp
*[at]を@に置き換えてメールしてください。
オフィスアワー
木曜5コマ:質問や意見交換歓迎します。その際には、まずは気軽に大学メールから事前連絡ください。

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