タイトル

開講年度 開講学部等
2025 経済学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 火3~4   3.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1032110009 経済学の歴史[History of Economics] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
前原 ひとみ[MAEHARA Hitomi]
担当教員[ローマ字表記]
前原 ひとみ [MAEHARA Hitomi]
特定科目区分   対象学生   対象年次  
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
本講義「経済学の歴史」の目的は,現代の資本主義社会がどのように形成されてきたのかを経済学の形成期にさかのぼり学ぶことにあります。
前半では,A.スミスの市民社会論から産業革命期の経済論争,J.S.ミル,D.リカードなどのイギリス古典派経済学、経済的自由主義を学びます。A.スミスは,『国富論』(1776)において重商主義批判を行い,「自然的自由の体系」を主張しました。スミスは,諸個人の自由な「利己心」の追求によって資本蓄積が順調に進展してゆけば,社会的生産力の向上によって富裕が全般化し,最下層の労働者階級の生活水準が押し上げられる,と予想しました。スミスにとって幸福とは,資本蓄積による経済的に豊かな社会の実現にありましたが,資本主義体制は豊かさと同時に経済格差を生んでしまいました。
後半では,それに対する批判として,資本主義批判とKマルクスの経済理論,市場の価格現象について限界分析を用いた限界効用理論,A.マーシャルと新古典派経済学,また、1929年のアメリカ大恐慌を契機に「市場の不完全性」にもとづいてマクロ経済学を構築したケインズの経済理論(有効需要の原理,乗数理論)について歴史的な背景とともに学びます。
本講義では,新自由主義など現代における経済思想についてもふれ,現代資本主義社会の現状を理解していきます。資本主義は時代とともに変容しています。本講義を通じて,21世紀の資本主義の行方について,皆さんとともに考えていきたいと思います。
(ただし、状況により授業や試験等の実施形態を変更する場合があります。)
授業の到達目標
資本主義の形成過程から現代資本主義までにかけて、歴史的背景を踏まえてそれぞれの経済理論が誕生してきたことを理解することができる。経済学の歴史を通して、現代資本主義のあり方について自ら考え、公正に判断することができる。関心や疑問を持った点に関して、自ら主体的に資料を調べて講義内容をまとめることができる。積極的な態度で授業や授業内課題に取り組むことができる。培った知識をもとに、現状の問題点、原因、解決策、将来の方向性を自分の考えとして論理的に表現することができる。経済学の歴史が現代とどのように関連するのかを常に意識して学ぶことができる。
授業計画
【全体】
1.ガイダンス・経済学の歴史とは
2.経済学の誕生
3.重商主義と重農主義 
4.A.スミス『道徳感情論』
5.A.スミス『国富論』
6.D.リカードと古典派経済学の確立
7.J.S.ミル『経済学原理』
8.K.マルクス『資本論』①
9.K.マルクス『資本論』②
10.K.マルクス『資本論』③
11.A.マーシャルと新古典派経済学
12.J.M.ケインズ『一般理論』①
13.J.M.ケインズ『一般理論』②
14.P.サミュエルソンとM.フリードマン
15.現代資本主義の行方
16.期末試験
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 ガイダンス・経済学の歴史とは 本講義の概要・進め方についてのガイダンス、経済学の歴史を理解することの重要性について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第2回 経済学の誕生 重商主義の時代背景と、ジョン・ロック、デヴィット・ヒュームの経済思想について解説する 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第3回 重商主義と重農主義 ジェームズ・スチュアート『経済学原理』から重商主義について、ケネーの経済表から重農主義について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第4回 A.スミス『道徳感情論』 アダム・スミス『道徳感情論』から市民社会論と「同感(共感)の原理」を解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第5回 A.スミス『国富論』 アダム・スミス『国富論』から重商主義批判と「自然的自由の体系」などを解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第6回 D.リカードと古典派経済学の確立 マルサスの『人口論』とディビッド・リカード『経済学原理』を通して、古典派経済学の確立や人口問題・貿易論について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第7回 J.S.ミル『経済学原理』 ジョン・スチュアート・ミル『経済学原理』から停止状態論,利潤率低下論,株式会社論について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第8回 歴史学派の経済学 ドイツ歴史学派であるフリードリッヒ・リストの思想を通して、自由貿易と国民経済について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第9回 K.マルクス『資本論』① カール・マルクス『資本論』から商品、労働価値説、資本蓄積について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第10回 K.マルクス『資本論』② カール・マルクス『資本論』から「利潤率の傾向的低下法則」、資本主義の矛盾について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第11回 A.マーシャルと新古典派経済学 アルフレッド・マーシャル以降の新古典派経済学の理論を通して、労働価値説から限界効用理論への変容を解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第12回 J.M.ケインズ『一般理論』① ジョン・メイナード・ケインズ『一般理論』から有効需要の原理と乗数理論について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第13回 J.M.ケインズ『一般理論』② ジョン・メイナード・ケインズ『一般理論』から流動性選好について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第14回 P.サミュエルソンとM.フリードマン ポール・サミュエルソンから新古典派総合,ミルトン・フリードマンからケインズ批判と新自由主義について解説する。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第15回 現代資本主義の行方 現代資本主義の行方について、グローバリズムと金融化との関連で解説し、総括を行う。 講義内容のキーワードを調べて2時間予習する。また、講義内容の確認やレジュメ・ノートの整理を行い2時間復習する。
第16回 定期試験 講義内容の理解度をチェックする。 全ての講義内容を復習する。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 30% C: --% D: --%
成績評価法
授業参加度30%、期末試験70%で総合評価します。
教科書にかかわる情報
備考
テキストは使用せず、レジュメを配布いたします。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 経済学史への招待 ISBN 9784784518432
著者名 柳沢哲哉著 出版社 社会評論社 出版年 2017
備考
その他参考書は適宜授業内で紹介します。
メッセージ
・講義に関する詳細や注意事項は初回の授業で説明するため、この講義の受講の意思がある場合、
 また受講するか否かを検討している場合には、原則として第1回目の授業に出席すること。
・講義への積極的な参加及び講義進行に対する協力的な姿勢を望む。
・「授業計画」は、受講生の理解促進のために、順序の入れ替え、内容を変更する場合がある。
キーワード
経済学史、経済思想、自由貿易論、利己心と利他心、「共感(同感)」の原理、比較優位説、資本蓄積、労働価値説、剰余価値、自由競争、停止状態論、利潤率の傾向的低下法則、限界効用、有効需要の原理、乗数理論、流動性選好説
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 人や国の不平等をなくそう
  • つくる責任つかう責任
  • パートナーシップで目標を達成しよう
(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
(平和)持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
関連科目
履修条件
連絡先
h_maehara@yamaguchi-u.ac.jp

オフィスアワー
面談希望の際は,上記メールアドレス宛に事前に申し込んで下さい。その際相談の上、面談日時を決定いたします。

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