タイトル

開講年度 開講学部等
2025 理学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期 木7~8 講義  
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1041300001 有機化学Ⅰ[Organic ChemistryⅠ] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
村藤 俊宏[MURAFUJI Toshihiro]
担当教員[ローマ字表記]
村藤 俊宏 [MURAFUJI Toshihiro]
特定科目区分   対象学生 化学科以外の学生は2年生以上 対象年次 1~4
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
有機化学は、化学の基幹4分野(物理化学、有機化学、無機化学、分析化学)に含まれる重要な学問領域の1つです(CP1、DP1-2-(a)、DP1-2-(b))。この授業では、有機化学を体系的に理解するための基本概念を解説します。残りの3分野に関連する基本事項も登場しますので、関連づけて学んでください。まず、ルイス構造式、共鳴構造式、巻矢印表記、混成軌道の概念、不飽和度を理解し、基本的なアルカン・アルケン・アルキンの結合様式を学びます。また、これらの有機分子の物理的・化学的性質の相違、反応性について学習します。さらに、立体化学(鏡像異性体、ジアステレオマー、メソ化合物)の基礎を理解し、環状アルカンの構造的特徴をシクロヘキサン誘導体から学習します。併せて、分子の命名法や立体構造の表示法を修得します。
授業の到達目標
有機化合物の構造について原理的な部分から理解し、分子レベルからの見方ができるようになることを目標とします。特に、この授業の最初に登場する原子の電子配置は、高校の時に学んだK殻やL殻ではなく、s軌道やp軌道といった軌道の概念を使って説明します。電子配置や軌道の概念は、無機化学で主に学習する内容ですが、これらの概念を理解しておかないと、有機化学を理解することができなくなります。このように、有機化学は無機化学と密接に関連しています。また、物理化学や分析化学との関連事項についても触れます(CP1、DP1-2-(a)、DP1-2-(b))ので、必ず理解してください。

知識・理解の観点 以下の事項より、論理的思考力を身につける。
1)ルイス構造式と共鳴構造式を正しく描ける。
2)σ結合とπ結合の違いを説明できる。
3)混成軌道を理解し、分子の形・酸性度・結合エネルギーとの関係がわかる。
4)Newman投影式で立体配座を表現し、安定性を比較できる。
5)IUPAC命名法に従って正しく命名できる。
6)Cahn-Ingold-Prelog則により、E/ZまたはR/Sを正しく表示できる。
7)アルケンの熱力学的安定性を生成熱・燃焼熱・水素化熱から評価できる。
8)アルケンへのハロゲン化水素の付加などの位置選択性について説明できる。
9)Markovnikov則を理解し、説明できる。
10)不飽和度を理解し、計算できる。
11)歪んだπ結合の特徴を説明できる。
12)キラル中心となる条件やキラリティーを理解している。
13)鏡像異性体・ジアステレオマー・メソ体・ラセミ体の関係が理解できる。
14)鏡像異性体の物理的・化学的な相違点や分離する方法を説明できる。
15)シクロヘキサンのいす型配座を正しく描くことができる。
16)axial-equatorialの違いを説明できる。
17)置換シクロヘキサンの環反転による構造変化が描ける。
18)1,3-ジアキシアル相互作用を説明できる。
19)ビシクロ化合物や多環化合物を説明できる。
思考・判断の観点 分子の結合や立体構造に関する基本的な要因を推測し、論理的に思考する能力を身につけることができる。

関心・意欲の観点 わからない事項をそのままにせず、理解できるよう積極的に取り組む。

態度の観点 教科書を丁寧に読み、有機化学の基礎的な事項を理解する。予習と復習により理解度を深める。
技能・表現の観点 有機反応がどのように進むかを電子の観点から捉え、巻矢印表記を使って示すことができる。
その他の観点 高校で学んだ有機化学の知識を、大学で学ぶ有機化学の観点から眺め、電子や軌道の観点から考えることができる。また、有機化学を物理化学、無機化学や分析化学の観点から眺めることができる(CP1、DP1-2-(a)、DP1-2-(b))。
授業計画
【全体】
●教科書「ジョーンズ有機化学(上)第5版」の持参を前提に講義します。「山口大学生協」に入荷しますので購入してください。入荷したら、理学部中庭の掲示板(化学科のところ)に掲示してお知らせします。中庭の掲示板、および理学部内の電子掲示板を見る習慣を身につけてください。

●有機化学Iでは、第1章〜5章までを説明します。芳香族の化学など、第6章以降の有機化学IIや有機化学IIIで登場する話題についても簡単に触れます。

●Moodle に講義資料をアップします。各自でダウンロードし、授業中には見れるようにしておいてください。可能な限り、印刷したものも持参してください(メモ書き用)。


項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 第1章 原子と分子(1) 原子軌道、ルイス構造式、共鳴構造式、巻矢印表記法 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第2回 第1章 原子と分子(2) 結合の強さ、酸と塩基 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第3回 第2章 アルカン(1) メタンの構造と混成軌道 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第4回 第2章 アルカン(2) 反応中間体(カルボカチオン・カルボアニオン・ラジカル)
授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第5回 第2章 アルカン(3) Newman投影式、命名法と構造異性体、シクロアルカン 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第6回 第3章 アルケンとアルキン(1) 不飽和度、Cahn-Ingold-Prelogの順位則 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第7回 第3章 アルケンとアルキン(2) 生成熱、環内不飽和結合 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第8回 第3章 アルケンとアルキン(3) ハロゲン化水素の付加反応、マルコフニコフ則とカルボカチオンの生成 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第9回 中間まとめ 理解度確認試験(持ち込み不可) 解き直し学習(2時間以上)
第10回 第4章 立体化学(1) キラリティー、絶対立体配置、エナンチオマー、旋光度 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第11回 第4章 立体化学(2) ジアステレオマー、ラセミ体、メソ化合物 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第12回 第4章 立体化学(3) 光学分割、環状化合物の立体化学、軸不斉 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第13回 第5章 環状化合物(1) 環とひずみ、シクロヘキサンの立体化学 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第14回 第5章 環状化合物(2) 二置換環状化合物、1,3-ジアキシアル相互作用 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第15回 第5章 環状化合物(3) ビシクロ化合物、多環化合物 授業中に指示した学習(学習時間の目安:2時間以上)
第16回 まとめと総括 理解度確認試験(持ち込み不可) 解き直し学習(2時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
中間試験と期末試験の両方を併せて総合評価します。
中間試験(50%)、期末試験(50%)
教科書にかかわる情報
教科書 書名 ジョーンズ有機化学(上)第5版 ISBN 9784807908936
著者名 Maitland Jones, Jr., S.A.Fleming 著 奈良坂紘一・山本学・中村栄一 監訳 出版社 東京化学同人 出版年 2016
備考
この教科書は、有機化学IIおよび有機化学IIIでも使用します。
参考書にかかわる情報
備考
教科書に沿って説明します。教科書を必ず手元に準備してください。山口大学生協にて購入してください。
メッセージ
わかりやすく、平易な表現で説明します。質問がある場合には、遠慮なく来室してください。
キーワード
有機化学
持続可能な開発目標(SDGs)

関連科目
有機化学II、有機化学III、有機反応解析、天然物有機化学、高分子化学、有機化学実験、化学概論
履修条件
連絡先
総合研究棟6階、601号室(東) murafuji@"yamaguchi-u.ac.jp" (" "を取る)
オフィスアワー
随時

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