タイトル

開講年度 開講学部等
2025 理学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 木1~2 講義 4.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1042100004 線型代数学基礎Ⅱ[Basic Linear Algebra Ⅱ] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
平川 義之輔[HIRAKAWA Yoshinosuke]
担当教員[ローマ字表記]
平川 義之輔 [HIRAKAWA Yoshinosuke]
特定科目区分   対象学生   対象年次 1~4
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
この講義では、線型代数、特に、抽象的ベクトル空間の基礎理論と連立1次方程式への応用について学ぶ。線型代数学は数理科学を理解する上で必須の基礎科目である。しかし、高校で勉強してきた内容と大学で必要とされる内容との間には隔たりがある。その隔たりを埋め、スムースに専門知識としての線型数学が理解出来るようになることが目的である。具体的には、これまでに学んだベクトルや行列の一般化である抽象ベクトルの論理的な取り扱いを通じて、線型代数学の基本概念の理解の修得を目指す。これに加えて、高校まではその場しのぎの発見的方法で解けた連立1次方程式が、実は常に同じアルゴリズムで解けるという事実を学び、その実践を通じて連立1次方程式の解法を修得する。
授業の到達目標
(1)抽象的ベクトル空間や部分空間の概念を理解できる。
(2)ベクトルの1次独立や1次従属の概念を理解できる。
(3)ベクトル空間の次元や基底の概念を理解できる。
(4)線形写像の行列表現を理解できる。
(5)線型代数学の基本概念や計算方法を確実に身につける。
(6)身に付けた概念や計算方法を与えられた問題に応用することができる。
(7)論理的な思考を通して, 問題を明確に理解し解答することができる。
(8)理解できる部分とそうでない部分を明確にすることができる。
(9)行列式の考え方に興味をもち、自ら進んで新しい概念や問題に取り組むことができる。
(10)新しい概念を知り,驚きや喜びを感じることができる。
(11)自分の考えたことを, 答案を通して正確にわかりやすく記述・表現することができる。
授業計画
【全体】
【全体】 線型代数学基礎I」に引き続き、連立1次方程式の解法とベクトル空間の基礎理論について講義を行う。本授業で取り上げる内容は以下の通りである。
1.連立1次方程式の解法
2.抽象的ベクトル空間
3.1次結合と部分空間
4.線形写像
5.ベクトルの1次独立と1次従属
6.ベクトル空間の基底と次元
7.線形写像の行列表現
8.ベクトル空間の同型
9.商ベクトル空間
*次の週単位の記述内容は予定です。授業の進捗状況によって変更されます。変更内容は毎週更新されますので,授業の参考にしてください。"
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 イントロダクション
数ベクトル空間、線型写像、全射、単射、全単射、同型写像、直線と平面の非同型性 前期の数理科学入門、線形代数学基礎Iを復習してください。(学習時間の目安:4時間以上)
第2回 抽象的ベクトル空間 抽象的ベクトル空間の定義、ゼロベクトル及び逆ベクトルの一意性、ベクトル空間の基本計算公式、抽象的ベクトル空間の例(行列空間、多項式空間、線型方程式の解空間、関数空間、数列空間)
講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第3回 部分ベクトル空間
部分ベクトル空間、生成する (される) 部分空間、部分空間の交わり・和・直和
講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第4回 線型写像の像と核 線型写像、像と全射、核と単射、線形写像の和・スカラー倍・合成 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第5回 1次独立性と基底
1次結合、1次関係と線形写像、1次独立、1次従属、1次従属・1次独立の特徴付け、基底 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第6回 1次独立性と行列式 行列式と行列の列(行)ベクトルの1次関係、行列式と連立1次方程式の自明解、基底の特徴づけ、基底の構成方法 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第7回 基底と次元 基底、次元、線型同型写像、同型写像による保存量(1次関係、1次独立・1次従属、基底、次元)、有限次元ベクトル空間と数ベクトル空間の同型 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第8回 中間まとめ(理解度確認試験) 原則対面で実施 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第9回 基底の延長と取り替え 抽象ベクトル空間と数ベクトル空間、標準基底、ベクトルの成分表示、成分表示と基底の取り替え(基底変換)、基底の延長 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第10回 線型写像の表現行列 線型写像の表現行列、線型写像の演算と行列演算、線型同型写像と表現行列、対角化 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第11回 連立1次方程式への応用 係数行列の行列式、拡大係数行列、基本変型 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第12回 掃き出し法(連立1次方程式を解くアルゴリズム) 基本変型と基本行列、階段行列、簡約化、逆行列の計算 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第13回 次元定理, 商ベクトル空間 商ベクトル空間、次元定理、準同型定理 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上) 履修者の理解度に合わせて、これまでの内容の復習を行うなど、柔軟に内容を変更する。
第14回 線型微分方程式及び線型漸化式への応用 線型微分方程式及び線型漸化式への応用 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上) 履修者の理解度に合わせて、これまでの内容の復習を行うなど、柔軟に内容を変更する。
第15回 まとめ 期末試験に向けた演習も実施 講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
第16回 期末試験 原則対面で実施
講義中に解説した定理とその証明だけでなく、教科書内の定理とその証明も含めてしっかりと復習を行い、章末問題を解くなどして理解度を確かめてください。(学習時間の目安:4時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 20% C: 20% D: --%
成績評価法
授業内外の提出課題30%、定期試験70%
教科書にかかわる情報
教科書 書名 線形代数学(新装版) ISBN 9784535786547
著者名 川久保勝夫 出版社 日本評論社 出版年 2010
教科書 書名 線形代数演習 ISBN 4781910319
著者名 横井英夫、尼野一夫 出版社 サイエンス社 出版年 2003
備考
参考書にかかわる情報
参考書 書名 線形代数学 初歩からジョルダン標準形へ ISBN 9784563003814
著者名 三宅敏恒 出版社 培風館 出版年 2008
備考
メッセージ
「線型代数」は、理論の完成度において現代数学の雛形になっている同時に、狭義の「線型代数」を超えて多大な応用を持つ点で数理科学の基盤にもなっています。特に、この講義で扱う「基底」は、その名の通り、本来抽象的な「抽象的ベクトル空間」において具体的な計算を可能にするための基盤になっています。また、「どんな連立1次方程式も常に同じ方法で解ける」という事実は、数理科学の多様な問題を可能な限り連立1次方程式に帰着する(問題を線型化する)という動機付けを与えています。これらの事実は、近年発達著しい機械学習やAIの研究のおいても本質的に重要です。
キーワード
抽象的ベクトル空間、部分空間、1次独立、1次従属、基底、次元、行列表現、表現行列、同型写像、商ベクトル空間、連立1次方程式

持続可能な開発目標(SDGs)

  • 質の高い教育をみんなに
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
関連科目
数理科学入門、線型代数学基礎II
履修条件
連絡先
yhirakawa@yamaguchi-u.ac.jp(理学部138号室)
オフィスアワー
研究室にいるときは常時対応しますが、事前にメールで確認をいただけると助かります。数理科学教室の学習相談室も利用してください。



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