タイトル

開講年度 開講学部等
2025 理学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 水1~2 講義  
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1042510002 発生細胞生物学[Developmental Cell Biology] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
上野 秀一[UENO Shuichi]
担当教員[ローマ字表記]
上野 秀一 [UENO Shuichi]
特定科目区分   対象学生 生物・化学科生物学コース学生対象 対象年次 2~4
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
発生の進行に必要なイベントは細胞増殖に欠かせない細胞分裂、不要な細胞の除去のためのアポトーシス、形態形成のための細胞の配置換えに必要な細胞移動、様々な遺伝子群の細胞内での転写、及びそれらの細胞内活動を行う細胞内小器官の発達や相互作用、といったように細胞におけるイベントと言い換えることも出来る。本講義では、主に両生類の初期胚発生を中心に細胞内で起きる様々な発生に不可欠な機構を説明する。また、癌と発生に共通するメカニズムについても説明する。以上を通して、動物に関する発生学の基礎知識を学び、一部は専門的な知識の理解を目的とする。
授業の到達目標
発生の進行に必要な現象を細胞生物学の観点から理解する。また、発生過程を調べていく上で必要な考え方や技術の基礎知識を理解する。この講義で学ぶことが、生物学領域の基礎・専門的知識を体系的に理解する目標の一端となる。
授業計画
【全体】
講義では第1〜2週で初期胚発生の全体の概略を述べ、講義全体で着目する点を説明する。近年、生きたままでの細胞内の様々な分子や細胞内小器官などの挙動を解析する技術が使われており、発生中の細胞内(及び周辺)における解析が進んでいる。第2週(もしくは第3週)以降はそれらの知識を紹介しながら、発生過程を細胞側の観点から理解していく。また、再生医療や癌といった発生学と関連の深い病気との関連性の理解を深める。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 イントロダクション 初期胚発生の概略と講義全体の説明 予習2時間・復習2時間行う
特に発生に関連する知識の復習(高校生物レベルも含む、初期卵割、胚発生、遺伝子発現など)を行なっておく
第2回 細胞周期(減数分裂) 減数分裂、卵割期及び発生段階の組織によって異なる細胞周期 予習2時間・復習2時間行う
特に細胞周期の基礎知識について
(可能であれば、参考文献『細胞周期(細胞増殖のメカニズム)』も参照)
第3回 細胞周期(体細胞分裂)と初期胚発生 体細胞分裂と発生制御
両生類・魚類・昆虫等における母性mRNAから胚性mRNAへの転換、細胞周期の変遷、形態形成運動の開始などを説明する
予習2時間・復習2時間行う
特に胚発生における細胞周期の基礎知識について
(可能であれば、参考文献『細胞周期(細胞増殖のメカニズム)』も参照)
第4回 細胞周期のCheckpoint Checkpoint及びDNA複製のライセンス機構 予習2時間・復習2時間行う
特に細胞周期のより詳細な制御機構について
(可能であれば、参考文献『細胞周期(細胞増殖のメカニズム)』も参照)
第5回 細胞内小器官・細胞死 細胞周期進行に伴う周期的な細胞内小器官の構造変化。発生に必要な細胞死(アポトーシス・オートファジー細胞死)。 予習2時間・復習2時間行う
特に細胞内小器官(オルガネラ)、細胞死について他の講義の関連内容も復習しておく
第6回 エピジェネシス及び細胞の初期化 クロマチン修飾などの後天的な遺伝子発現制御機構と細胞の初期化 予習2時間・復習2時間行う
特にゲノムの修飾による後天的な遺伝子制御について
第7回 mRNA翻訳抑制・分解 細胞内でのmRNAの転写後の修飾全般 予習2時間・復習2時間行う
特に翻訳レベルでの発現制御機構について
第8回 中間試験(以下、変更点を追記)(年度によっては試験を課題レポートに代替(もしくは追加)する場合がある) 第7週までの理解度テスト 第6週までの復習を念入りに行い、記述式の問題を解けるようにしておくこと(少なくとも4時間以上)
第9回 幹細胞 生体内における様々な幹細胞の種類と器官形成 予習2時間・復習2時間行う
特に細胞分化における他の講義の関連内容も復習しておき、幹細胞について学んでおく
第10回 再生と幹細胞 幹細胞からの再生機構と医療技術 予習2時間・復習2時間行う
特に組織の欠損における再生だけでなく、恒常的な再生(血液生産)などの理解も深める
第11回 細胞移動 形態形成に必要な細胞移動(整列)の種類とそれらに必要な分子機構 予習2時間・復習2時間行う
特に細胞移動の様々な様式について理解する。発生では特にEMTがどのような場面で用いられるか理解する
第12回 発生と癌 癌化や転移の過程と発生における細胞の挙動の共通性 予習2時間・復習2時間行う
特にこれまでの講義内容と照らし合わせ、正常な発生で見られる現象と癌の進行における共通点を理解する
第13回 実験方法(発現制御) 発生に関わる遺伝子(産物)の機能解析のための分子生物学的手法の解説(変異型遺伝子産物の発現からゲノム編集まで) 予習2時間・復習2時間行う
特に胚発生を調べる上で有用な実験方法を講義で学んだ事例以外でも様々な論文等や研究室の事例を調べて理解を深める
第14回 実験方法(胚の細胞内の可視化) 細胞内の細胞内小器官や発生に関わる遺伝子(産物)を可視化するための分子生物学的手法の解説 予習2時間・復習2時間行う
特に蛍光タンパクを用いた(特に複数のタンパク間の相互作用を解析する)実験方法を講義で学んだ事例以外でも様々な論文等や研究室の事例を調べて理解を深める
第15回 期末試験(以下、変更点を追記)(年度によっては試験を課題レポートに代替(もしくは追加)する場合がある) 理解度をチェックする 講義の全ての復習を念入りに行い、記述式の問題を解けるようにしておくこと(少なくとも4時間以上)
第16回 まとめ 講義の補足、及び期末試験の復習 総復習
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
小テスト 10%
中間、期末テスト 70%
各種レポート 20%
教科書にかかわる情報
教科書 書名 ギルバート 発生生物学(第2版) ISBN 9784815731267
著者名 Gilbert(監訳 阿形清和 高橋淑子) 出版社 メディカル・サイエンス・インターナショナル 出版年 2025
備考
教科書の内容は授業全体の一部です。講義内容は教科書通りに進みません。講義中にプリントのみに記載される部分やpowerpointおよび板書のみにて説明される部分もあります。特に各講義毎でノートをとり、復習も忘れないように。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 細胞周期(細胞増殖のメカニズム) ISBN 9784895925587
著者名 David O. Morgan(監訳 中山敬一) 出版社 メディカル・サイエンス・インターナショナル 出版年 2008
参考書 書名 分子生物学講義中継3 ISBN 9784897068770
著者名 井出利憲 出版社 羊土社 出版年 2004
参考書 書名 結末への道筋(アポトーシスとさまざまな細胞死) ISBN 9784895927116
著者名 Douglas R.Green (監訳 長田重一) 出版社 メディカル・サイエンス・インターナショナル 出版年 2012
備考
旧課程(生物・化学科の学生用)の開講となります。この講義の単位を取った場合、同時間に開講する発生生物学は(年度が異なっても)単位修得できないので注意する。
メッセージ
発生では形が変わるのと同時に(あるいは形を作っていくために)細胞自身の性質がどんどん変わっていきます。その変化に注目してみてください。また、細胞が増えて、移動していくための仕組みが発生過程と癌などの病気の進行で同じものが使われています。そうした共通性から、細胞が増え、集合あるいは整列しながら形を作っていくことの基本的な仕組みに興味を持ってください。
キーワード
細胞周期、細胞内小器官(オルガネラ)、形態形成、癌、幹細胞、非翻訳RNA
持続可能な開発目標(SDGs)

関連科目
履修条件
連絡先
上野秀一(総研棟507-1(階段側))
suenoscb@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
随時。不在の場合もあるので、事前にメール等で連絡すること。

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