タイトル

開講年度 開講学部等
2025 理学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 木3~4 講義 9.5
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1042600008 土木地質学[Engineering Geology] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
太田 岳洋[OHTA Takehiro]
担当教員[ローマ字表記]
太田 岳洋 [OHTA Takehiro]
特定科目区分   対象学生   対象年次 3~4
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
社会資本を効果的に整備するためには、構造物に対して適切なルートおよびサイトの選定や設計定数の設定が必要である。また、社会資本を維持するためには、サイトの現状の把握し、自然災害などの将来の予測が求められる。そのため、社会資本が位置する地盤の地形・地質的な特性を明らかにするとともに、風化作用や浸食作用などの地質プロセスに関する知識と調査法を理解することが重要である。講義では、岩石・岩盤の分類や諸特性、地質プロセスや地形変化、環境変化にかかわる地球化学現象に関する知識や調査法について解説し(DP1-2-a,b)、実際の社会資本の整備や維持の現場における事例検討から、これらの知識や調査技術の実務への適用や結果の評価について紹介する(DP2-6-B,D5,E)。上記のそれぞれの項目において、地質学の用語と工学で用いられる用語の関係と地質学的に得られるデータの精度と工学から求められる精度の差異について解説する(DP2-6-I)。また、地質技術者として有すべき倫理観について解説する。なお、本科目は鉄道の建設、防災分野での実務経験のある担当教員が、上記の内容について経験に基づいた講義を行う。
授業の到達目標
1.地盤の成り立ちと物理特性の関係を理解し、土と岩石の分類、岩盤分類を説明でき、土木地質学的問題と関連付けることができる(DP1-2-a,b,DP2-6-D5,E)。 2.岩盤の風化・劣化過程とマスムーブメント、地形変化について理解し、土木地質学的問題と関連付けることができる(DP2-6-D5,E)。 3.岩盤力学と地質との関係を理解し、土木地質学的問題と関連付けることができる(DP2-6-D5,E)。 4.地球化学的な現象を土木地質学的問題に関連付けることができる(DP2-6-D5,E)。 5.地質学的事象を、工学で用いられる用語により工学から求められる精度で説明できる(DP2-6-B,I, DP3)。
以上より、地域環境科学コースの学習・教育達成目標(B-2)「技術者として求められる倫理観について理解し,それを実践する」ことを習得し、(D)-5「社会資本の創生、防災対策、環境保全に関する知識と技術の修得」を目標とする。また、(E)「種々の調査・分析・解析技術、情報を生かして地域社会からの要求と問題を計画的に解決するためのデザイン能力」を得る。さらに、(I-1)「国際社会で活躍するための基礎能力と素養」を身につける。

知識・理解の観点
 1.地盤の成り立ちと物理特性の関係を理解し、土と岩石の分類、岩盤分類を説明できる(DP1-2-a,b,DP2-6-D5,E)。
 2.岩盤の風化・劣化過程とマスムーブメント、地形変化について理解し、土木地質学的問題と関連付けることができる(DP2-6-D5,E)。
 3.岩盤力学、地球化学関する基礎知識を理解し、説明できる(DP2-6-D5,E)。
 4.上記に関する調査を説明できる(DP2-6-B,D5,E)。
思考・判断の観点
 1.地盤の成り立ちや岩盤分類からトンネル建設時の問題点などを指摘できる(DP2-6-D5,E)。
 2.岩盤の力学特性と風化・劣化現象に基づいて、斜面の安定性に関する課題を指摘できる(DP2-6-D5,E)。
 3.地下水や地球化学の観点から、地盤環境に関する問題点を指摘できる(DP2-6-D5,E)。
関心・意欲の観点
 1.理学である地質、地質現象が、社会資本整備、維持を行う土木工学に必要不可欠であることに関心を持つ(DP2-6-B,I)。
 2.建設や防災および環境保全への地質学的な調査、評価の有用性について関心を持ち、それらの問題解決への意欲を高める(DP2-6-B,I)。
態度の観点
 1.科学技術、特に地球科学の社会における役割を理解し、地質技術者として社会に対して負うべき倫理観について考えることができる(DP2-6-B,I,DP3)。
 2.土木地質的課題に対して、調査・分析結果その他の各種の情報を総合的に判断して解決策を導き出すデザイン能力を身につける(DP2-6-D5,E)。
技能・表現の観点
 1.地盤に関する調査技術、評価技術を身につける(DP1-2-b,DP2-6-D5,E)。
 2.調査・評価結果から総合的な問題解決策を見出し、説明できる能力を得る(DP2-6-E)。
授業計画
【全体】
前半の講義では、地質学と関連する土木地質学の基本事項について、用語とその定義、考え方などを解説する。後半の講義では、対象ごとに土木地質学的な問題を基本事項に基づいて、主に具体的な事例を示しながら説明するとともにディスカッションを行うことにより、土木地質学的な解決能力と地質技術者としての倫理観を醸成させる。すべての項目について、事前事後学習用のビデオを配信し、ビデオ視聴を前提とした講義を行う。土木地質学の基礎知識については、毎回の小テスト又は授業外レポートによって到達目標に対する学生の達成度を確認する。また各事象への土木地質学の適用については、毎回の小テスト又は授業外レポートにより学生に考察させる。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 地質学と土木地質学 土木地質学の概要、土木工学との関係
地質学的な見方、考え方を整理しておく
簡単な小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第2回 地盤の成り立ちと土木地質的な特徴 地盤の形成過程、形成期と地形、形成期による物性の相違
日本列島の形成史を整理しておく
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第3回 土と岩石・岩盤の分類
土と岩石の分類、岩盤分類
岩石の分類を整理しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第4回 岩石・岩盤の物理的性質と化学的性質
物理的性質、化学的性質
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第5回 岩石・岩盤の物理的性質と化学的性質 試験法
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第6回 岩石・岩盤の力学的性質
強度特性、変形特性
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第7回 岩石・岩盤の力学的性質
試験法
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第8回 岩盤の風化・劣化
風化現象、風化系列、スレーキング、シーティング、断層破砕帯、強度、マサ化
鉱物の風化について整理しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第9回 マスムーブメントと地形変化
地すべり、クリープ、崩壊・崩落、土石流、地形判読
地すべり地形の特徴を整理しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第10回 自然災害と地形・地質1-地すべり、自然斜面・土石流
災害事例、地すべり、降雨による災害、調査と評価
第9週の内容を整理しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第11回 自然災害と地形・地質2-切土斜面、落石 受け盤と流れ盤、崩壊の形態、割れ目、トップリング 第9週の内容を整理しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第12回 トンネルと地質1-計画 路線選定と地質条件、特殊な地山条件、調査法 これまでの授業内容を復習しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第13回 トンネルと地質2-施工
切羽の崩壊、支保工の変形と押し出し、突発湧水、大量湧水
これまでの授業内容を復習しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第14回 地盤環境と地質
軟弱地盤、地下水利用、渇水、流動阻害、水-岩石反応、地下水・土壌汚染
地球資源学Ⅱで学ぶ地下水に関する事項を復習しておく
到達目標を確認する
前週の内容に関する小テストを行う
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第15回 期末試験 土木地質学全般
到達目標を確認する
これまでの授業内容について(学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第16回 試験の解説 第15週に実施した試験の解説を行う 試験問題について配布資料を基に確認する(学修時間の目安:4時間以上) 担当教員の指示に従うこと
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: 95% D: --%
成績評価法
定期試験と小テストで評価する。
定期試験 60%、小テスト 40%
教科書にかかわる情報
備考
授業に用いる資料は修学支援システムを通じて配布する。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 わかりやすい土木地質学 ISBN 4886240844
著者名 大島洋志 監修 出版社 土木工学社 出版年 2000
参考書 書名 鉄道と自然災害 列車を護る防災・減災技術 ISBN 9784526074677
著者名 (公財)鉄道総合技術研究所 防災技術研究部・鉄道地震工学研究センター編 出版社 日刊工業新聞社 出版年 2015
参考書 書名 災害地質学ノート ISBN 9784906431519
著者名 千木良雅弘著 出版社 近未来社 出版年 2018
参考書 書名 事例で学ぶ地質の話-地盤工学技術者のための地質入門- ISBN 4886444326
著者名 地盤工学会 事例で学ぶ地質の話-地盤工学者のための地質入門-編集委員会 出版社 地盤工学会 出版年 2005
備考
特定の参考書は指定しないが、この授業に関連する参考書は図書館などにたくさんあるので、各自で自分に合った参考書を探して学習してください。
メッセージ
参考図書を活用して予習、復習をしてください。土木地質学の基礎となる地質学の基本事項について、よく復習してください。最近の自然災害や建設工事などについて関心を持って新聞記事等を読んでください。

キーワード
社会資本、建設、維持、自然災害、環境、地質技術者、デザイン能力、実務家教員

持続可能な開発目標(SDGs)

  • 安全な水とトイレをみんなに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 気候変動に具体的な対策を
  • Life on land
(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
(気候変動)気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
関連科目
地球資源学Ⅱ、自然災害科学
履修条件
連絡先
地球圏システム科学科 太田岳洋
Tel: 083-933-5753
E-mail: takohta@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
平日13:00~17:00

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