タイトル

開講年度 開講学部等
2025 理学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 木9~10   10.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1042600010 技術者倫理[Engineering Ethics] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
太田 岳洋[OHTA Takehiro]
担当教員[ローマ字表記]
太田 岳洋 [OHTA Takehiro]
特定科目区分   対象学生   対象年次 2~4
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
近年は、科学技術の発展にともなって、技術的な成果が社会の発展に密接に関係している。例えば、内視鏡手術などの医療技術、衛星からの高精度な地表、気象観測技術、高速大容量の情報通信技術などは、人間社会の利便性や安全、安心の向上に大きく貢献している。一方で、技術の利用にともなう公害問題や技術の不適切な利用による事件・事故などの科学技術の発展の負の側面や2011年の東北地方太平洋沖地震などで見られた科学技術の過信による自然災害の深刻化などの問題も見られるようになった。今後の社会の持続的発展のためには科学技術の進歩は必要不可欠であり、それに携わる科学技術者の倫理観、使命感が科学技術の正しい発展の根底になる。講義では、科学技術者、研究者が持つべき基本的な倫理観について解説し、説明責任、製造物責任、知的財産権、守秘義務について、具体的に事例を紹介しながら説明する(DP2-6-B)。また、具体事例や仮想事例などについて、グループワーク、ディスカッションなどを行い、技術者の倫理観を自ら考えてもらう(DP3)。なお、本科目は鉄道の建設、防災、地質分野で企業の管理職として勤務経験のある担当教員が、実際の守秘義務、知財管理など技術者の倫理に関する考え方について講義する。
授業の到達目標
1.技術者としての倫理、倫理観とは何かを理解し、専門職としての技術者のあり方を認識する(DP2-6-B)。 2.技術者の立場、責任を理解し、これに基づいた行動を考えることができる(DP2-6-B)。 3.研究者の行動規範と研究開発の倫理について理解する(DP2-6-B)。 4.最近の具体事例や仮想事例における技術的問題を取り上げ、倫理的な問題を指摘し、技術者倫理に基づいた行動を自ら考える能力を醸成する(DP2-6-B,DP3)。
以上より、地域環境科学コースの学習・教育達成目標(B-2)「技術者として求められる倫理観について理解し,それを実践する」能力を身についける。

知識・理解の観点
 1.技術者、研究者が持つべき倫理観を認識し、専門職としての立場を理解できる(DP2-6-B)。
 2.技術者が負うべき責任について理解できる(DP2-6-B)。
思考・判断の観点
 1.技術者、研究者の行動規範に基づいた行動を考えることができる(DP2-6-B)。
 2.具体的事象について、倫理的な問題点を指摘でき、それを解決するための行動を具体的に提案できる(DP2-6-B)。
関心・意欲の観点
 1.科学技術の成果と表裏一体のものとして、技術の不正利用などの問題がる事を認識し、その防止に技術者としての倫理観の必要であることに関心を持つ(DP2-6-B)。
 2.最近の科学技術の話題について、技術者倫理の観点から興味を持つことができる(DP2-6-B)。
態度の観点
 1.正解のない科学技術における倫理的課題について、自ら考え、意見を述べることができる(DP2-6-B,DP3)。
 2.多様な考えが出る倫理的課題に対して、グループとしての考え、意見の取りまとめに積極的に参加できる(DP2-6-B,DP3)。
技能・表現の観点
 1.倫理観に基づいた技術開発における行動の基本を身につける(DP2-6-B)。
 2.自らの意見とグループの意見を区別して表現し、異なる意見の個人・グループと論理的に議論できる(DP2-6-B,DP3)。
授業計画
【全体】
前半の授業では、まず技術者倫理の基本とその歴史的背景、なぜ技術者倫理が必要なのかを解説するとともに、専門職としての技術者のあり方、行動規範を説明する。また、研究者としての行動規範や倫理観についても解説する。さらに、技術者が果たさなければならない責任について、ここに解説する。これにより、技術者倫理の基礎知識を身につける。後半の講義では、具体的に技術分野における倫理的な課題について説明したうえで、それぞれケースけスタディーを提示し、それについてグループで各ケースの倫理的問題点と解決策について議論し、グループでの結果をプレゼンテーションを行い、グループ間討議を行う。この活動により、科学技術にかかわる自分たちの倫理観の必要性を理解するとともに、倫理的な課題には正解はないが、倫理的に考えることで誤りが防げることを理解する。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 技術者の社会的責任と倫理 倫理とは何か、倫理と法、技術者の責任、専門職としての技術者
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第2回 技術者の行動規範 技術者倫理の歴史、倫理的な行動、行動規範、リスク管理
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第3回 研究倫理 研究者の行動規範、不正行為、研究ノート、データの扱い、オーサーシップ、研究費の取り扱い
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第4回 説明責任 公衆の知る権利、守秘義務と説明責任、信頼関係、リスクコミュニケーション
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第5回 技術情報と知的財産権 営業秘密、知的財産の種類、特許権、著作権、職務発明
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第6回 内部告発 技術者の二つの立場、組織不正、内部告発者の保護
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第7回 製造物責任 製造物責任法(PL法)、製造者の責任と使用者の責任、品質管理
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第8回 安全性確保・ヒューマンエラー・技術レベル 安全と安心、危険予知、ヒヤリハット、ハインリッヒの法則、技術力不足資格
到達目標を確認する
配布資料の該当箇所について予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
学習用の資料,予習復習用講義ビデオをMoodleに掲載する
第9回 中間まとめ(理解度確認試験) 第8回までの内容についての理解度を確認するためのテストを実施する 到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第10回 化学と倫理 化学物質とリスク、化学実験とリスク、化学物質・化学技術のリスク管理、ケーススタディー
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第11回 ナノテクノロジーと倫理
バイオテクノロジーと倫理
社会的期待、ナノテクノロジーのリスク、ケーススタディー
バイオテクノロジーにおける倫理、動物実験、クローン技術、脳科学、ケーススタディー
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第12回 情報ネットワーク社会と倫理 情報新技術と倫理 個人情報、知的財産権侵害、ネットワーク犯罪、ソーシャルメディア、ケーススタディー
ビッグデータ、仮想現実、人工知能、情報セキュリティ、ケーススタディー
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第13回 環境保全と倫理 人間と環境、環境・資源問題、エネルギー問題、環境保全、ケーススタディー
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第14回 多様性社会と技術者倫理 人権、ユニバーサルデザイン、グローバル化、科学技術の多様化、ケーススタディー
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
第15回 地質技術と技術者倫理 公共事業における地質調査、土木工学に必要な地質情報、地質技術者の責任と倫理
到達目標を確認する
第8週までの授業内容を確認しておく
予習・復習 (学修時間の目安:4時間以上)
担当教員の指示に従うこと
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 30% B: 30% C: 30% D: 10%
成績評価法
授業内レポート、発表、中間テストで評価する。
授業内レポート 50%、発表 10%、中間テスト 40%
教科書にかかわる情報
備考
授業に用いる資料は修学支援システムを通じて配布する。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 技術と倫理 ISBN 9784485665329
著者名 今村遼平 出版社 電気書院 出版年 2008
参考書 書名 はじめての技術者倫理 未来を担う技術者・研究者のために ISBN 9784061565470
著者名 北原義典 出版社 講談社 出版年 2015
参考書 書名 技術者の倫理 入門 ISBN 9784621300169
著者名 杉本泰治・高城重厚 出版社 丸善出版 出版年 2016
参考書 書名 「君ならどうする?」 : 建設技術者のための倫理問題事例集 ISBN 4886440657
著者名 「君ならどうする?」-建設技術者のための倫理問題事例集-編集委員会編 出版社 地盤工学会 出版年 2003
備考
上記図書を利用してほしい。
メッセージ
参考図書を活用して、予習・復習をしてください。最近の科学技術に関する事件や事故、公害問題などに関する新聞記事を読み、技術者の役割とその事象の問題点について考える習慣をつけてください。
「倫理観」を学ぶ授業です。「非倫理的」な授業態度の履修者は、授業内レポートの評価が低くなります。
キーワード
倫理、技術者倫理、科学、技術、研究、責任、実務家教員
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 安全な水とトイレをみんなに
  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • Life on land
  • パートナーシップで目標を達成しよう
  • パートナーシップで目標を達成しよう
(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(エネルギー)すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
(気候変動)気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
(海洋資源)持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
(平和)持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。
(実施手段)持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。
関連科目
土木地質学
履修条件
連絡先
理学部地球圏システム科学科 太田岳洋
Tel: 083-933-5753
E-mail: takohta@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
平日13:00~17:00

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