タイトル

開講年度 開講学部等
2025 医学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期 月7~8 講義 3.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1051550005 在宅看護学 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
永田 千鶴[NAGATA Chizuru]
担当教員[ローマ字表記]
永田 千鶴 [NAGATA Chizuru], 住田 靖子 [SUMIDA Yasuko], 東 麻美 [HIGASHI Mami], 原田 典子 [HARADA Noriko], 小早川 節 [KOBAYAKAWA Setsu], 竪山 悦子 [TATEYAMA Etsuko]
特定科目区分   対象学生   対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
 在宅看護学は、卒業認定に関わる「看護学専攻別専門科目」である。この科目は、2022年度から適用された新カリキュラムにより、2~4年次まで通して学ぶ在宅看護の基盤となる思想、理念などを、多様な角度から検討し、地域包括ケアシステムの中で、急速に進歩する医療に対応した在宅看護の在り方を見通す。在宅療養を望む人々に対する在宅移行期から、在宅療養継続支援、家族支援、在宅看護にかかわる制度・政策など、在宅看護の現状と課題を学ぶ。
 訪問看護ステーションの管理者としての実務経験を有する科目責任者、訪問看護ステーション管理者、在宅療養支援診療所の医師、小児救急認定看護師、在宅ケア経験者および在宅・老年看護領域の研究者が担当し、経験を活かし、あらゆる年代のあらゆる疾患、あらゆるステージの療養者を対象とする在宅看護の特性を理解できるように、具体的な実践をまじえながら教育・指導を行う。
授業の到達目標
「在宅看護学」は、看護学専攻別科目「地域・老年・在宅看護学」科目の最初の科目として、基礎看護学実習Ⅰを見据え、看護の場としての「在宅」を理解し、多様な看護実践の方法を具体的に検討できることを目指す。
1.在宅看護に対する社会的要請、在宅看護の意義、在宅看護の促進に向けた看護職の役割を理解する。
2.在宅看護にかかわる保健医療福祉システムを理解する。
3.在宅看護の現状と課題を理解し、看護のあり方を具体的に述べることができる。
4.基礎看護学実習Ⅰの実習事業所の1つである訪問看護ステーションの概要および機能を理解し、実習に臨むことができる。
5.4年次の在宅看護学実習では、訪問看護ステーションでの実習、自宅を生活の基盤とした居宅サービスおよび地域密着型サービスでの実習を体験し、卒業時には、医療機関とは異なる場での看護の在り方を考察できる。
授業計画
【全体】
 本講義は、在宅看護の基盤となる思想、理念などを、多様な角度から検討し、地域包括ケアシステムの中で、急速に進歩する医療に対応した在宅看護の在り方を見通す。在宅療養を望む人々に対する在宅移行期から、在宅療養継続支援、家族支援、在宅看護にかかわる制度・政策など、在宅看護の現状と課題を学ぶ。
1.受講生にとって在宅看護をイメージしやすい授業展開とする。
2.在宅看護への関心が高まるよう,各教員の専門性にもとづいた内容とする。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 1.在宅看護学の意味と位置づけ
施設看護と在宅看護の違いを明らかにした上で、地域看護と在宅看護、在宅看護と在宅医療、在宅福祉、在宅ケアとの関係、看護教育の中での在宅看護学の位置づけを学ぶ。
看護教育の始まりが在宅看護であったこと、在宅看護学が「看護の統合と実践」から地域・在宅看護学論に名称を変えて基礎看護学と並行して学ぶ位置づけになったことの理解を深めておくこと。
授業資料やテキストを用いた予習と授業内容を振り返り、コメントシートに整理する必要がある。事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。
在宅看護学の意味と位置づけを説明できる。
第2回 2.在宅看護の特性 学生自身のライフコースにおける最期を迎える場の選択肢として、在宅および施設での療養について考える。在宅看護および施設看護の利点・欠点を話し合う中で、在宅看護をイメージできる。 医療機関での看護と在宅看護の違いをイメージしてくる。講義終了後には在宅看護の特性を明確に記載したコメントシートを提出する。
事前・事後学習の目安は目安はぞれぞれ2時間である。
在宅看護の特性を説明できる。
DVDを視聴します。
第3回 3.在宅看護の社会的背景 在宅看護の始まりや、訪問看護制度の創設から介護保険制度に至る発展の過程を学び、在宅看護の目的と機能を明確にし、その促進の社会的背景を学ぶ。また、将来に向けた在宅看護の課題や展望を理解し、取り組むべき看護について考える。 テキスト地域療養者を支えるケアの「第1章地域・在宅看護の概念 2.地域・在宅看護の背景」を読んでおいてください。日本の地域・在宅看護の変遷とその社会的背景について説明できるように、事前・事後学習をそれぞれ2時間程度行ってください。 日本の地域・在宅看護の変遷とその社会的背景を説明できる。
第4回 4.在宅看護の理念・目標・原則 在宅看護が成立する要件の1つに在宅療養者・家族の意向の尊重が挙げられる。在宅療養者・家族の意向を明確にした上で、自立支援、すなわち自己決定への支援の在り方を学ぶ。 「自立とは何か」整理しておく。
復習により自己選択・自己決定を支援する専門職の役割を整理する。不合理な自己決定について考えをまとめ、コメントシートに記載する。在宅看護の目的と基本理念、関連する概念、原理原則について理解できるように、事前・事後学習をそれぞれ2時間行ってください。
在宅看護の目的と基本理念、関連する概念、原理原則について自らの考えを交えて説明できる。
第5回 5.訪問看護の現状① 訪問看護ステーションが行う訪問看護の実際について知る。訪問看護ステーションの全国的な動向から山口県の動向について理解する。介護保険制度および医療保険制度下の訪問看護、行政からの訪問指導の看護内容の違いや特徴を理解する。 訪問看護ステーションでの訪問看護の実際について、質問や感想などをレポートにまとめ、提出する。
在宅看護の対象者の特性とその支援の基本を説明できるように、事前・事後学習をそれぞれ2時間行ってください。
在宅看護の対象者の特性とその支援の基本を理解するために、訪問看護ステーションでの看護の実際を学ぶ。
第6回 6.訪問看護の現状②  訪問看護導入時の調整、信頼関係の構築、ケアマネジャーや医師など多職種との連携の在り方、24時間体制や訪問看護の課題、訪問看護ステーションの運営・管理について学ぶ。 質問や感想などをレポートにまとめ、提出する。
復習により訪問看護ステーションの概要、訪問看護師の特性を説明できる。講義後訪問看護ステーションの役割・機能を整理し、コメントシートに書くことができる。
事後学習の目安は4時間である。
訪問看護ステーションの役割・機能を整理し、記述できる。
第7回 7.在宅医療①
在宅医療の実際および病診連携・診診連携について知り、在宅医療の推進の現状と課題を学ぶ。
訪問看護ステーションとの連携について事例を通して学ぶ。
在宅療養支援診療所について調べておく。講義後質問や感想などをレポートにまとめ、提出する。
予習により、在宅医療の課題について調べておく。
復習により在宅療養支援診療所について説明できる。
事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。
在宅医療の課題とその解決策を自らの考えを交えて記述できる。
第8回 8.在宅医療② 在宅医療の実際:自宅で提供される医療の実際を学ぶ。
ポータブルの医療機器や検査方法に関する知識を得る
講義後質問や感想などをレポートにまとめ、提出する。
復習により病院と診療所、訪問診療と往診、病院医療と在宅医療の違い、特性を説明できる。
事後学習の目安は4時間である。
在宅医療を推進するためにまず何をすべきか考えを述べることができる。
第9回 9.在宅看護におけるマナーと家族支援 在宅看護を提供するにあたっての基本的なマナーについて学ぶ。具体的には身だしなみや言葉づかい、姿勢等を学ぶ。
在宅看護では家族支援は必須であり、複雑な事情を整理しながら介入するアセスメント能力を身につける。 
マナーの前提となる倫理的な課題を認識しておく。
事前学習1時間・事後学習の目安は2時間である。
基礎看護学実習をイメージしながら講義に臨む。
第10回 10.小児の在宅看護  医療依存度の高い在宅療養者の看護について理解する:医療依存度の高い小児を含む在宅療養者に対する医療・看護の実際を学ぶ。
小児の在宅看護についてイメージし、小児看護学の講義を復習しておくこと。医療的ケア児の定義を調べておいてください。
事前学習は2時間、事後学習の目安は3時間である。
オンラインで実施予定です。
日程を変更する場合がありますので、修学支援システムからのメッセージを頻繁に確認してください。
第11回 11.災害時の在宅看護 在宅療養者および家族にとって、災害対策が必要であることを理解し、その内容を学ぶ。
在宅看護における安全と健康危機管理について、P.234-249を読んでくること。
災害時に看護職として何ができるのか、整理し、まとめておくこと。講義後看護師の役割を明確にし、また、訪問看護ステーションや訪問看護師に期待される役割や機能をコメントシートにまとめる。
事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。
災害への備えを行動レベルで考える。
第12回 12.地域包括ケアシステムにおける在宅療養継続支援
がん終末期や難病、重度の認知症患者、独居の高齢者など家族背景が複雑で介入が困難な療養者への在宅療養継続支援の在り方について学ぶ。医療職不在の場での連携の図り方、緊急時の対応方法などの在宅看護の提供の在り方を学ぶ。居宅としての地域密着型サービスでのケアの実際、看護師に求められる専門性について理解する。 
在宅療養継続を可能とするための安全管理を含めた視点と訪問看護師の役割を説明できる。講義後、地域包括ケアシステムの推進に対して何が必要かをコメントシートに整理する。
事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。
在宅ケアを支える制度や社会資源を説明できる。
第13回 13. ICFの理念と在宅看護
  
ICFの理念を理解し、ICFを活用した在宅看護の目標の立て方や提供方法を考える。
I
ICFについて他の講義で学んだことを復習しておくこと。
どのような情報をどのようにアセスメントして療養者の強みを理解するのか、ディスカッションしながら深める。
事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。
在宅療養者の強みを理解する方法を獲得する。
第14回 14.在宅移行支援 医療も介護も必要となる患者の在宅移行支援について理解する

在宅移行を実現するための多職種との連携・協働による退院調整および退院支援の在り方について事例を通して学び、看護職の役割を理解し、コメントシートに記載する。事前・事後学習の目安はそれぞれ2時間である。 医療機関において自宅退院を見据えた退院支援をするために必要な情報のアセスメントについて具体的に記述できる。
第15回 15.総括 基礎看護学実習での訪問看護ステーションでの実習に向けて準備ができる。
現在の訪問看護制度の基本について復讐する
在宅看護学での学びを総括し、今後の課題を明確にする。
在宅看護学の学びをレポートにまとめる。
事前学習の目安は1時間、事後学習の目安は3時間である。
訪問看護制度の基本を理解したうえで基礎看護学実習に臨む。
第16回 16.定期試験 これまでの講義内容全体から出題 これまでの講義内容全体を振り返り、出題
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 5% B: 25% C: --% D: --%
成績評価法
3分の2以上の出席者が評価対象となります。
授業内レポート10%、レポート30%、学期末の筆記テスト60%で評価します。
ルーブリック等の評価基準
ファイル名 備考
ルーブリック等の評価基準 2025在宅看護学ルーブリック.pdf
(注)ルーブリックとは、評価水準である「尺度」と、尺度を満たした場合の「特徴の記述」で構成される評価指標のことを言います。
教科書にかかわる情報
教科書 書名 地域・在宅看護論① 地域療養を支えるケア ISBN 9784840484718
著者名 臺 有佳、ほか編 出版社 メディカ出版 出版年 2025
備考
参考書にかかわる情報
参考書 書名 ゴードン博士のよくわかる機能的健康パターン ISBN 4796521240
著者名 マージョリー・ゴードン 出版社 照林社 出版年 2004
参考書 書名 グループホームにおける認知症高齢者ケアと質の探究 ISBN 9784623053605
著者名 永田千鶴 出版社 ミネルヴァ書房 出版年 2009
参考書 書名 地域・在宅看護論② 在宅療養を支える技術 ISBN 9784840484725
著者名 臺 有佳、ほか編 出版社 メディカ出版 出版年 2024
参考書 書名 地域・在宅看護論Ⅰ ISBN 9784524231270
著者名 石垣和子、ほか編 出版社 南江堂 出版年 2024
備考
資料(動画を含む)は修学支援システム上にアップします。
出席確認のための授業内アンケートおよび評価物の提出は修学支援システム上を予定しています。
個別指導はmoodleあるいはクラスルーム上での実施を検討しています。
メッセージ
在宅看護は、看護者としての判断力、行動力が求められ、責任感も重いのですが、施設看護にはない達成感が得られることをぜひ実感して欲しいと思います。在宅看護を深く理解するには、自分自身の生活体験を豊かにすることが大切です。看護者である前に、よき生活者となりましょう。よき生活者として、皆さんに一つお願いがあります。この科目は、外部講師の協力を得て成り立っています。本務でお忙しい中、講義してくださる講師の方々に、ぜひ気持ちの良い挨拶を心がけてください。また、在宅看護に関心を持ったり、質問などがある場合にはいつでも声をかけてください。
講義の日程変更やzoomでの遠隔講義について修学支援システムで連絡しますので、確認を頻繁にしてください。

キーワード
在宅看護、自立支援、連携協働体制、ICF、QOL、在宅移行支援、在宅療養継続支援、医療的ケア児支援、実務家教員
持続可能な開発目標(SDGs)

  • すべての人に健康と福祉を
(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
関連科目
基礎看護学,成人看護学,老年看護学,小児看護学,精神看護学,公衆衛生看護学概論,公衆衛生看護活動論,保健福祉行政論,在宅看護実践論をはじめ、全ての科目と関連があります。
履修条件
連絡先
永田千鶴 22-2830、nagata[at]yamaguchi-u.ac.jp
*[at]の部分を@に書き換えてメールしてください。
・修学支援システムのメッセージで連絡してください。
オフィスアワー
木曜日13:30〜14:30
アポイントメントととってください。

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