開講年度
開講学部等
2025
工学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期
水5~6
講義
3.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1061130310
機械設計論[Machine Design]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
古賀 毅[KOGA Tsuyoshi]
ー
担当教員[ローマ字表記]
古賀 毅 [KOGA Tsuyoshi]
特定科目区分
対象学生
対象年次
3~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
第1~10回:自動車や航空機・家電に代表される機械製品を設計するための方法論を,体系的に学びます.構想設計においてマーケットのニーズや顧客要件を,製造性や環境適合性を考慮しながら反映させる設計プロセスを学びます.さらに,クラッチや歯車などといった機械の構成要素の機能と運動などの特長を理解し,力学に基づき詳細仕様を計算し決定して,精度情報も含めて図面化する方法を学ぶことで,機械を設計するための基礎力を身につけます.
第11~14回:企業の現場で活躍する現役の機械設計技術者から,ものづくりの現場における設計技術者の役割と責任,倫理観,機械工学以外にも知っていなければならないこと,エンジニアとしてあるべき姿や姿勢を学びます.
なお本講義では,大手自動車メーカーにおける新車開発の実務経験を有する教員が,機械設計に関する講義を行います.
授業の到達目標
・機械設計の目的,基本的な考え方,設計に必要な基礎知識を説明できる.
・基本的な機械要素の役割,および設計基準を説明できる.
・機械工学で学ぶ材料や力学の知識の活用法を説明できる.
・故障や事故,環境破壊を起こさない安全な設計を行うために必要な視点や倫理について,説明できる.
・品質やコスト,リサイクル性など産業上で必要な視点を説明できる.
・機械装置に適した機械要素を選択でき,かつ選択理由を説明できる.
・設計上重要な箇所と,その箇所の設計手法を選択できる.
・倫理観をもって設計上優先すべき事項を選択できる.
・各種機械装置の設計における重要な項目,優先される項目に関心を持つ.
・設計が社会に果たす役割,影響について主体的に考えることかできる.
・良い設計技術者になるために身に付けなければいけないことを,説明できる.
・設計の失敗が社会に与える影響の重要性を理解することで,真摯な態度で機械設計を行うことができる.
・機能や強度といった設計の観点を考慮して,機械を図面で表現することができる.
授業計画
【全体】
座学による講義により理解した知識を,予習・復習を指示したレポート課題を実施することで確かなものにします.期末試験は筆記により到達度を確認します.講義中4回は,企業の機械現場の最前線で活躍する技術者を招き,実体験を基にした設計のエッセンスを学びます.
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
機械設計の手順
機械とは何か,機械の製品開発の実例,シンセシスの重要性と意義に関して理解する.また,機械設計の流れ,解析・評価,最適化の手順について学ぶ.
機械設計の手順に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第2回
構想設計
マーケットのニーズから機械製品の開発コンセプトを絞り込み,要求仕様として定義する手法を理解する.
構想設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第3回
基本設計
加工を考慮した設計,溶接のしやすさを考慮した設計といった,信頼性・製造性・リサイクル性などといった多様な要求を考慮し良い基本設計を行う方法(DfX)を学ぶ.
基本設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第4回
機械の強度と剛性
機械設計の基本である物への力の加わり方を学び,材料の強度設計の方法(応力集中,クリープ現象,疲労限度など)を理解する.
機械の強度と剛性に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第5回
機械の精度と規格
規格の必要性と精度の種類に関して理解し,寸法公差と幾何公差,はめあいの種類,表面粗さなどの図示例と解釈を学ぶ.また,精度鈍感設計の概念と適用例を理解する.
機械の精度と規格に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第6回
締結要素の設計
機械の締結要素である,ねじや座金などの設計を学ぶ.締結要素の歴史,分類と規格を知り,ねじの物理と強度設計ができるようになる.
締結要素の設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第7回
軸および軸継手の設計
機械の構成要素である,軸および軸継手の設計を学ぶ.軸の種類,軸のねじり剛性と曲げ剛性,危険速度を学び,軸継手の種類と用途を理解する.
軸および軸継手の設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第8回
ベルトの設計
機械設計において機械の回転伝達要素であるベルトやチェーンについて講述する.
ベルトの設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第9回
クラッチ,ブレーキの設計
動力の伝達をON・OFFできる要素であるクラッチ,および制動要素であるブレーキについて講義を行う.
クラッチ,ブレーキの設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第10回
リンク・カム,バネ・マスの設計
機械設計において機械の直線・回転運動伝達要素であるリンク・カム機構,防振・緩衝要素であるバネについて講述する.
リンク・カム,バネ・マスの設計に関する予習とレポート課題
(学修時間の目安:準備学習2時間,復習2時間以上)
第11回
機械設計技術者による講演(1)
講師:機械設計者
エンジニアのEmployabilityの伸長のために、将来展望を持ちながら、専門性だけでなく、汎用性を意識してより幅広い知識や考え方を習得しておくことの必要性について述べる。
機械設計技術者によるレポート課題1
(学修時間の目安:4時間以上)
第12回
機械設計技術者による講演(2)
講師:機械設計者
エンジニアの資質として、安全⇔危険といった側面において、どのような失敗の形(Failure Mode:故障モード)が想定されるかを予め見抜く「洞察力」の重要性について述べる。
機械設計技術者によるレポート課題2
(学修時間の目安:4時間以上)
第13回
機械設計技術者による講演(3)
講師:製鉄装置設計者
自動車用鋼板製造用熱処理炉設備の設計を例に、機械設計者が行う設計の内容と利用する工学を具体的な設計検討事例を用いて紹介する。さらに、設備を設計する上で適用される法規、安全性の検討事例(Fail safeの考え方)を紹介する。
機械設計技術者によるレポート課題3
(学修時間の目安:4時間以上)
第14回
機械設計技術者による講演(4)
講師:製鉄装置設計者
過去に経験した失敗事例について、失敗の原因と解決アプローチを紹介し、設計者が考えておくべき範囲と責任の重さ、合否判断の重要性、問題を解決する手段が成立した時のエンジニアとしての喜びを述べる。
機械設計技術者によるレポート課題4
(学修時間の目安:4時間以上)
第15回
定期試験
筆記により試験を実施します.
しっかり復習して高得点を取れるよう準備することを期待します.
(学修時間の目安:12時間以上)
第16回
総括
これまでの講義および試験の総括
詳細は授業内で指示します.
(学修時間の目安:8時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 30% C: --% D: --%
成績評価法
各項目についての理解度を,定期試験および課題レポートにより総合評価する.出席は欠格条件とする.
定期試験(中間・期末試験): 100%
出席: 欠格条件
小テスト・授業内レポート: 欠格条件
宿題・授業外レポート: 欠格条件
授業態度・授業への参加度: 欠格条件
受講者の発表(プレゼン): 欠格条件
演習: 欠格条件
ルーブリック等の評価基準
ファイル名
備考
ルーブリック等の評価基準
ルーブリック評価基準-機械設計論.pdf
(注)ルーブリックとは、評価水準である「尺度」と、尺度を満たした場合の「特徴の記述」で構成される評価指標のことを言います。
教科書にかかわる情報
教科書
書名
機械設計法
ISBN
4627605730
著者名
塚田忠夫 [ほか] 共著
出版社
森北出版
出版年
2015
備考
参考書にかかわる情報
備考
メッセージ
機械設計は,価値を生み出し世の中を豊かにする創造行為そのものであり,設計者の全力量が問われる工学の集大成といえます.素晴らしい製品を世に送り出した際に得られる対価は大きく,夢の実現という面がある一方で,信頼性や環境負荷適合という社会的受容性の満足は必須となります.そのためには設計の理論と方法論をしっかり身に着けることが重要ですので,本講義を出発点にして,設計力の向上に努めてください.
キーワード
機能設計,設計プロセス,製造性設計,信頼性設計,エコデザイン,設計強度,ロバスト性,ボルトとナット設計,軸と軸受の設計,ベルトとチェーン設計,ばね設計,クラッチ設計,ブレーキ設計, 実務家教員
持続可能な開発目標(SDGs)
(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(エネルギー)すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
関連科目
機械基礎製図I,機械基礎製図II,機械材料基礎,材料力学Ⅰ,材料力学Ⅱ,機械力学,機構学,機械工作学,機械加工学,実務家教員
履修条件
材料力学の知識を必要とする。
連絡先
E-mail koga アット yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
水曜日 15:00-17:00
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