開講年度
開講学部等
2025
工学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期集中
集中
講義
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1061621290
西洋建築史[History of Western Architecture]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
西田 雅嗣[NISHIDA Masatsugu]
ー
担当教員[ローマ字表記]
西田 雅嗣 [NISHIDA Masatsugu], 清水 里司 [SHIMIZU Satoshi]
特定科目区分
対象学生
対象年次
2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
西洋文化が考える「西洋建築」の歴史の全体像の標準的な姿を学ぶ授業である。西洋における「建築史」は、建築学、芸術学、歴史学、考古学、社会学、人類学などのより上位の学術諸分野の一部を構成する分野であると同時に、19世紀以来、自律した独立の学術分野である。建築学の一部として建築設計に役立つ情報を提供したり、芸術学の一部として建築の価値評価を行ったりと、さまざまに建築史は役立つ。さらには哲学の一部として建築とは何かという議論も建築史に関係する。西洋で成立したこうした「建築史」で、西洋建築の世界を概観して西洋建築の有り様を知る授業である。
西洋の文化は歴史を、古代・中世・近代の三つに区分し、それぞれの時代をさらに時代様式で区切る。古代のギリシャから始まり近世の歴史主義までの時代様式を辿り、それぞれの時代様式の特質や代表的建築、時代様式の変化の過程を学ぶのがこの授業である。授業の各回は、概ね、教科書『ヨーロッパ建築史』の「はじめに」から12章までの各章に対応していて、授業は基本的に教科書の内容を講述することになる。時間を区切る時代を様式に仕立て上げ、その連続を歴史とする西洋の建築史観で見る西洋建築史である。教科書というものは読んでたちどころに理解できるものではない。教科書を読んで理解できるようになるには講義を聞く必要がある。この授業が伝えたい内容は、教科書『ヨーロッパ建築史』に書かれてある内容全てであると考える。
教科書が辿る西洋建築史は19世紀末までであるが、この「西洋建築史」の授業は第二次世界大戦までの近代までを講述する。19世紀末以降の「近代」については、教科書を使用せずに資料を配布する。
授業の到達目標
西洋建築と西洋建築の歴史を理解するための基礎的な知識を身につけることができる。
授業計画
【全体】
教科書『ヨーロッパ建築史』(昭和堂)に従って授業を進める。基本的に教科書の内容を、教科書の順序通りに授業で取り上げる。ただし、各章の1節にある、それぞれの様式の建築的特徴に力点を置いた講述を心がける。一読してもすぐには理解しづらい教科書を、各自が読んで理解できるようになってもらうことが授業の目標である。
ギリシアとローマの「古代」から始まり、ロマネスクとゴシックを代表とする「中世」を経て、ルネサンス、バロック、古典主義、新古典主義、歴史主義と折衷主義と続く「近世」を、教科書に従って講述する。
教科書掲載の写真や図は大きさも小さく点数も限られているので、毎回の授業では、パワーポイントを使って多くの写真や図を投影する。パワーポイントを映しながら講述する形式の授業である。
教科書は、「近世」の後の「近代」は扱っていないが、「近代建築史」の授業を持たない本学のカリキュラムを勘案して、この授業では、19世紀末以降第二次世界大戦までの近代建築もパワーポイントを使って講述する。教科書に無い「近代建築史」の部分の内容については、資料を配布する。このシラバスの「参考書にかかわる情報」に、この「近代」の部分の授業の参考になる本をあげてある。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
【はじめに】・目次(教科書 p.i-iv)
panorama 建築の古典古代(教科書 p.2-4)
panorama 建築の中世(教科書 p.52-54)
panorama 建築の近世(教科書 p.136-139)
- 西洋建築史の代表的建築の紹介
- 時代区分と様式
- 建築の古典古代・建築の中世・建築の近世
- 時代様式の成立と西洋建築史の構造
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第2回
【古典古代の建築】01 古代ギリシア建築(教科書 p.5-27)
01-1 ギリシア建築 - 建築美の追求
01-2 古代ギリシア建築の展開と主要な建築
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第3回
【古典古代の建築】02 古代ローマ建築(教科書 p.28-50)
02-1 古代ローマ建築 - 構造と空間と装飾
02-2 建築のタイポロジーの拡大
02-3 古代ローマ建築の拡大
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第4回
【中世の建築】03 初期キリスト建築(教科書 p.55-65)
03-1 キリスト教の建築 - 2つの形式
03-2 初期キリスト教建築の諸相
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第5回
【中世の建築】04 ビザンティン建築(教科書 p.66-75)
05 プレ・ロマネスク建築(教科書 p.76-86)
04-1 古代ローマ建築の正統と独自のキリスト教建築
04-2 ビザンティン建築の展開
05-1 西欧建築の出発点
05-2 「ローマに倣え」- カロリング朝の建築
05-3 カロリング朝の周辺で - ロマネスクの予形
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第6回
【中世の建築】06 ロマネスク建築(教科書 p.87-92)
06-1 ロマネスクの教会堂
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第7回
【中世の建築】06 ロマネスク建築(教科書 p.92-109)
06-2 フランス・ロマネスク
06-3 ヨーロッパのロマネスク
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第8回
【中世の建築】07 ゴシック建築(教科書 p.110-114)
07-1 ゴシックの大聖堂
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第9回
【中世の建築】07 ゴシック建築(教科書 p.114-134)
07-2 フランス・ゴシック
07-3 ゴシックの国際化
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第10回
【近世の建築】ルネサンス建築(教科書 p.140-152)
08-1 建築におけるルネサンス
08-2 イタリアのルネサンス建築
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第11回
【近世の建築】ルネサンス建築(教科書 p.152-159)
08-3 ヨーロッパのルネサンス建築
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第12回
【近世の建築】バロック建築(教科書 p.164-180)
09-1 祝祭の劇場 - バロック建築
09-2 イタリア・バロック建築の展開
09-3 ヨーロッパにおけるバロック建築の諸相
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第13回
【近世の建築】古典主義建築(教科書 p.181-196)
10-1 ローマ「バロック」に対抗する表現様式としての「古典主義」
10-2 フランスにおける古典主義建築の展開 - 建築家とその作品
10-3 イギリスにおける古典主義建築の展開 - 建築家とその作品
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第14回
【近世の建築】新古典主義建築(教科書 p.197-210)
11-1 新古典主義建築とは
11-2 新古典主義の建築家と作品
11-3 ドイツの新古典主義建築とグリーク・リヴァイヴァル
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第15回
【近世の建築】歴史主義と折衷主義の建築(教科書 p.211-223)
12-1 ピクチュアレスク
12-2 ゴシック・リヴァイヴァル
12-3 ネオ・ルネサンスとネオ・バロック
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第16回
【近代の建築】近代建築 - 近代化と新しい建築(資料配布)
【期末試験】レポート課題の出題
- 近代建築
- アーツ・アンド・クラフツ
- 工業化社会の建設技術
- アール・ヌーヴォーと近代の建築表現
- モダニズム建築
- レポート課題の説明
配布資料の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度配布資料を読んで復習をすること。
授業後、出題されたレポートを執筆し、期日までに提出する。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
授業内の小レポートと学期末のレポートで評価します。
授業内の小レポート:10%、学期末のレポート:90%
教科書にかかわる情報
教科書
書名
ヨーロッパ建築史
ISBN
4812298016
著者名
西田雅嗣編
出版社
昭和堂
出版年
1998
備考
授業はこの教科書に従って進めます。授業に必ず持参してください。授業では、教科書の内容全てを講述することはできませんが、この授業が最終的に伝えたい内容の全体は、この教科書に書かれてあること全てです。授業で講述できない部分があっても、教科書を読むことで知識を得てください。講義室での授業の目標は、この教科書を一人で読んで理解できるようになることです。
教科書は「近世」までしか扱っていませんが、第16回の授業では「近代」について講述します。教科書が扱わない「近代」の部分については、適宜Moodleに資料をあげるなどします。
参考書にかかわる情報
参考書
書名
近代建築史
ISBN
9784870711341
著者名
鈴木博之編著 ; 五十嵐太郎, 横手義洋著
出版社
市ヶ谷出版社
出版年
2010
参考書
書名
図説西洋建築の歴史 : カラー版
ISBN
9784761527945
著者名
西田雅嗣編著 ; 小林正子 [ほか] 著
出版社
学芸出版社
出版年
2022
参考書
書名
歴史の建築意匠 : 西洋と日本、意味と形
ISBN
9784812223086
著者名
西田雅嗣著
出版社
昭和堂
出版年
2024
参考書
書名
西洋建築史図集
ISBN
4395000215
著者名
日本建築学会編
出版社
彰国社
出版年
1981
備考
これら四冊の参考書については、購入を求めるものではありません。授業で直接使用することはありません。
鈴木博之編著『近代建築史』は、授業の第16回の「近代の建築」をより詳しく勉強したい人にために適した本です。大学課程の「近代建築史」の授業のための教科書として書かれたものの中では優れたものだと思います。
『図説西洋建築の歴史 : カラー版』は、指定した教科書と同じ編者によるもので、教科書とほぼ同様の内容ですが、教科書に指定した『ヨーロッパ建築史』よりも少し形式的で機械的な構成になっていて、記述も多少羅列的な感じです。ただ、小さいですが写真は全てカラーです。
『歴史の建築意匠 : 西洋と日本、意味と形』は、様式史とは違った角度から過去の建築をさまざまに考える建築講話です。授業を通じて建築史に興味を持ったならば、歴史建築への興味をいろんな方向へ広げてくれる本です。
日本建築学会編『西洋建築史図集』は、「西洋建築史」の主要な建築のほぼ全ての写真が載っているので、永く役にたつ参考書です。写真は全てモノクロで、大きさも小さいですが、後半に詳しい個別の建物解説があります。
その他、各様式や各国の建築についての参考書は適宜授業中に紹介します。
メッセージ
世界史の基礎知識が少なくても理解できるように講述しますが、世界史の知識があると、よりリアルに授業内容が感じられると思います。高校の時の世界史の教科書や、一般読者向けの世界史の教養書などで、ヨーロッパの歴史を見ておくと授業理解に役に立つと思います。授業は、パワー・ポイントを使って大量の画像を見てもらう講義です。講義内容は教科書に書いてあることなので、授業中は基本的に、話をよく聞いてパワーポイントの画面をよく見ることに注力してください。受講前に教科書の該当箇所を読んでくると、たとえ教科書の内容がその時には十分に理解できなくても、授業で講述される話に興味を持てると思います。
時の流れの中でさまざまに様式を変えていくヨーロッパの建築世界や西洋建築の形の裏にある意味の世界を知って下さい。
キーワード
建物、建築、歴史、建築史、様式、時代様式、ヨーロッパ建築、西洋建築史、宗教建築、世俗建築、古代、中世、近世、近代、ギリシア、ローマ、ビザンティン、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、新古典主義、歴史主義、近代建築、モダニズム
持続可能な開発目標(SDGs)
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
関連科目
デザイン概論、建築デザイン論、日本建築史
履修条件
連絡先
西田雅嗣メール:
2014hisarchi@gmail.com
オフィスアワー
非常勤講師なので、上記連絡先に記したメールでの連絡・質問・相談を基本とします。また、授業の前後の時間を利用しての直接の質問等への対応は可能です。
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