開講年度
開講学部等
2025
工学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期
水3~4
講義
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1062130530
システム制御工学[Modern Control Engineering]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
藤井 文武[FUJII Fumitake]
ー
担当教員[ローマ字表記]
藤井 文武 [FUJII Fumitake]
特定科目区分
対象学生
対象年次
3~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
現代制御理論に基づく制御系の設計とシステム解析を行うために必要な基礎的知識について講義する。授業時間内及び宿題として,制御系設計のための数値計算ツール(GNU Octave)を利用した演習を行う.問題は Moodle システムを通じて開示するので,受講生は各回の講義に octave がインストールされたノートPCとLANケーブルを持参すること.
授業の到達目標
【知識・理解の観点】
・状態空間におけるシステムの表現法が理解できること。また、伝達関数,微分方程式と状態空間モデルの相互関係と変換計算の方法を理解できること。
・システムの安定性の概念が理解でき、状態空間表現されたシステムの安定性判断方法を理解できること
・線形システムの構造(可制御性・可観測性)が理解できること.また,可制御性,可観測性に基づく状態空間の分解について理解できること.
・レギュレータの設計方法(極配置,LQ最適制御)が理解できること
・レギュレータ及びオブザーバーを使用した制御系の構成法が理解できること
・レギュレータとサーボコントローラの働きの違いを理解できること
【思考・判断の観点】
・与えられたシステムに対する状態微分方程式の記述法が説明できること
・可制御性、可観測性の意味が説明できること
・システムの安定性及び、安定判別の方法について説明ができること
・レギュレータ及びオブザーバーを使用した制御系の構成法が説明ができること
【関心・意欲の観点】
・種々の制御システムの動作原理について関心・興味を持つこと
・状態空間で記述されたシステムの伝達関数計算と,伝達関数で記述されたシステムの実現が実行できること
・線形システムの構造解析を実行できること
【技能・表現の観点】
・状態フィードバックによる極配置制御のフィードバックゲイン行列が計算できること
・LQ最適制御の状態フィードバック解を計算できること ・オブザーバーの原理を理解し,オブザーバーゲインを実際に求めることができること.また併合系における分離公理の意 味を理解できること.
・1型サーボ系の設計方法である Smith-Davison の方法を理解し,サーボコントローラを設計できること ・以上の各項目を,制御系CAD (GNU Octave / MATLAB) を用いて実行できること.
授業計画
【全体】
最初に、状態空間におけるシステムの表現法について説明をし、それをもとにシステム行列の構造に基づいて定まる性質(可制御性,可観測性)と,それらに基づく状態空間の分解法について説明をする。次に安定性について説明するとともに,伝達関数モデル→状態空間モデルへの書き換え(実現問題)の方法を述べる.最後に、極配置,LQ最適制御の2つの設計法を解説したのち,観測器の設計(進度によってはカルマンフィルタについても説明する),観測器を用いた状態フィードバック制御系(併合系)の特性と,サーボ系設計問題について講義する。
授業中の演習あるいは宿題として問題を出題することがある.受講生は毎回の講義に GNU octave がインストールされたノートPCを持参すること.
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
イントロダクションとoctaveのインストール
システム表現,状態変数とは?状態方程式の例
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第2回
システムの記述
伝達関数表現と状態空間表現
状態方程式の導出
非線形システムの線形近似
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第3回
システムの応答
状態遷移行列,状態方程式の解
固有値の位置と応答の関係(モード)
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第4回
線形空間の構造
行列のランク
基底ベクトル
image
kernel
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第5回
代数的に等価なシステムと座標変換
対角正準系,可制御正準形と可観測正準形の定義
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第6回
定係数システムの可制御性
可制御性の定義、可制御性の判定方法、可制御部分空間,可制御性に基づく状態空間の分解
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第7回
定係数システムの可観測性
可観測性の定義,可観測性の判定方法,不可観測部分空間,可観測性に基づく状態空間の分解
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第8回
可制御正準系,可観測正準系
完全可制御(可観測)なシステムから正準形への変換
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第9回
リアプノフ方程式とシステムの安定性
システムの安定性を特徴づける固有値解析以外の方法として,リアプノフ関数,リアプノフ方程式と,それらを用いたシステムの安定性判別法について説明する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第10回
極配置と状態フィードバック制御
レギュレータ(安定化制御器)の設計手法として,状態フィードバックによる極配置法を取り上げ,状態フィードバックゲインの設計法を解説する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第11回
LQ最適制御1
「LQ最適制御問題」について説明し,評価規範と安定性の関係,最適状態フィードバックゲインの導出について説明する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第12回
LQ最適制御2
LQ最適制御を利用する際に理解しておくべき,重み行列と過渡応答特性の関係について説明するとともに,最適制御のロバスト性を示す円条件について,その意味を概説する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第13回
観測器の設計
全状態観測器と最小次元観測器の違い,全状態観測器の設計を説明したのち,併合系の安定性(分離公理)について説明する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第14回
サーボ系の設計
Smith-Davison の方法に基づく1型サーボ系の設計方法を説明し,スクリプトを用いてその動作を確認する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第15回
カルマンフィルタとは
システムノイズ及び観測ノイズの存在下で,最小二乗推定値を与えるカルマンフィルタの定式化,およびカルマンゲインの導出について説明する.
授業の内容を復習するとともに,内容定着のため演習課題に取り組み提出すること.(学修時間の目安:4時間)
第16回
期末試験
授業全体の理解度を評価するための試験を実施する.
A4で1枚にまとめたメモの試験中参照と,octave の利用を許可する.
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
問題演習の宿題(Moodle 経由) 20%
学期末の筆記テスト 80%
教科書にかかわる情報
教科書
書名
わかりやすい現代制御理論
ISBN
9784627921412
著者名
森 泰親
出版社
森北出版
出版年
2013
備考
上記の書籍に掲載されていないことについては,必要に応じて板書による説明や補助資料の配布などを行う.
参考書にかかわる情報
備考
メッセージ
この講義では「現代制御理論」と呼ばれる制御理論の体系を学びます.「基礎制御工学」と「機械工学演習C」で学んだ「古典制御理論」と合わせて,制御の基礎とされている内容です。
現代制御理論では,制御対象に関する情報を状態方程式と観測方程式という数式から取り出し,対象の特性を知り,それを活かして制御方法を考えます。行列が表す空間情報についての基礎的な概念の理解があれば,具体的な計算は octave 等のツールを効果的に利用して実行できます。頭を働かせ,手を動かして現代制御を理解してください。「自分で制御系を組み立てる」ことの面白さの一端を是非体験してください。
キーワード
状態方程式、可制御性、可観測性、レギュレータ、オブザーバ、安定性、最適制御、サーボ系
持続可能な開発目標(SDGs)
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
関連科目
微分積分学,線形代数および演習,線形代数及び解析続論,基礎制御工学,機械工学演習C
履修条件
連絡先
E-mail:ffujii[at]yamaguchi-u.ac.jp (機械社建棟5階)
オフィスアワー
質問がある場合,事前にお尋ねください(授業終了後に口頭で,後日のメールどちらでも可)
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