タイトル

開講年度 開講学部等
2025 工学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 火1~2 講義  
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1062320170 生物化学II[Biological Chemistry II] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
星田 尚司[HOSHIDA Hisashi]
担当教員[ローマ字表記]
星田 尚司 [HOSHIDA Hisashi]
特定科目区分   対象学生   対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
 生物は,生物由来の分子を細胞内に取り込み,基本的には,種々の分子に変換し自身を構成する分子を合成するための材料とエネルギー源として利用する。その過程では,細胞内に取り込んだ分子を分解して,エネルギーや材料分子を獲得し,さらに獲得したエネルギーと材料分子を使って,自身を構成する分子,つまり,単糖,多糖,脂肪酸,アミノ酸,タンパク質,ヌクレオチド,核酸を合成する。このような細胞内での分子の分解と合成の一連の反応を「代謝」といい,生物化学Ⅱではこの代謝を学ぶ。代謝は細胞の状況に合わせて絶妙に調節されていて,ヒトであれば健康の基本。また病気の原因となる代謝は医薬品開発ターゲットでもある。細胞を使った発酵生産や有用物質生産においては,代謝経路を上手く制御することが求められ,応用的観点でも面白い。生物化学Ⅱでは,ヒトを含めた生物の基本的代謝を学び,細胞を利用した物質生産,ヒトの健康の2つの観点から代謝を考えることを通して,生命工学関する専門的基礎知識を身につける。
授業の到達目標
主要代謝経路の重要な反応を知りとこれら経路の意義を理解し,細胞の状況に応じた代謝経路の調節を考えることができる。
代謝をヒトの活動や病気,あるいは微生物による物質生産と関連づけてとらえることができる。
積極的に疑問や自身の意見を述べることができる。
授業計画
【全体】
授業は各代謝経路を理解するための講義を中心に進めるが,各授業回のテーマに関連した演習も含む。また,予習を提示し,予習時に思った疑問を事前質問として受け付け,講義時にその解説をする。
担当形態は単独です。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 生物を食べて生物ができる

~代謝
生物は究極のリサイクルシステムと進化させてきたといえるのかもしれない。生物と取り込んで,新たに生物を作り上げることの繰り返し。生物化学Ⅰの復習もしながら代謝を考える。 代謝に関連する話題を探してみる。
(宿題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第2回 お米も,パンも,パスタも

~解糖経路
食物に含まれる糖質の基本はデンプン。デンプンはグルコースとなって代謝される。この最初の代謝経路が解糖経路。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第3回 余ったものは貯めておく

~グリコーゲン代謝
余剰のグルコースは無駄に分解せずグリコーゲンに変換して蓄える。こうしておくと,後で必要な時に使える。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第4回 運命を分けるものは何か

~発酵とTCAサイクル
利用できる酸素の量に応じて解糖経路で生じた分子の行く先が変わる。酸素がない嫌気的な代謝の発酵と,酸素があるときのTCAサイクル。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第5回 手渡し手渡し,手渡し手渡し

~電子伝達系
TCAサイクルで得た還元的分子が持つ電子を次から次へと移動させていく。そうすることで,ダムに水がたまるように,プロトンを貯める。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第6回 まるで水力発電

~ATP合成
ダムから水を流して発電するように,電子伝達で貯めたプロトンを流して,細胞の共通化学エネルギーATPを合成。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第7回 行くか,戻るか

~解糖経路の調節と糖新生
エネルギー分子ATPや中間代謝産物の存在量は,細胞の状態を示すバロメーター。それらに合わせて,貯めるか使うか代謝を制御。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第8回 生物にとっての太陽電池

~光リン酸化
ほぼすべての生物のエネルギーは太陽光に由来する。物理的な光エネルギーを生物が利用できる化学エネルギーへ変える仕組みは。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第9回 回り道も必要です~

ペントースリン酸経路
グルコースはいつも同じ経路を通るわけではなく,細胞の状況に合わせて違う経路に入る。そこで作り出すものは何で,その目的は? 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第10回 もう一つのエネルギー源

~脂質の分解
脂質も大きなエネルギー源。アセチルCoAにさえすれば,後は糖質の場合と同じ経路でATPまで至ります。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第11回 逆戻りはできません

~脂質の合成・貯蔵
余剰なものはエネルギーを消費してでも貯めておく。2+1で3にしておきながら,2しか使わない変な代謝。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第12回 限られた生物の特権

~窒素固定
窒素も重要な生体分子の構成要素。アミノ酸の窒素の由来と,窒素の行方。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第13回 すべての道はどこに通じる?

~アミノ酸炭素骨格の代謝
アミノ酸の使い道はタンパク質だけではありません。TCAサイクルに入ってしまえば変幻自在。エネルギーに,糖に,脂質に。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第14回 旗印のように

~ヌクレオチドの合成
主にアミノ酸をもとに合成されるプリンとピリミジン。糖の土台の上に複雑な構造を組み立てる。 予習課題を行うとともに,必要に応じて教科書の該当代謝経路をノートに書きとっておく。
(予習課題を含む学習時間の目安:4時間以上)
第15回 試験 定期試験 授業内容をしっかり復習する。
第16回 いつもみんなとつながって

~主要代謝経路の全体像の復習
生物化学Ⅱで扱った代謝経路についての様々な疑問に対してオンラインで解説や議論を行う。 代謝経路を良く見直し質問をリスト化しておく。
(宿題を含む学習時間の目安:4時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
予習の状況,授業内演習,学期末の筆記テストで評価します。
予習 15%,授業内演習 30%,学期末の筆記テスト 55%
教科書にかかわる情報
教科書 書名 シンプル生化学(改訂第7版) ISBN 9784524246595
著者名 野口正人, 五十嵐和彦編集 出版社 南江堂 出版年 2020
備考
参考書にかかわる情報
参考書 書名 レーニンジャーの新生化学 ISBN 9784567244022
著者名 レーニンジャー, ネルソン, コックス [著] ; 川嵜敏祐, 中山和久編集 出版社 廣川書店 出版年 2006
参考書 書名 ホートン生化学 ISBN 9784807906727
著者名 H. Robert Horton [ほか著] ; 榎森康文, 川崎博史, 宗川惇子訳 出版社 東京化学同人 出版年 2008
参考書 書名 Essential細胞生物学 ISBN 9784524261994
著者名 Bruce Alberts [ほか] 著 ; 青山聖子 [ほか] 訳 出版社 南江堂 出版年 2016
備考
メッセージ
代謝反応の複雑さに圧倒されないように。大事なところはどこか考えながら代謝を見る。
キーワード
生物,生化学,生命,グルコース,アミノ酸,脂質,プリン,ピリミジン,解糖系,クエン酸回路,糖新生,発酵。ペントースリン酸回路,電子伝達系,ATP合成,β酸化,脂質合成,アミノ酸代謝,窒素固定,尿素回路,プリン・ピリミジン合成,物質生産
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 働きがいも経済成長も
  • つくる責任つかう責任
  • 海の豊かさを守ろう
  • Life on land
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
(エネルギー)すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
(海洋資源)持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
関連科目
生物化学I,微生物学,遺伝子工学,応用化学実験Ⅳ,応用化学演習Ⅳ
履修条件
連絡先
hoshida@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
主に,火曜日,3・4コマ目(授業後)
随時対応可

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