開講年度
開講学部等
2025
工学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期
火7~8
講義
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1062420260
電子物性学[Solid State Physics]
日本語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
長浜 太郎[NAGAHAMA Taroh]
ー
担当教員[ローマ字表記]
長浜 太郎 [NAGAHAMA Taroh]
特定科目区分
対象学生
対象年次
2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
物質がどんな構造をしているのかを理解するため、原子分子の構造と結合、結晶構造を学び、結晶構造を解析するための回折理論を学ぶ。次に、物質の熱的性質を理解するため、結晶の格子振動の基準モードを運動方程式を解いて求め、これらの振動が量子化されてフォノンとなることを学ぶ。さらに、物質の電気的性質を理解するため、自由電子の基底状態、状態密度、フェルミエネルギーについて学ぶとともに、電子が比熱にも寄与することを学ぶ。
電子デバイス開発に関して実務経験を有する教員が、その実務経験を活かして、最先端の情報を盛り込んだ授業を行う。
授業の到達目標
1. 結晶の構造解析
(1). 結晶軸、基本単位格子、単位格子、単位構造、3次元格子の結晶系等、結晶構造を表す用語を説明できる。
(2). ブラッグの法則とX線回折スペクトルを説明できる。
(3). 逆格子とその性質を理解する。
(4). ブリルアンゾーンの定義を理解する。
(5). 立方格子の逆格子の基本並進ベクトルを求めることができる。
2. 結晶結合
(1).原子を結晶に凝集させるエネルギーについて説明できる。
(2).結晶結合の形態の違いを説明できる。
3. フォノン
(1). 長波長の極限、ブリルアンゾーンの境界での振動の特徴を説明できる。
(2). 光学的モード、音響モードの意味と違いを説明できる。
(3). 状態密度を理解する。
(4). フォノンによる熱伝導を理解する。
4.自由電子フェルミ気体
(1). フェルミエネルギー,フェルミディラック分布関数が表している意味を説明できる。1. 結晶の構造解析
(1). 結晶面、結晶の中の方向を指数で表示できる。
(2). 最隣接格子点距離、格子の充填率を求めることができる。
(3). 結晶面の格子点配列を図示することができる。
(4). 逆格子ベクトルを使って結晶面の面間隔を求めることができる。
2. 結晶結合
(1). 一次元結晶のマーデルングエネルギーを計算できる。
3.フォノン
(1). 単原子および2原子格子の運動方程式を立て、それぞれの分散関係式を導出できる。
(2). フォノンのエネルギーと運動量を求めることができる。
4.自由電子フェルミ気体
(1). 3次元自由電子気体の状態密度を求めることができる。
(2). フェルミエネルギー,フェルミディラック分布関数,状態密度から系のエネルギーを求めることができる。
授業計画
【全体】
パワーポイントと板書を用いて講義を行う。授業の最後に簡単な演習を行い理解を深める。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
結晶構造 I
1.授業の概要と進め方
2.単結晶、多結晶、非結晶の違い
3.格子、格子点、基本構造,基本ベクトル、基本単位胞、二次元ブラべ格子
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第2回
結晶構造 II
1.3次元ブラベ格子と格子定数
2.最近接格子、単位胞中の格子点数
3.充填率、理論密度の求め方
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第3回
結晶構造 III
1.結晶構造の代表例
2.面指数
3.結晶面の原子配列
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第4回
逆格子 I
1.k空間とr空間の相違
2.結晶中電子密度のフーリエ解析
3.逆格子ベクトルの定義
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第5回
逆格子 II
1.逆格子ベクトルの性質
2.ブリュアン域
3.ブラッグの条件を使った結晶構造解析
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第6回
固体の結合とそのメカニズム
1.結合エネルギーと結晶中の原子間距離
2.イオン結合、マーデルング定数
3.共有結合(エネルギー、混成軌道、)
4.金属結合(自由電子)
5.ファンデルワールス結合(電気双極子)
6.水素結合(水分子の電気双極子モーメント)
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第7回
格子振動 I
1.単原子格子の振動の運動方程式と解法
2.分散関係式
3.第1ブリュアン域の端の波と長波長極限の波の特徴
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第8回
格子振動 II
1.2原子格子の固有振動
2.周期的境界条件
3.位相速度と群速度
演習の準備をする。
(学修時間の目安:4時間)
第9回
演習
前半のまとめ
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第10回
フォノン I
1.基準モード(TO,LO,TA,LA)
2.状態密度
3.フォノンのエネルギー
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第11回
フォノン II
1.比熱
2.熱伝導
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第12回
自由電子論 I
1.原子の電子構造
2.金属の自由電子モデル
3.箱の中の電子状態
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第13回
自由電子論 II
1.基底状態の全エネルギー
2.状態密度とフェルミ分布
3.金属の電子密度
予習・復習 (学修時間の目安:2時間)
第14回
自由電子論 III
1.電子比熱
2.熱伝導率
予習・復習 (学修時間の目安:2時間以上)
第15回
試験
定期試験
定期試験の勉強を行う (学修時間の目安:4時間以上)
第16回
まとめ
講義全体を通してのまとめ
予習・復習 (学修時間の目安:2時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
定期試験(中間・期末試験)100%
教科書にかかわる情報
教科書
書名
固体物理学 : 工学のために
ISBN
9784785322144
著者名
岡崎誠著
出版社
裳華房
出版年
2002
備考
適宜プリントを配布する。
参考書にかかわる情報
備考
メッセージ
講義内容の理解を深めるため、演習問題に積極的に取り組むこと。項目別の到達目標を与えるので、それを各自チェックすること。
理解を深めるため、選択科目の量子力学II、熱力学・統計力学を履修することが望ましい。
キーワード
結晶構造、逆格子、凝集エネルギー、フォノン、ブリルアン・ゾーン、比熱、熱伝導、フェルミ・エネルギー、状態密度
持続可能な開発目標(SDGs)
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
関連科目
半導体工学、電気電子材料、量子力学、熱力学統計力学
履修条件
連絡先
長浜太郎 nagahama@yamaguchi-u.ac.jp 電気電子棟408室
オフィスアワー
特に指定しません。連絡があれば対応します。
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