タイトル

開講年度 開講学部等
2025 工学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期集中 集中 講義  
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1062631300 日本建築史[History of Japanese architecture] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
西田 雅嗣[NISHIDA Masatsugu]
担当教員[ローマ字表記]
西田 雅嗣 [NISHIDA Masatsugu], 清水 里司 [SHIMIZU Satoshi]
特定科目区分   対象学生   対象年次 3~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
 私たちの文化が日本に作ってきた建物の世界を、「建築」と言う見方で、そして「歴史」と言う方法で概観する授業である。意匠と構造を主たる着眼点とした「様式」を、社会的背景も適宜交えながら、古代から近代までを大まかに編年的に辿り、日本における建物の世界を俯瞰的に理解することを目標とする。自分たちの伝統的な建築という漠然とした印象で見ている「日本の建物」を、日本文化の独自性や西洋文化の眼差しを意識しながら、客観的に考えることができるようになるための授業でもある。
 日本の文化は建物を「形」として見る。日本建築史における「様式」は形式の様式である。社会的な歴史的因果関係の記述よりもむしろ、意匠と構造に現れる「形」の説明が主となる形で記述されるのが日本建築史である。西洋由来の近代的な「歴史」という記述形式に、「形」への興味を主軸にした日本的な考古学的建築理解をうまく馴染ませて、現在でも教科書的な本や大学で講じられている「日本建築史」の基本的な内容と構成を決定したのが、この授業で教科書として使用する太田博太郎の『日本建築序説』である。この授業は、現在の「日本建築史」を築いた古典である『日本建築序説』を道案内にして、日本における建物の世界を俯瞰する。
 教科書『日本建築序説』は、第I部の「日本建築の特質」と第II部の「日本建築史序説」を大きな二つの内容としている。「日本建築の特質」は「形」で理解する日本建築の世界であり、「日本建築史序説」は「歴史」という記述形式で「形」の世界を説いた「建築史」である。授業では、極めて日本的とも言えるこの二つの見方の両方を、教科書にある通り読解していく。教科書『日本建築序説』には近代建築についての記述はほとんどない。しかし、この授業では、戦前までの日本建築の近代も講述する。近代については、教科書を使用せずに資料を配布する。
 西洋文化に由来する「建築」や「歴史」と言う建物理解の観点・方法と、日本人が西洋文化の影響を蒙る前から持ち続けていた「形」や「技」への強い興味との間に立ち現れるのが「日本建築史」である。その姿を古典的名著『日本建築序説』に導かれて見ていく授業である。
授業の到達目標
日本の建物、日本の建築、そして日本建築の歴史を理解するための基礎的な知識を身につけることができる。
授業計画
【全体】
 教科書『日本建築史序説』に従って授業を進める。ただし、すべての内容を講述するわけではなく、いくつかの項目については省略する。『日本建築史序説』の第III部「日本建築史の文献」も基本的には取り上げない。
 教科書『日本建築史序説』に従い、先ず日本建築を、歴史的にではなく、その総体としての特質を考える「I 日本建築の特質」を取り上げる。教科書のこの部分は『日本建築史序説』に著者が後から加えた部分であるが、日本的建築観というものをよく表している文章であり、「日本建築の特質」は著者の太田博太郎のトレードマークでもある。
 その後、教科書『日本建築史序説』に従って順次「古代」「中世」「近世」と、日本建築史上重要な歴史事象と代表的建築を見ていく。代表的建築事例については、『日本建築史序説』を多少補強し、個別の建築紹介もその都度行う。
 教科書『日本建築史序説』に「近代」の説明はほとんどないが、「近代建築史」の授業を持たない本学のカリキュラムを勘案して、配布資料を使うなどして、戦前までの日本の近代建築も辿りたい。このシラバスの「参考書にかかわる情報」に、この「近代」の部分の授業の参考になる本をあげてある。
 

項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 日本建築史−日本建築史の歴史
(教科書 p. xi - xxii / 教科書関係箇所 : 「III 日本建築史の文献」p. 206 - 376)
有職故実としての住宅史、日本建築史、日本建築の様式史、『日本建築史序説』 教科書の「はしがき」と「目次」を読んでから授業を受けること。また授業後に講義内容を復習すること。
第2回 日本建築の特質(1)
(教科書 p.3 - 18)
1.日本の自然と社会
2.外来文化の受容と伝統の維持
3.日本人の建築観
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第3回 日本建築の特質(2)
(教科書 p.18 - 39)
4.日本建築の材料と構造
5.日本建築の意匠
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第4回 【古代】日本建築の発生
(教科書 p.43 - 62)
1.竪穴と高床
2.神社建築の発生
3.仏教建築の伝来
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第5回 【古代】日本建築の成立
(教科書 p.62 - 79)
4.仏教建築の発展
5.密教建築の特徴
6.神社建築の発達
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第6回 【古代】建築の日本化
(教科書 p.79 - 88 / p.94 - 101)
7.浄土教建築の流行
8.建築様式の日本化
10.寝殿造の完成
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第7回 【中世】外来様式と中世建築
(教科書 p.102 - 117)
11.大仏様と重源
12.禅宗様の伝来
13.禅宗建築の発展
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第8回 【中世】在来様式と中世建築
(教科書 p.117 - 128 / p.133 - 139)
14.和洋の伝統
15.新様式と和洋
17.中世建築の構造と意匠
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第9回 【中世】中世の建築界
(教科書 p.139 - 150)
18.寝殿造から書院造へ
19.地方建築界の興隆
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第10回 【近世】城郭建築と復古建築
(教科書 p.151 - 161)
20.新しい建築、新しい生産様式
21.城郭建築の勃興
復古建築
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第11回 【近世】近世の住宅建築
(教科書 p.161 - 177)
22.書院造の発達
23.茶室の発生
24.書院造の普及
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第12回 【近世】都市と社会
(教科書 p.182 - 201)
26.都市の発達
27.市民社会の建築
28.町屋と農家
教科書の該当箇所を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第13回 【近世】洋風建築
(教科書 p.201 - 204、配布資料)
29.洋風建築の伝来
洋風建築の本格的導入
教科書の該当箇所と配布資料を読んでから授業を受けること。また授業後に再度教科書の該当箇所を読んで復習をすること。
第14回 【近代】住宅・都市・建築
(配布資料)
住宅建築と都市
近代都市のなかの建築
配布資料を読んで授業を受けること。また授業後に再度資料を読んで復習をすること。
第15回 【近代】近代建築(配布資料) 近代建築の導入
日本から世界へ
配布資料を読んで授業を受けること。また授業後に再度資料を読んで復習をすること。
第16回 【近代】西洋建築(配布資料)

【期末試験】レポート課題の出題
日本と西洋建築

レポート課題の説明
配布資料を読んで授業を受けること。また授業後に再度資料を読んで復習をすること。
授業後、出題されたレポートを執筆し、期日までに提出する。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
授業内の小レポートと学期末のレポートで評価します。
授業内の小レポート:10%、学期末のレポート:90%
教科書にかかわる情報
教科書 書名 日本建築史序説(増補第三版) ISBN 9784395012312
著者名 太田博太郎 出版社 彰国社 出版年 2009
備考
 古典的名著です。初版は1947年出版で、日本における近代的な建築史記述を日本建築について行った嚆矢で、現在でもいろんな教科書的な本や大学で講じられている「日本建築史」の内容や構成を決定した本です。授業開始までに購入しておくようにしてください。授業の第1回目は、この教科書『日本建築史序説』の成立の歴史を説明することで、日本における「日本建築史」の成立の経緯やその建築史としての特色を講述します。
 教科書に記載の無い内容を講じる授業については、適宜Moodleに資料をあげるなどします。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 日本建築史図集 ISBN 9784395008889
著者名 日本建築学会編 出版社 彰国社 出版年 2011
参考書 書名 近代建築史 ISBN 9784870711341
著者名 鈴木博之編著 ; 五十嵐太郎, 横手義洋著 出版社 市ヶ谷出版社 出版年 2010
参考書 書名 日本建築の空間 (SD選書 37) ISBN 9784306050372
著者名 井上充夫 出版社 鹿島出版会 出版年 1969
参考書 書名 歴史の建築意匠 : 西洋と日本、意味と形 ISBN 9784812223086
著者名 西田雅嗣著 出版社 昭和堂 出版年 2024
備考
 これら四冊の参考書については、購入を求めるものではありません。授業で直接使用すると言うことはありません。
 ただし、特に『日本建築史図集』については、授業受講後も、あるいは卒業後も、「日本建築史」の授業を受けた人ならば、いろんな場面で永く使用できる本です。写真は全てモノクロで、大きさも小さいですが、後半に詳しい個別の建物解説があります。
 鈴木博之/編著『近代建築史』は、大学課程の「近代建築史」用の教科書として書かれた本で、この授業の教科書『日本建築史序説』が取り上げていない第14・15・16回の授業「近代の建築」をより詳しく勉強したい人に適した本です。
 『日本建築の空間』は、教科書『日本建築序説』とはまた異なった視点で日本の歴史建築を読み解いた示唆に富んだ名著で、教科書『日本建築序説』と同様に古典的な文献です。
 『歴史の建築意匠 : 西洋と日本、意味と形』は、様式史とは違った角度から過去の建築をさまざまに考える建築講話です。授業を通じて建築史に興味を持ったならば、歴史建築への興味をいろんな方向へ広げてくれる本です。
 教科書に記載の無い内容について講じる授業については、適宜Moodleに資料をあげるなどします。
メッセージ
教科書『日本建築序説』の解題が授業の中心ですが、教科書には綺麗な写真や、図面が大変に少ないので、授業ではなるべく沢山の写真や図面をパワーポイントで投影します。また教科書には個別の建築物の詳しい解説がほとんどないので、この点についても授業では補足します。
過去の建物の「形」に主眼を置いて見る日本建築の世界の魅力を知って貰いたいと思います。
キーワード
建物、建築、歴史、建築史、様式、意匠、構造、日本建築の特質、日本建築史、様式史、寺院、神社、住宅、古代、中世、近世、近代
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 住み続けられるまちづくりを
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
関連科目
デザイン概論、建築デザイン論、西洋建築史
履修条件
連絡先
西田雅嗣メール:
2014hisarchi@gmail.com
オフィスアワー
非常勤講師なので、上記連絡先に記したメールでの連絡・質問・相談を基本とします。また、授業の前後の時間を利用して質問等への対応は可能です。

ページの先頭へ