タイトル

開講年度 開講学部等
2025 農学部
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期 月3~4    
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
1071710105 遺伝学とバイオテクノロジー[Genetics and Biotechnology] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
執行 正義[SHIGYO Masayoshi]
担当教員[ローマ字表記]
執行 正義 [SHIGYO Masayoshi]
特定科目区分   対象学生   対象年次 2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
生物を理解し利用する上で必要不可欠な遺伝学の基礎知識として、分子レベル、個体レベルおよび集団レベルにおける遺伝現象とそのメカニズムや研究手法を説明し、遺伝学の成果を応用したさまざまなバイオテクノロジーを紹介する。
授業の到達目標
遺伝現象とその仕組みに関する基礎知識を身につける。
さまざまなバイオテクノロジーの原理を遺伝学の知識に基づいて説明できる。
身の回りのバイオテクノロジーとその進歩について関心を持ち、問題点やその解決法を議論できる。
人々の生命維持を考えるうえで、遺伝学的な知識を習得することの重要性を感じ、能動的に講義に取り組むことができる。
授業計画
【全体】
講義は、教科書にしたがい、1.遺伝と遺伝子の伝達,2.古典遺伝学的な遺伝子の概念,3.染色体と遺伝子,4.細胞遺伝学,5.遺伝子の実体,6.遺伝子操作,7.遺伝子単離,8.遺伝子発現解析,9.遺伝子導入法, 10.遺伝子同定,11.量的形質の遺伝,12.ゲノム,13.細胞質遺伝,14.エピジェネティクス,15.集団遺伝学と進化系統樹, 16.遺伝学の応用―植物育種の成果と可能性―について説明し、内容確認のため8回と14回終わった時点でそれぞれ振り返りを行う。さらに、授業内容の復習のために適宜宿題を課す。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 遺伝と遺伝子の伝達・古典遺伝学的な遺伝子の概念・染色体と遺伝子 1.1 身近な遺伝現象と形質
1.2 染色体
a. 核内のDNA
b. 染色体の構造
1.3 細胞分裂と染色体の分配
a. 体細胞分裂と染色体の分配
b. 減数分裂と染色体の分配
c. 遺伝子の挙動
d. 核相
e. 配偶子の遺伝的多様性
1.4 生殖の様式
a. 無性生殖と有性生殖
b. 植物の受精
2.1 メンデルの3法則
a. メンデルの法則以前の遺伝学
b. 分離の法則と優性の法則
c. 遺伝子の表記
2.2 対立遺伝子の関係
a. 不完全優性と共優性
b. 複対立遺伝子
2.3 遺伝子座間の関係
a. 独立の法則
b. 2遺伝子の相互作用
2.4 遺伝子の様々な作用
a. 致死遺伝子
b. キセニア
c. 主働遺伝子と微働遺伝子
d. 多面発現
2.5 伴性遺伝と母性遺伝
a. 伴性遺伝
b. 母性遺伝(母系遺伝)
2.6 酵素と遺伝子
2.7 突然変異遺伝子
2.8 分離比の検定
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第2回 細胞遺伝学 3.1 染色体上の遺伝子
  a. 遺伝子の連鎖
  b. 連鎖群
  c. 独立の法則と連鎖の違い
 3.2 交さと組換え
  a. 交さ
  b. 遺伝子の組換え
  c. 減数分裂期における相同組換えのしくみ
  d. 体細胞分裂で起こる相同組換え
 3.3 組換え価
  a. 組換え価
  b. 検定交雑
 3.4 染色体地図
  a. 遺伝地図
  b. 物理地図
 3.5 遺伝子のシンテニーと染色体
  a. マクロシンテニー
  b. マイクロシンテニー
4.1 染色体と核型
  a. 染色体の形態
  b. 核型分析
  c. 性染色体
 4.2 倍数性
  a. 同質倍数体
  b. 異質倍数性
  c. 倍数体のゲノム分析
  d. 人為倍数体
 4.3 染色体異常
  a. 染色体数の異常
  b. 異種染色体添加系統
  c. 構造変異
 4.4 半数体
 4.5 分子細胞遺伝学の発展
  a. FISH法による染色体マッピング
  b. GISH法による染色体塗り分け
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第3回 遺伝子の実体  5.1 DNAの構造
 5.2 DNAの複製
 5.3 RNAと転写機構
  a. RNAの構造と転写
  b. mRNAと転写制御配列
  c. RNAスプライシング
 5.4 RNAの種類と機能
 5.5 翻訳機構
 5.6 原核生物と真核生物の遺伝子発現機構の違い
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第4回 遺伝子操作 6.1 DNAの増幅―PCR法
 6.2 制限酵素とDNAリガーゼ
  a. 制限酵素
  b. DNAリガーゼ
 6.3 プラスミドベクターによるクローニング
 6.4 相同組換えを利用したクローニング
 6.5 DNAの精製
 6.6 ゲル電気泳動の原理
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第5回 遺伝子単離 7.1 PCR法による遺伝子単離
 7.2 ゲノムDNAライブラリー
 7.3 cDNAライブラリー
 7.4 ライブラリーのスクリーニング
  a. ハイブリダイゼーション法によるスクリーニング
  b. PCR法によるスクリーニング
 7.5 塩基配列決定の原理
 7.6 次世代シーケンサーによる塩基配列決定の原理
 7.7 サザンブロット法
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第6回 遺伝子発現解析 8.1 mRNA量(転写量)の分析
  a. ノーザンブロット分析
  b. RT-PCR法による分析
  c. リアルタイムRT-PCR法による分析
 8.2 mRNAの網羅的な分析(トランスクリプトーム解析)
  a. マイクロアレイ分析
  b. RNA-Seq法
 8.3 タンパク質の量(翻訳量)の分析
  a. 電気泳動によるタンパク質の分画
  b. ウエスタンブロット法による分析
  c. タンパク質の網羅的分析
 8.4 プロモーター活性の解析
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第7回 遺伝子導入法析 9.1 導入遺伝子の構築
  a. 導入遺伝子を含むベクターの構築
  b. 選抜マーカー遺伝子
 9.2 アグロバクテリウム法
  a. T-DNAとvir遺伝子
  b. 植物への感染,選抜,再分化
 9.3 直接導入法
 9.4 形質転換体の解析
  a. 導入遺伝子の確認
  b. 導入遺伝子の発現解析
 9.5 形質転換体の利用
  a. 遺伝子発現機構の解明
  b. 作物の遺伝的改変のための形質転換体の利用
 9.6 形質転換体の取り扱い
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第8回 遺伝子同定 10.1 順遺伝学的解析
  a. 遺伝子同定のための材料作製
  b. DNAマーカーによる遺伝子マッピング
  c. マップベースクローニング法
  d. 相補実験による候補遺伝子の証明
  e. トランスポゾンタギングによる遺伝子同定
 10.2 逆遺伝学的解析
  a. T-DNAなどによるタギング
  b. TILLING
  c. RNAi
  d. ゲノム編集
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第9回 量的形質の遺伝 11.1 量的形質と質的形質の違い
 11.2 主働遺伝子と微働遺伝子
 11.3 量的形質における環境効果と遺伝効果
 11.4 相加効果と優性効果
  a. 広義の遺伝率
  b. 狭義の遺伝率
  c. 相加効果と優性効果
  d. 狭義の遺伝率と量的形質に対する選抜効果
 11.5 QTL解析
  a. 表現型値と遺伝子型値
  b. QTLマッピングの原理
 11.6 アソシエーション研究
  a. アソシエーション解析とQTL解析
  b. 連鎖不平衡とアソシエーション研究の原理
  c. ゲノムワイド関連解析(GWAS)
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第10回 ゲノム 12.1 ゲノムの構造
  a. ゲノムサイズ
  b. 真核生物のゲノムの構造
  c. ゲノム構造の変化と進化
  d. ゲノムプロジェクト
  e. ゲノム解読技術の進歩
 12.2 ゲノムデータベースと塩基配列分析
  a. ゲノムデータベース
  b. バイオインフォマティクス
  c. 相同配列比較
  d. 遺伝子の機能分類
  e. 遺伝子,タンパク質のネットワーク解析
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第11回 細胞質遺伝 13.1 葉緑体とゲノム
  a. ゲノムの構造
  b. 葉緑体遺伝子の発現とその制御
 13.2 ミトコンドリアゲノム
  a. ゲノムの構造
  b. ミトコンドリア遺伝子の発現とその制御
 13.3 核と細胞質の相互作用
  a. 葉緑体遺伝子と核遺伝子の相互作用
  b. ミトコンドリアと細胞質雄性不稔
  c. 細胞質雄性不稔に関する稔性回復遺伝子
  d. 細胞質雄性不稔の原因遺伝子の特徴
  e. 稔性回復遺伝子の実体
 13.4 葉緑体形質転換
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第12回 エピジェネティクス 14.1 エピジェネティクスとは
 14.2 エピジェネティックな制御機構
  a. DNAのメチル化
  b. ヒストンの化学修飾
 14.3 エピゲノム解析
  a. 全ゲノムDNAメチル化解析(メチローム解析)
  b. 全ゲノムヒストン修飾解析
 14.4 植物に見られるエピジェネティックな現象の具体例
  a. トランスポゾンサイレンシング
  b. パラミューテーション
  c. 春化
  d. エピジェネティック変異体
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第13回 集団遺伝学と進化系統樹 15.1 集団とは?
 15.2 集団進化のしくみ
  a. 遺伝子頻度(対立遺伝子頻度)
  b. 任意交配
  c. 近親交配
  d. 近交係数
 15.3 集団の変化
  a. 2つの進化説
  b. 集団内の多型の維持機構
  c. 遺伝子頻度変化の原因
 15.4 分子系統樹
  a. 距離行列法
  b. 形質状態法
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第14回 遺伝学の応用―植物育種の成果と可能性―1 16.1 植物育種の成果
 16.2 遺伝子マーカー育種
 16.3 遺伝子組換え品種
  a. 遺伝子組換え品種の利用
  b. 遺伝子組換え品種の問題点
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第15回 遺伝学の応用―植物育種の成果と可能性―2 16.4 新しい植物育種技術 New Breeding Techniques(NBT)
 16.5 品種判別
教科書と配布資料を参照し準備学習2時間と復習2時間を行う。
第16回 期末テスト これまでの全ての内容をテスト範囲とする期末考査を実施 教科書と配布資料を参照し全体の振り返りを4時間行う。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
小テスト、授業内のレポート、学期末の筆記テストで評価します。
小テスト 5%、レポート 5%、学期末の筆記テスト 90%
教科書にかかわる情報
教科書 書名 遺伝学の基礎 ISBN 9784254405491
著者名 北柴大泰, 西尾剛編著 ; 笹沼恒男 [ほか] 著 出版社 朝倉書店 出版年 2018
備考
該当なし
参考書にかかわる情報
参考書 書名 「ゲノム第3版」 新しい生命情報システムへのアプローチ ISBN 9784895924955
著者名 T.A.Brown(監訳 村松正實、木南凌) 出版社 メデイカル・サイエンスインターナショナル 出版年 2007
参考書 書名 シンガー 人間の遺伝学 ISBN 9784807904181
著者名 関谷 剛男 (翻訳) 出版社 東京化学同人 出版年 書籍
参考書 書名 初歩からの集団遺伝学 ISBN 9784785352158
著者名 安田徳一 出版社 裳華房 出版年 書籍
参考書 書名 植物遺伝学入門 ISBN 9784254420265
著者名 三上哲夫ら 出版社 朝倉書店 出版年 2004
参考書 書名 改訂版 育種における細胞遺伝学 ISBN 9784842504698
著者名 福井希一・辻本壽 出版社 養賢堂 出版年 2010
備考
該当なし
メッセージ
キーワード
遺伝 ゲノム 染色体 バイオテクノロジー バイオインフォマテックス
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 飢餓をゼロに
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • つくる責任つかう責任
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
関連科目
植物育種学
履修条件
連絡先
shigyo@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
メールにて連絡すること

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