開講年度
開講学部等
2025
農学部
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期集中
集中
2.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
1071720125
農業と知的財産
日本語
1
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
陳内 秀樹[JINNAI Hideki]
ー
担当教員[ローマ字表記]
陳内 秀樹 [JINNAI Hideki]
特定科目区分
対象学生
(共通教育「知財展開科目1(農業と知的財産)」に相乗り)
対象年次
2~
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
本講義では、我が国の農業(以下、農学、及び食品加工、食品流通を含む)について、知的財産の観点で事例を解説し、農業における知的財産権の役割と機能について学びます。また、事例を踏まえてその課題解決のための発想や、ローカルとグローバルな観点から戦略的視点で思考する体験を通じて、生産性の向上やサービスの創出の方法について考察し、社会から求められる産業人としてのリテラシーを磨きます。
授業の到達目標
農業・農学に関連する知的財産について事例をあげて解説できる知識を身に付ける。
経営戦略の視点から農業分野の知的財産を活用する演習体験や判例読解を通じて、ビジネスと法律の両面から思考し適切に判断できる力を養う。
授業計画
【全体】
日時・場所:11月15日(土)9:00~16:20 ・ 教室未定
11月16日(日)9:00~16:20 ・ 教室未定
農業における「知的財産権」の重要性は、グローバル化と食の多様化と相まって急速に高まっている。農業の知的財産は、国内での品種保護だけでなく、その海外持ち出しへの対策、農産物の商標によるブランドの保護など多様である。しかしながら農業関係者の知的財産に関する知識は現状、十分とは言えず、農家が育成者権侵害等で訴えられる事例もある。
それら多様な事例を元に、農林水産業の発展や産業社会の発達を目指す知的財産権の意義に関する適切な理解や、活用しようという態度を得るために、知識理解だけでなく創造的・課題解決的に思考する学習を進める。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
ガイダンス
現代農業と知的財産
講義概要と、特許、商標、実用新案、意匠、新品種の農業における登録事例及び、本学農学部における農業分野の特許出願事例を元に、知的財産制度を解説する。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第2回
農業分野での商品開発とその販売戦略
〜新品種、伝統野菜、農産物のブランド化と6次産業〜
6次産業及び商品開発に関する農業の事例を元に、知的財産と基礎的なマーケティングの視点で考え、商品化やブランド化に関わる知財戦略について、検討する。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第3回
知的財産から見る農業の歴史と将来
農業史から見た知的財産の事例(江戸時代の農書、明治期の農機具特許等)を知る。その上で、政策(「知的財産推進計画)、シナリオプランニングによる将来予測を踏まえ、過去・現在・将来を俯瞰して農業と知的財産の関わりについて解説する。また、背景となる農業の産業化と並行して進んだ産業構造の変化(知的財産権化と分業化(生産者・育成者・技術者))を知る。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第4回
農業技術の創造・保護・活用
課題発見とアイデア発想を模擬体験を導入として、アイデア発想の数種スキルを体験する(創造)。また、出願から登録までの一連の手続と、請求項記載に求められる上位概念での表現について思考する(保護)。複数の知財権での保護や、ノウハウでの秘匿、オープンクローズ戦略及び権利の行使について知る(活用)
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第5回
品種登録制度とその実際
品種登録制度、登録要件や育成者権の制限、従属品種、F1品種、遺伝子特許との関係、在来種(遺伝資源)の保護 等
その実際として、取締状況(花苗の増殖販売事件)、海外に持ち出された侵害事例(イチゴレッドパール事件)等を挙げる。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第6回
農業に関する知財係争の実際〜農業資材の「特許権侵害差止等請求事件」等〜
「育苗用ポット事件」や育成者権侵害等による訴訟等を題材に、農業に係る知財係争の実際を学び権利化や差し止め請求、訴訟等におけるリスクとその対応を学ぶ。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第7回
農業のグローバル化と知財に関連するその他の法制度とケーススタディ
植物遺伝資源に係る国際的調和(生物多様性等)。
農業分野の知的財産に関わるグローバルビジネスとローカルビジネス(安代りんどう、おおむら夢ファームシュシュ)。
知的財産制度と関連する法律(地理的表示法、機能性表示食品制度等)について、事例を元に解説する。
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
第8回
農業と表現・GAP(農業生産工程管理)による標準化と知財の関係
ビンテージワインの価格が高いのはなぜ?(稀少性と文化的価値)
GAPによる標準化と両輪で進める知財での差別化(ブランディング)
小テスト・小レポート・ワークシートの提出と講義資料及び参考書籍の熟読(目安:2時間)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 10% C: 10% D: --%
成績評価法
授業内のレポート(小レポート)、課題の提出(ワークシート・宿題レポート)、最終課題(レポート)で評価します。
授業内のレポート 40%、課題の提出 40%、最終課題 20%
教科書にかかわる情報
備考
テキストは印刷し配布します。
参考書にかかわる情報
備考
メッセージ
我が国の農業は、様々な課題(食料問題、環境ストレス、グローバル化等)に直面しています。農業者には、農業生産の担い手としてだけでなく、さらなる生産性向上と地域創生を担う6次産業の中核となるための技術者、経営者、プロデューサー、商品企画者としての能力が、社会から要請されています。その力の発揮のためには、知的財産について創造・保護・活用できる知識が必須です。また、農業者がこれまで培ってきたノウハウや農村環境などの地域資源には、地方創生に向けた新産業や雇用を生む知的財産が潜在しており、それらシーズの活用にも、知的財産は欠かせません。
本授業で扱う農業の事例の多くは、ニュースで耳にしたことがある事例について、知的財産の視点で捉え直したものです。授業に当たって農業の専門に関する予備知識は不要ですので、農学部学生のみならず、地域産業発展に関わる仕事(食品関連産業やものづくり、行政、農業教育、金融等)に興味を持つ皆さんにぜひ履修していただきたいと思います。
キーワード
農業、知的財産、6次産業化 、地域資源、問題解決、課題解決、商品開発、企業戦略
持続可能な開発目標(SDGs)
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な生産と消費)持続可能な生産消費形態を確保する。
関連科目
「知的財産入門」及び「知財展開科目」
シラバスを「知財展開科目」で検索ください。現在、「特許法」や「著作権法」といった法律系の科目の他、「ものづくりと知的財産」や「コンテンツ産業と知的財産」「農業と知的財産」のように、各学部の専門領域に関連づけた「知財展開科目」を17科目開講しています。これからの教育現場では、知財の知識は必須と言えるものです。知財教育は本学で学ぶ学生の強みですから、ぜひ積極的に展開科目を履修ください。
令和7年度 共通教育 『知財展開科目』開講日程を参照
https://kenkyu.yamaguchi-u.ac.jp/chizai/?page_id=10763
履修条件
連絡先
h-jinnai@yamaguchi-u.ac.jp 陳内
オフィスアワー
宇部の常盤キャンパスで業務を行っています
業務の都合で吉田キャンパスに出かけることもあります
メールでご連絡ください。
h-jinnai@yamaguchi-u.ac.jp 陳内
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