タイトル

開講年度 開講学部等
2025 大学院人間社会科学研究科(修士課程)
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期 水3~4   3.0
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
2112000003 生態人類学特論[Advanced Ecological Anthropology] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
北西 功一[KITANISHI Koichi]
担当教員[ローマ字表記]
北西 功一 [KITANISHI Koichi]
特定科目区分   対象学生   対象年次  
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
本授業は人間が自然とかかわりあう場面での文化的な多様性について理解することで、自然が関わる課題の解決に役立てることを目指す。具体的には、世界各地の湿潤熱帯地域におけるバナナの栽培と食文化を含む利用、流通について取り上げる。日本人が一般的に食べるバナナは大規模プランテーションで輸出用に栽培されているもので、北米やヨーロッパで食べられているものと同じ品種、同じ栽培法のバナナである。一方、熱帯地域で伝統的にバナナを栽培してきた人たちはそれとは異なった地域ごとに特徴的な品種や栽培法、食文化を維持している。そのようなバナナの多様性と地域の自然、歴史、文化、経済などと絡めて複眼的な視点から理解する。
まず、植物としてのバナナを理解し、続いて大規模プランテーションで栽培されるバナナ、さらにアジアやアフリカの各地域のバナナを取り上げる。最後にまとめとしてバナナの抱える課題を議論する。授業は講義形式で行う。
授業の到達目標
・人間と自然のかかわりの一例として、バナナとそれを栽培・流通・販売・消費している人たちのかかわり方の多様性を、生態人類学の視点から深く理解し、社会課題の解決につなげることができる(DP1)。
・バナナと人間のかかわりの理解により、生態人類学に加えて、生物学、農学、経済学といった分野の専門的かつ応用的な知識を修得し、課題の背景を分析することができる(DP2)。
・世界各地の熱帯地域でバナナの栽培する人たちの文化的背景を学ぶことで、異なる文化を持つ人たちと適切にコミュニケーションをしながら協働する能力を身に付ける(DP3)。
授業計画
【全体】
まず、植物としてのバナナを理解する。次に、世界のバナナの生産と貿易の現状と歴史を農業に関するデータベース(FAOSTATなど)を用いて理解する。さらに、大規模プランテーションで栽培されるバナナの栽培方法や流通のあり方と問題点を理解する。そして、アジアやアフリカの各地域のユニークなバナナの栽培・品種・利用法を取り上げる。最後にまとめとしてバナナの抱える課題を議論する。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 オリエンテーション、植物としてのバナナ 植物としてのバナナを知る。野生のバナナ、バナナの栽培化と多様な品種の誕生について理解する。 授業計画に沿って復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第2回 バナナの伝播 世界の湿潤熱帯地域にバナナが広まった経路や時期を知り、世界史と関係づけて考える。 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第3回 バナナの生産と貿易の量的データの分析(その1) FAOSTATを用いてバナナの生産量についてのデータを収集・分析する 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第4回 バナナの生産と貿易の量的データの分析(その2) FAOSTATを用いてバナナの輸出・輸入量についてのデータを収集・分析する 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第5回 日本のバナナの輸入の歴史 明治時代から戦前、戦中、戦後、さらに1960年代までの日本のバナナの輸入について取り上げる。 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第6回 大規模プランテーションにおけるバナナ栽培 「バナナと日本人」から1970~80年代のフィリピンのバナナ栽培を知る。多国籍企業や大規模バナナプランテーションの状況と課題を知る。
さらに2000年代以降の大規模プランテーションでの栽培について取り上げる。
授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第7回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その1) インドネシア・スラウェシ島 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第8回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その2) フィリピン 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第9回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その3) ベトナム南部 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第10回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その4) シンガポールとマレーシア 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第11回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その5) インド南部ケララ州 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第12回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その6) カメルーン東部とガーナ南部 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第13回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その7) タンザニア・ザンジバル島 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第14回 世界各地におけるバナナの栽培・品種・利用を知る(その8) ウガンダ南西部 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
第15回 まとめ バナナと人間の多様な関係 授業計画に沿って予習・復習を行う。(学修時間の目安:4時間以上)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: 15% C: 15% D: --%
成績評価法
授業内コメントシート 40% 期末レポート60%
教科書にかかわる情報
備考
教科書は使用しない。資料は教員がmoodleで提供したり、受講生が自分で探す。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 バナナと日本人 ISBN 4004201993
著者名 鶴見良行 出版社 岩波書店 出版年 1982
参考書 書名 バナナの世界史 ISBN 9784778312961
著者名 ダン・コッペル 出版社 太田出版 出版年 2012
備考
メッセージ
この授業は文系、理系両方にまたがる分野を扱いますので、ご理解ください。
キーワード
バナナ 栽培化 グローバリゼーション 食文化
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • Life on land
(貧困)あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(不平等)各国内及び各国間の不平等を是正する。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
関連科目
履修条件
連絡先
kitanisi[at]yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
会議や授業以外の時間に随時対応します。事前に連絡をもらえると時間調整をします。

ページの先頭へ