タイトル

開講年度 開講学部等
2025 大学院創成科学研究科(博士前期)
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期集中 集中    
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
3242020310 化学特別講義Ⅱ(化学者のための光錯乱入門) 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
川俣 純[KAWAMATA Jun]
担当教員[ローマ字表記]
岩井 俊昭 [IWAI Toshiaki], 川俣 純 [KAWAMATA Jun]
特定科目区分   対象学生   対象年次 1~2
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
化学反応場や生成物からの光散乱現象を検出・解析する化学計測機器の原理を理解し、得られた数値データと計測対象場との関係を洞察するための知識を学習することを目的として、光散乱現象の物理化学的な基礎と解析手法を講義する。以上により、化学の専門的知識を身に付け、新たな知識獲得のための学習を継続していける能力、論理的思考力、柔軟な発想力・探究心をもち、社会にかかわる化学分野の課題を自ら発見し、主体的に解決できる能力を養う。
授業の到達目標
光散乱現象の概念を理解する。
光散乱現象の理論を理解する。
光散乱理論に基づく測定・解析原理を理解する。
計測されたデータと光散乱を発生させている原因との関係を洞察できる。
新しい光散乱法の原理と応用の知見を得る。

知識・理解の観点 光散乱がどのように発生し、原因の種類によって光散乱がどのように変化するかを定性的に理解でき、その散乱場の理論によって定量的に解釈ができる。
思考・判断の観点 散乱の理論を学習することによって、計測された散乱光強度データから発生場で発現する現象や物質の変化を正確にイメージできる。
関心・意欲の観点 光散乱法で得られた数値データから化学反応場の変化や生成物の性状を理解できることにより、化学実験の遂行の正確性が向上し,新しい発見の可能性を察する知見と意欲を持つことができる。
態度の観点 光散乱法を通して発生場の物理・化学的な理解ができることを確信できるようになり、化学研究や実験に対する興味を持つことでその展開に対する積極的な関与ができる。
技能・表現の観点 化学反応場の変化や生成物の性状について定性的及び定量的なイメージを持つことができれば、他者とのコミュニケーションを享受できるようになり、プレゼンテーションの能力が向上する。
授業計画
【全体】
光の波動としての性質の定性的な説明から始まり、日常で観察できる自然現象の発生の原理であるレイリー散乱、化学物質の性状計測に利用されるレイリー・デバイ散乱、光散乱の厳密な理論であるミー散乱、レーザー表面散乱であるスペックル現象、そして、本講義の特徴である濃厚溶液から発生する多重散乱の理論と応用について、光散乱現象と解析法を体系的に関連付けながら講義します。さらに、溶液中の微粒子の粒質計測に使用されている動的光散乱法と最新の計測法についても講義します。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 はじめに 光の電磁波としての電気的特徴、数学的表現、ならびに散乱場の表記法を学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第2回 レイリー散乱Ⅰ 光散乱に起因する自然現象、電気双極子から放射される散乱光の表現、およびその偏光特性について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第3回 レイリー散乱Ⅱ レイリー散乱によって理解できる天空の偏光特性、その特性を利用しているミツバチのコミュニーションについて学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第4回 レイリー・デバイ散乱Ⅰ レイリー散乱からレイリー・デバイ散乱への展開と誘電球に対する理論展開と散乱特性について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第5回 レイリー・デバイ散乱Ⅱ レイリー・デバイ散乱に基づくコロイド希薄溶液の分子・粒子特性に関する実験的な解析析法(ジムプロット)について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第6回 レイリー・デバイ散乱Ⅲ レイリー・デバイ散乱の位相関数を用いたモンテカルロシミュレーションによるコロイド溶液における粒子の凝集状態の判定法について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第7回 ミー散乱Ⅰ 電磁波動方程式の解析解としてのミー散乱理論の導出プロシージャを学び、散乱強度の角度依存性(散乱図)の計算例から粒質,光の波長,ならびに偏光の関係を学習する。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第8回 ミー散乱Ⅱ 光学的微粒子センサーの原理、測定精度向上、ならびに測定範囲の拡大に対する設計原理を理解する。光学的微粒子センサーの代表例として花粉センサーについて学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第9回 スペックルⅠ レーザー光が波長程度の凹凸がある表面や粒子群から反射されるときに生じるスペックル現象について定性的および理論的に学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第10回 スペックルⅡ 表面散乱スペックルの例としての光学的古蝋管からの音声再生システムと粒子群からのスペックル現象の例としての眼底血流イメージング技術であるスペックルフローメーターについて学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第11回 多重散乱Ⅰ 光散乱の基本要素である溶液の散乱と吸収について、濃厚系に対する両要素の考え方を理解する。多重散乱現象の解析のための光子拡散理論について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第12回 多重散乱Ⅱ 後方多重散乱光の空間分割拡散反射法について理論と生体計測応用について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第13回 多重散乱Ⅲ 後方多重散乱光の時間分割拡散反射法について理論と生体計測応用について学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第14回 動的光散乱Ⅰ コロイド溶液の粒質キャラクタリゼーションに対する動的散乱法の有用性を理解し、光学系の動作原理を学ぶ。 講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
第15回 動的光散乱Ⅱ 希釈されたコロイド溶液の粒質キャラクタリゼーションのための解析理論を理解し、計測例によって動的光散乱法の有効性を実感する。
また、濃厚なコロイド溶液の粒質キャラクタリゼーションのための解析理論である拡散波分光法と光コヒーレンス動的光散乱法についての理論を理解し、計測例によって動的光散乱法の有効性を学習する。
講義の内容を2時間程度予習を行う。講義終了後は、知識の確認と定着のために2時間程度復習をする。
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
学期末の筆記テストで評価します。
学期末の筆記テスト 100%
教科書にかかわる情報
備考
テキストのPDFファイルを配付します。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 光散乱法の基礎と応用 ISBN 9784061543874
著者名 柴山充弘 [ほか] 編著 出版社 講談社 出版年 2014
参考書 書名 The Scattering of Light ISBN 047105772X
著者名 M. Kerker 出版社 Academic Press 出版年 1969
参考書 書名 Wave propagation and scattering in random media ISBN 0780334094
著者名 Akira Ishimaru 出版社 IEEE Press 出版年 1997
参考書 書名 Light scattering by small particles ISBN 9780486642284
著者名 by H.C. van de Hulst 出版社 Dover Publications 出版年 1981
参考書 書名 Absorption and scattering of light by small particles ISBN 9780471293408
著者名 Craig F. Bohren, Donald R. Huffman 出版社 Wiley-VCH 出版年 2004
参考書 書名 レーザーハンドブック ISBN 9784274200359
著者名 レーザー学会編 出版社 オーム社 出版年 2005
参考書 書名 最新光学技術ハンドブック ISBN 9784254210392
著者名 辻内順平 [ほか] 編 出版社 朝倉書店 出版年 2012
備考
メッセージ
気軽に質問して下さい。
キーワード
静的光散乱、動的光散乱、多重散乱、レイリー散乱、レイリー・デバイ散乱、ミー散乱、光子拡散反射法、物理化学計測、粒質キャラクタリゼーション
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 飢餓をゼロに
  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • 安全な水とトイレをみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 気候変動に具体的な対策を
  • 海の豊かさを守ろう
  • Life on land
(飢餓)飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(保健)あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。
(水・衛生)すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(持続可能な都市)包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
(気候変動)気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
(海洋資源)持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。
(陸上資源)陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
関連科目
履修条件
連絡先
世話教員(化学科 川俣純)
オフィスアワー
随時

ページの先頭へ