開講年度
開講学部等
2025
大学院創成科学研究科(博士前期)
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期
月9~10
講義
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
3262110070
制御系設計特論[Control Systems Design]
英語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
藤井 文武[FUJII Fumitake]
ー
担当教員[ローマ字表記]
藤井 文武 [FUJII Fumitake]
特定科目区分
対象学生
対象年次
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
本講義は,古典制御理論と現代制御理論の基礎がある学生を対象として,制御理論をより深く理解し実際に運用することができるようになるための知識の補充と理解の深化を図る。具体的には,伝達関数領域における制御系設計理論の理解力および制御系設計実践力を,各種プラントの数学モデリングや制御をつうじて養成する.また,非線形の微分方程式で記述されるシステムに対する制御理論から,リアプノフの直接法,位相面解析,リミットサイクル,入力-状態線形化,バックステッピング法について概説する.
制御理論の理解には,コンピュータを用いた実践が非常に有効である.本講義では,制御系CAD (MATLAB + control system toolbox / Octave + control package)を用いた制御系の数値シミュレーション法であるルンゲクッタアルゴリズムについてその考え方を説明し,演習を行う.加えて,コントローラの設計を行う方法,設計結果を評価して改善を図る上での考え方についても解説を加える.
授業の到達目標
【知識・理解の観点】研究レベルの制御に関する論文(理論・応用とも)を独力で読解することができるようになる。
【思考・判断の観点】実システムと理論(数式)が想定するものの対応関係を正しく理解し,制御系設計について本質的な思考ができるようにな る。
【技能・表現の観点】制御系CADを応用して制御系設計ができるようになる。構成した制御系のシミュレーションを実施し,理論が保証する性能を数値的に確認できるようになる.また,設計したコントローラを実験装置に実装し,制御系として機能するようにできる。
授業計画
【全体】
以下の事項について,講義・演習・レポート課題への取り組みを総合して習得を目指す。
1)制御系CAD(GNU octave)を用いた制御系設計とシミュレーション技法の習得
・伝達関数と実現
・非線形システムの線形近似
・ルンゲクッタ法の本質的理解と二次公式の導出
2)伝達関数領域における制御系設計の背景となる知識の教授と制御系構成法の理解
・感度関数とその性質,最適化の限界(ボードの関係式)
・サーボ系と内部モデル原理(拡大系の考え方)
・二自由度制御系の考え方,PID, I-PD制御系
3)非線形制御理論概論
・リアプノフの直接法
・入力-状態線形化(厳密な線形化)に基づく制御系設計
・バックステッピングアルゴリズムを利用したコントローラの設計
※ 各週の講義内容の説明順は,進度により変更する可能性があります.
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
イントロダクション
講義の到達目標の説明.octave のインストールと設定
Octaveのセットアップが完了していない場合は完了させておくこと.授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第2回
モデルベース制御理論の概説
Octave control package を利用した制御系シミュレーション
様々なモデルベース制御理論の着想の違いを説明する.
Control package で提供される関数を利用したフィードバック制御系シミュレーション方法の説明.
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第3回
実現問題の説明
ルンゲクッタ公式の意味と導出
常微分方程式で記述されるシステムの挙動の数値シミュレーション法を説明。2次のルンゲクッタ公式を実際に導出する。
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第4回
むだ時間系のPIDコントローラの設計とシミュレーションと特性改善
ジーグラ・ニコルスの方法
ゲイン余裕,位相余裕
望ましい閉ループ極の配置
位相遅れ・位相進み補償要素の活用
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第5回
感度関数を用いた制御系解析
感度関数の定義
Bodeの関係式(ウォーターベッド現象)
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第6回
ナイキストの安定判別法とロバスト安定条件(小ゲイン定理と受動性定理)
加法的摂動・乗法的摂動
構造的不確定性・非構造的不確定性
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第7回
・状態空間におけるレギュレータの設計
・状態観測器の設計
極配置法
LQ最適制御と重みの選択
全状態観測機の設計
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第8回
オブザーバに基づく出力フィードバックコントローラの設計
併合系を出力フィードバックの動的制御器として理解する.
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第9回
サーボ系の設計原理
内部モデル原理・拡大系
サーボ系と内部モデル原理。システムの型。拡大系の考え方。
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第10回
2自由度制御系とPID制御
2自由度制御系。PID制御。I-PD制御。
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第11回
非線形制御1-厳密な線形化1
ベクトル場,リー微分,リーブラケット
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第12回
非線形制御1-厳密な線形化2
Frobenius の定理
入力-状態線形化
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第13回
非線形制御2-バックステッピング制御
バックステッピング制御とは?
リアプノフの直接法を用いたバックステッピングによる非線形レギュレータの設計
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第14回
非線形制御3-スライディングモード制御
可変構造制御(VSC)
すべり面
存在条件と到達条件
授業の内容を復習し,課題の提示があれば取り組むこと.(学修時間の目安:4時間)
第15回
最終課題の説明
本講義で学んだ知識を全般的に活用するレポート課題を提示する。
最終課題のコントローラ設計と制御系シミュレーションを行い、結果をレポートにまとめること。(学修時間の目安:4時間)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: --% B: --% C: --% D: --%
成績評価法
レポート4回 100%
教科書にかかわる情報
備考
受講者には要点をまとめた資料を配布する。
参考書にかかわる情報
参考書
書名
Feedback Control Theory
ISBN
9780486469331
著者名
Doyle, Francis, Tannenbaum
出版社
Macmillan
出版年
参考書
書名
Applied Nonlinear Control
ISBN
9780130408907
著者名
Slotine, Li
出版社
Prentice Hall
出版年
参考書
書名
現代制御理論通論
ISBN
9784563069032
著者名
劉康志,申鉄龍
出版社
培風館
出版年
2006
参考書
書名
Nonlinear systems
ISBN
9780130673893
著者名
Hassan K. Khalil
出版社
Prentice Hall
出版年
2002
備考
メッセージ
講義で教授された事項を「使いこなせるレベルの理解」まで高めるためには,復習が重要である。制御系CADも使いながら,講義で教授された事項をいろんな側面から反復して考えること。なお,講義は古典制御の知識があることを前提に行われる。現代制御については必須とはしないが,より良い理解のためには学部段階で現代制御論(機械工学科「システム制御工学」)を学習しておくことが望ましい。
キーワード
制御系設計,状態空間理論と伝達関数の関係,PID,サーボ系,2自由度制御系,厳密な線形化,バックステッピング法,リアプノフの直接法
持続可能な開発目標(SDGs)
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
関連科目
基礎制御工学,システム制御工学(機械工学科学部講義科目名称),システム計算工学特論
履修条件
連絡先
ffujii[at]yamaguchi-u.ac.jp
※ メールアドレスの [at] は、半角の@に置き換えてください。
オフィスアワー
質問がある場合は事前にメール等で予約してください.
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