開講年度
開講学部等
2025
大学院創成科学研究科(博士後期)
開講学期
曜日時限
授業形態
AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
前期集中
集中
10.0
時間割番号
科目名[英文名]
使用言語
単位数
4261090070
技術ロードマッピング特論[Advanced Course in Technology Roadmapping]
英語
2
担当教員(責任)[ローマ字表記]
メディア授業
大島 直樹[OHSHIMA Naoki]
ー
担当教員[ローマ字表記]
大島 直樹 [OHSHIMA Naoki]
特定科目区分
対象学生
対象年次
ディプロマ・ポリシーに関わる項目
カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
メディア授業
×
メディア授業とは,メディアを利用して遠隔方式により実施する授業の授業時数が,総授業時数の半数を超える授業をいいます。
メディア授業により取得した単位は,卒業要件として修得すべき単位のうち60単位を超えないものとされています。
授業の目的と概要
「技術ロードマッピング特論」では、組織やプロジェクトにおける研究開発および技術開発の中長期的な方向性や計画を可視化・共有するための手法である「技術ロードマッピング」の基礎から応用までを体系的に学ぶ。イノベーション論や経営戦略論等の専門知識がなくても理解できるよう、理論的背景だけでなく、ワークショップ形式での演習を通じて技術ロードマップの実践的な作成プロセスを修得する。また、理学・工学・農学といった多様な専門領域の研究者がチームを組み、学際的な視点からロードマップを検討することで、持続的なイノベーションを創発するためのヒントを得る機会を提供する。
授業の到達目標
・技術ロードマッピングに関する高度な専門知識の修得
技術ロードマップの理論的背景・構築手法・活用方法を体系的に理解する。
先行研究や先端事例の分析を通じて、ロードマッピングと技術戦略・研究開発マネジメントの関連性を深く把握し、自身の専門分野に応用できる知見を獲得する。
・学際的・総合的思考力を活かした未来構想・戦略立案能力の向上
科学技術、経営戦略、社会動向など複数領域の知識を組み合わせ、総合的な視点から中長期的な技術の方向性を見極める力を養う。
技術トレンド、顧客ニーズ、産業生態系などを統合的に考慮したシナリオプランニングを行い、変化の激しい環境下でも柔軟かつ創造的に未来を構想・提案するスキルを身につける。
・社会的要請やイノベーション創出に資する技術ロードマップ策定の実践力
SDGsや地域課題、産業の課題解決などを念頭に置いた技術ロードマップを策定する実践力を育む。
関連ステークホルダー(企業、大学、行政、地域社会など)の多様な視点を反映しつつ、研究開発テーマの優先順位付けや事業化の道筋を描き、イノベーション創出を加速させる方法論を習得する。
(1)知識理解の観点
・技術ロードマップの基本概念(目的・構造・歴史的背景)や、主要なフレームワーク(T-Plan、3層モデル等)を体系的に理解する。
・市場・社会ニーズ分析や技術分析の基本手法(特許分析、TRLなど)の概要を把握し、どのようにロードマッピングに活用できるかを理解する。
・ロードマップの運用・更新・評価プロセスの考え方を理解し、イノベーション創出や戦略策定において果たす役割を説明できる。
(2)思考・判断の観点
・自身の専門領域と他分野の知見を統合しながら、中長期的な技術開発・研究開発の方向性を論理的に構想できる。
・研究テーマや技術を取り巻くステークホルダーの利害や社会の変化を考慮し、最適なロードマップを策定するための意思決定を行える。
・リスク・リソース・知財など多様な要素を踏まえ、ロードマップの実行可能性や社会的意義を多角的に検討・評価できる。
(3)関心・意欲の観点
・自分の研究分野だけでなく、他分野の研究動向や社会課題に対しても積極的に興味をもち、学際的なコラボレーションの可能性を探る意欲を持つ。
・技術ロードマップを活用して、持続的なイノベーション創出に貢献するシナリオを描こうとする探究心を高める。
・社会実装や産学官連携に視野を広げ、成果を社会に還元していく必要性と意義を意識しながら学修に取り組む。
授業計画
【全体】
本授業「技術ロードマッピング」は、技術戦略の構築や研究開発の方向性を明確にするための手法として、ロードマッピングの理論と実践を体系的に学ぶことを目的とする。授業は、技術ロードマップの基礎概念の理解から始まり、ロードマッピングの手法やフレームワーク、実際の企業や研究機関での活用事例を通じて、技術開発の未来予測や戦略策定のプロセスを習得する。
授業の前半(第1回~第6回)では、技術ロードマップの概念や歴史、役割について学び、ロードマッピングの基本プロセスとフレームワークを理解する。市場・社会ニーズの分析(マーケットアプローチ)と技術・研究開発の分析(テクノロジーアプローチ)の手法を学び、ステークホルダーとの協働の重要性を考察することで、ロードマップの策定に必要な基礎的な視点を習得する。この段階では、受講生は自身の研究分野と社会・市場の関係を見つめ直し、技術ロードマップの活用可能性を認識することを目指す。
次に、中盤(第7回~第9回)では、実践的なロードマップ構築演習が中心となる。グループワークを通じて、課題テーマを設定し、現状分析、市場・技術動向の整理、ステークホルダーの特定を行った後、ロードマップの骨格を作成する。さらに、具体的な技術開発計画や研究プロジェクトのスケジュール策定、リソース・リスク分析を行い、ロードマップの現実的な運用方法について学ぶ。このフェーズでは、研究の実行可能性を高めるための戦略的な視点を養い、計画策定のプロセスを実践的に体験する。
授業の後半(第10回~第12回)では、ロードマップの実践活用をテーマに、イノベーション創出とロードマップ運用の関連性、知的財産戦略との統合、数理モデル・デジタルツールを活用した未来予測など、より高度なロードマッピングの応用技術を学ぶ。これにより、ロードマップの策定だけでなく、それを適切に活用し、定期的に更新しながら持続的に活用する能力を養成する。
最後に、第13回~第15回では、グループワークの成果発表会を実施し、受講生が作成したロードマップのレビューと改善を行う。プレゼンテーションを通じて、ロードマップの構造や内容を第三者にわかりやすく伝える技術を磨くとともに、他分野の意見を取り入れながらブラッシュアップを図る。最終回では、授業全体の振り返りを行い、ロードマップを今後の研究やキャリアにどう活かしていくかを検討し、技術ロードマッピングの実践的な運用能力を確立することを目指す。
項目
内容
授業時間外学習
備考
第1回
イントロダクション - 技術ロードマッピングとは
・授業全体の進め方や評価方法の説明
・技術ロードマッピングの概要(定義、目的、歴史的背景など)
・受講生の自己紹介・研究分野紹介
復習(6時間分)のためのアサイメント
第2回
ロードマップの役割・活用事例
・企業・研究機関におけるロードマップ活用の国内外事例紹介
・成功事例・失敗事例から学ぶ、ロードマップ策定の課題と効果
・イノベーション・経営戦略論とのつながり(初心者向け概説)
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第3回
ロードマッピングの基本プロセスとフレームワーク
・ロードマッピングの典型的なプロセス(準備→分析→構築→実行→更新)
・製品ロードマップ・技術ロードマップ・事業ロードマップなどの種類と違い
・フレームワーク例(T-Plan、S-curve、3層モデルなど)の紹介
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第4回
社会ニーズの分析(マーケットアプローチ)
・市場動向調査、顧客ニーズ分析、社会課題の把握方法
・データ分析や文献調査、トレンド分析の基本手法
・シナリオプランニングの簡易版を用いた未来予測
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第5回
技術・研究開発の分析(テクノロジーアプローチ)
・技術の進化パターン、技術ポートフォリオ分析、特許分析の基礎
・SカーブやTRL(Technology Readiness Level)の概念
・異分野融合・学際的視点を取り入れるための手法
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第6回
ステークホルダー分析とロードマッピングにおける協働
・ステークホルダーの特定と分析手法(パワー・インタレストマトリクス等)
・学内外、産学官連携における協働の重要性
・ステークホルダーを巻き込み、意見調整しながらロードマップを策定する進め方
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第7回
ロードマップ構築演習① - テーマ設定・現状分析
・グループ演習(複数の専門分野でチームを組成)
・課題テーマの設定(各チームが扱う分野や目標を検討)
・市場・技術動向の整理、ステークホルダーの洗い出し
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第8回
ロードマップ構築演習② - ロードマップの全体構造を描く
・各チームが設定したテーマについて、ロードマップの骨格(時間軸、マイルストーン、サブゴールなど)を策定
・3層モデル(市場・製品・技術)などを活用したロードマップの可視化
・相互フィードバックによる内容のブラッシュアップ
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第9回
ロードマップ構築演習③ - 詳細計画とリソース・リスク分析
・具体的な技術開発計画・研究プロジェクトスケジュールの設定
・必要なリソース(人材、設備、資金)とリスク(技術リスク、外部環境リスクなど)の洗い出し
・リスクマネジメントとロードマップ修正の考え方
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第10回
イノベーション創出とロードマップ運用の実際
・イノベーション理論の基礎(破壊的イノベーション、オープンイノベーション等)
・研究成果を社会実装につなげる際のロードマップ活用ポイント
・産学連携やスタートアップ支援などの運用事例
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第11回
知的財産戦略とロードマッピング
・知財戦略の基礎(特許、ライセンス、ノウハウ保護など)
・ロードマップ策定における知財視点の重要性
・事例紹介:特許マップを活用した技術ロードマップの高度化
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第12回
数理モデル・デジタルツールを活用した未来予測とロードマップ
・システムダイナミクス・AIを活用した技術動向予測の事例
・ロードマッピングに用いられるデジタルツール・ソフトウェアの紹介
・ビッグデータ解析・テキストマイニングを使った技術トレンド探索
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第13回
グループワーク成果発表会① - ロードマップ作成発表
・グループごとにロードマップの途中経過を発表(15~20分程度/グループ)
・他チームからのフィードバック、教員からのアドバイス
・プレゼンテーションスキル向上、ロードマップの見せ方・伝え方
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第14回
グループワーク成果発表会② - 完成版ロードマップのレビュー
・前回のフィードバックを踏まえて修正した完成版ロードマップを改めて発表
・相互評価・総合討論(研究の方向性、社会的意義、実行可能性など)
・全体を俯瞰し、技術ロードマッピングの難しさ・有効性を再確認
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第15回
まとめと今後の展望
・全授業の総括・振り返り
・ロードマップの活用と定期的な更新、評価手法の復習
・各受講生の今後の研究・キャリアにおけるロードマップ活用の可能性を検討
・受講生・教員双方からのコメント・質疑応答
復習(6時間分)のためのアサイメント
予習(2時間分)のためのアサイメント
第16回
まとめと今後の展望
・全授業の総括・振り返り
・ロードマップの活用と定期的な更新、評価手法の復習
・各受講生の今後の研究・キャリアにおけるロードマップ活用の可能性を検討
・受講生・教員双方からのコメント・質疑応答
復習(6時間分)のためのアサイメント
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 30% B: --% C: 30% D: 40%
成績評価法
グループワークの成果と最終課題レポートで評価します。
教科書にかかわる情報
備考
講義資料は、授業ごとに修学支援システムにアップロードします。
参考書にかかわる情報
備考
メッセージ
キーワード
持続可能な開発目標(SDGs)
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
関連科目
履修条件
連絡先
大島直樹 大学院技術経営研究科(常磐キャンパス)
nohshima@yamaguchi-u.ac.jp
オフィスアワー
毎週 金曜日、午前10時〜12時
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