山口大学教務システム - 8022100004-道徳教育の理論と実践Ａ

開講年度	開講学部等
2025	大学院教育学研究科（専門職学位課程）
開講学期	曜日時限	授業形態	AL（アクティブ・ラーニング）ポイント
後期	月1～4		7.0
時間割番号	科目名[英文名]			使用言語	単位数
8022100004	道徳教育の理論と実践Ａ[Moral Education : Theory and Practice A]			日本語	2
担当教員（責任）[ローマ字表記]					メディア授業
坂本　哲彦[SAKAMOTO Tetsuhiko]					ー
担当教員[ローマ字表記]
坂本　哲彦　[SAKAMOTO Tetsuhiko]
特定科目区分		対象学生		対象年次	1～
ディプロマ・ポリシーに関わる項目			カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)

授業の目的と概要

（現職教員院生対象）
　学校における道徳教育推進上の課題を取りあげ、受講生間でその実態について情報交換を行い、その解決をめざした議論を通して、正しい理解や実践の力量を高める。そのため、文部科学省や市町教育委員会の方針、原籍校の学校経営方針や目指す子ども像、小中一貫教育、地域連携教育等との関連を明確にした上で、道徳教育の効果的な推進について考える。特別の教科道徳（以下　道徳科）の実施においては、「道徳的行為の体験的な学習」「問題解決的な学習」「教科書教材」などに着目し、その特長を整理する。学習指導案の作成、模擬授業を通して、指導に必要な知識や技能を高める。またその振り返りを通して、新たな課題を見出す力を身に付ける。加えて学部卒院生との合同授業では、若手教員への指導の方法について考えを深め、その力量の向上を図る。道徳教育の推進、道徳科授業実践について研究を進めてきた担当教員が、その実務経験を活かして、様々な道徳教育推進上の課題や授業作りの工夫について、具体的かつ今日的な課題解決に資するような授業を展開する。

授業の到達目標

近年の道徳教育、道徳科授業実践等の諸課題について理解を深めるとともに、その解決の手立てについて実践的に考察することを通して、道徳教育の組織的な取組、道徳科の授業づくりに必要な知識や技能を高め、具現化できる。特に、県、市町教育委員会や学校の経営方針に基づいた道徳教育の推進方策等を考えることができる。さらに、道徳科については教材に応じて、授業展開の方法を開発し、改善を加えるとともに、多様な指導方法の工夫について理解を深めることができる。また、若手教員を対象に、指導案作り、模擬授業、研究協議において的確な指導ができる能力を高めることができる。

授業計画

【全体】

　道徳教育の今日的意義を踏まえ、県、市町教育委員会の方針、学校経営方針や小中一貫教育、地域連携教育を実現するための道徳教育の推進方法について考える。また、学習指導要領を踏まえて、道徳科の授業開発に必要な知識や技能を獲得する。教材の特質に応じ、授業展開の方法を工夫し改善を加え、模擬授業を通して授業実践できる力量を高める。加えて若手教員への指導力について、学部卒院生との合同授業を通して向上を図る。
授業形態：単独

	項目	内容	授業時間外学習	備考

第1回	◎オリエンテーション [合同実施]	〇ガイダンス相互交流・学校における道徳教育の意義、現状と課題	・自らの教育実践を道徳教育の視点から整理する。事前学習２時間。授業で学んだ道徳教育の意義等についてまとめる。事後学習２時間。

第2回

◎児童生徒を取り巻く社会の変化と学校における道徳教育

◯道徳教育の全体像
・道徳教育のあゆみ
・今日的課題と今後への展望
・学校経営方針と道徳教育
・道徳教育の全体計画

・原籍校の学校経営方針における道徳教育の位置づけについてまとめる。事前学習２時間。
・道徳教育の推進体制等についてまとめる。事後学習２時間。

第3回

◎コミュニティ・スクールとして推進する道徳教育

◯コミュニティ・スクールにおける道徳教育の推進
・道徳教育の全体計画と推進体制
・学校評価書における道徳教育の位置づけ
・家庭や地域と共にある道徳教育（コミュニティー・スクールとしての取組）

・学校評価書における道徳教育の位置づけについてまとめる。事前学習２時間。
・コミュニティ・スクールと道徳教育について再度検討し、まとめる。事後学習２時間。

第4回

◎小中一貫教育と道徳教育

〇小中一貫教育における道徳教育
・育む資質、能力
・道徳教育との関連
・小中一貫教育における道徳教育推進と道徳科授業実践

・小中一貫教育を推進する中での道徳教育の状況等についてまとめる。事前学習２時間。
・小中一貫教育での道徳教育の成果と課題をまとめる。事後学習２時間。

第5回

◎県、市町教育委員会が進める道徳教育

◯県、市町教育委員会が進める道徳教育の状況
・学校での道徳教育との関連
・他の教育活動との関連

・市町教育委員会の推進する道徳教育の状況についてまとめる。事前学習２時間。
・学校での道徳教育との関連についてまとめる。事後学習２時間。

第6回

◎県、市町教育委員会が進める道徳教育と地域連携教育

〇県、市町教育委員会が進める地域連携教育の状況
・地域連携教育における道徳教育の位置づけ
・地域連携カリキュラムと道徳教育
・家庭、地域における道徳教育

・県、市町教育委員会が推進する地域連携教育の状況についてまとめる。事前学習２時間。
・地域連携教育と各学校の道徳教育の関連についてまとめる。事後学習２時間。

第7回

◎学習指導要領における道徳教育

〇学習指導要領総則と道徳教育
・これまでの変遷
・道徳教育の位置づけ
・全体計画、年間指導計画
・豊かな体験活動の充実、現代的課題、いじめの防止

・学習指導要領における道徳教育の位置づけについてまとめる。事前学習２時間。
・道徳教育の課題についてまとめる。事後学習２時間。

第8回

◎道徳教育推進上の課題と各学校の取組

◯道徳教育実施状況調査における課題とその対応
・調査に見られる市町教育委員会の課題など
・幼稚園、小中学校、高等学校
・カリキュラム・マネジメント
・道徳教育アーカイブ

・道徳教育推進状況調査結果について成果と課題をまとめる。事前学習２時間
・各学校種における道徳教育の課題についてまとめる。事後学習２時間

第9回

◎道徳教育推進と道徳科の授業づくり

◯道徳教育における道徳科の位置づけ
・授業作りにおける今日的な課題
・主体的、対話的で深い学び
・個別最適な学び、協働的な学び
・道徳科授業作りのポイント

・授業作りの今日的な課題についてまとめる。事前学習２時間。
・道徳科の授業作りにおける原則等をまとめる。事後学習２時間。

第10回

◎教材を踏まえた指導過程の開発・検討１
◎学校運営協議会の開発
[合同実施]

◯模擬授業づくり、模擬学校運営協議会づくり
・授業プランの開発、※グループ（現職教員院生と学部卒院生との協働）で取り組む。学部卒院生からの問いに論理的に説明する。

・授業プラン作成のポイント等についてまとめる。模擬学校運営協議会づくりの事前学習２時間。
・作成した模擬授業プラン（指導案等）協議会案を再度検討する。事後学習２時間。

第11回

◎模擬授業の振り返りを踏まえた指導過程の開発・検討２
◎学校運営協議会の組織化（学校教育目標との関連等）
[合同実施]

◯模擬授業の実践①小学校　Aプラン　授業協議
〇模擬学校運営協議会の実践①小学校　Aプラン
・模擬協議会の実施と協議

・模擬授業の指導案（本事案）協議会進行案を再度検討しておく。事前学習２時間。
・模擬授業・協議会の内容を踏まえて、指導案（本事案）進行案を再度作成する。事後学習２時間。

第12回

◎模擬授業の振り返りを踏まえた指導過程の開発・検討３
◎学校運営協議会の組織化（全体計画との関連等）
[合同実施]

◯模擬授業の実践②小学校　Bプラン　授業協議
〇模擬学校運営協議会の実践②小学校　Bプラン
・模擬協議会の実施と協議

・模擬授業の指導案、協議会進行案等を再度検討しておく。事前学習２時間。
・模擬授業・協議会の内容を踏まえて、指導案（総案部分）進行案を作成する。事後学習２時間。

第13回

◎模擬授業の振り返りを踏まえた指導過程の開発・検討４
◎学校運営協議会の組織化（保護者、地域との連携等）
[合同実施]

◯模擬授業の実践③中学校　Aプラン　授業協議
〇模擬学校運営協議会の実践③中学校　Aプラン
・模擬協議会の実施と協議

・模擬授業の振り返りをまとめる。事前学習２時間。
・模擬授業・協議会の内容を踏まえて、推進上のポイントをまとめる。事後学習２時間。

第14回

◎模擬授業の振り返りを踏まえた指導過程の開発・検討５
◎学校運営協議会の組織化（小中一貫教育との関連等）
[合同実施]

◯模擬授業の実践④中学校　Bプラン　授業協議
〇模擬学校運営協議会の実践④中学校　Bプラン
・模擬協議会の実施と協議

・模擬授業の振り返りをまとめる。事前学習２時間。
・模擬授業・協議会の内容を踏まえて、推進上のポイントをまとめる。事後学習２時間。

第15回

◎学び全体を通して、地域連携教育、小中一貫教育、教職員研修等における道徳教育推進上の留意点
◎まとめと評価

◯道徳教育推進上の留意点
・道徳教育推進上の留意点の説明・検討
◯これまでの授業を振り返り、要点を整理及び総括する。課題レポート。

・道徳教育推進上の留意点についてまとめる。事前学習２時間。
・課題レポート作成６時間

※AL（アクティブ・ラーニング）欄に関する注
・授業全体で、AL（アクティブ・ラーニング）が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A：グループワーク】、【B：ディスカッション・ディベート】、【C：フィールドワーク（実験・実習、演習を含む）】、【D：プレゼンテーション】

A: 20%　B: 25%　C: 25%　D: --%

成績評価法

授業前後の事例収集、課題、小レポートなど　７０％、期末課題レポートなど　３０％

教科書にかかわる情報

教科書	書名	小学校学習指導要領(平成29年告示)解説　特別の教科　道徳編				ISBN	9784908255359
教科書	著者名	文部科学省 [編]	出版社	廣済堂あかつき				出版年	2018

教科書	書名	中学校学習指導要領(平成29年告示)解説　特別の教科　道徳編				ISBN	9784316300849
教科書	著者名	文部科学省 [編]	出版社	教育出版				出版年	2018

教科書	書名	高等学校学習指導要領（平成30年告示）解説　総則編				ISBN	9784491036397
教科書	著者名	文部科学省 [編]	出版社	東洋館出版社				出版年	2019

備考

特に定めないが、高等学校学習指導要領、関係省庁・山口県教育委員会等関係資料等を提示することがある。また、受講者の興味関心に基づきその都度提示する。

参考書にかかわる情報

参考書	書名	道徳教育の理論と実践				ISBN	9784623086009
参考書	著者名	上地完治編著	出版社	ミネルヴァ書房				出版年	2020

参考書	書名	幼稚園、小学校における新しい道徳教育				ISBN	9784762030888
参考書	著者名	日本道徳教育学会全集編集委員会 [ほか] 編著	出版社	学文社				出版年	2021

参考書	書名	道徳教育の変遷・展開・展望				ISBN	9784762030864
参考書	著者名	日本道徳教育学会全集編集委員会 [ほか] 編著	出版社	学文社				出版年	2021

参考書	書名	道徳性心理学 : 道徳教育のための心理学				ISBN	4762801712
参考書	著者名	日本道徳性心理学研究会編著	出版社	北大路書房				出版年	1992

参考書	書名	道徳授業のユニバーサルデザイン : 全員が楽しく「考える・わかる」道徳授業づくり				ISBN	9784491030401
参考書	著者名	坂本哲彦著	出版社	東洋館出版社				出版年	2014

備考

　特に定めない。

メッセージ

　自分が関わってきた道徳教育の実情を踏まえつつ、能動的に探究的実践研究等への参画を求める。

キーワード

　道徳教育、アクティブ・ラーニング、「考え，議論する道徳」、道徳的判断力、道徳的実践、自我関与、問題解決的な学習、道徳的行為の体験的な学習、評価、実務家教員

持続可能な開発目標（SDGs）

(教育)すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

メディア授業