タイトル

開講年度 開講学部等
2025 大学院技術経営研究科
開講学期 曜日時限 授業形態 AL(アクティブ・ラーニング)ポイント
後期分割 土7~12 講義 4.5
時間割番号 科目名[英文名] 使用言語 単位数
8062000006 ビジネスファイナンス特論[Advanced Course on Business Finance] 日本語 2
担当教員(責任)[ローマ字表記] メディア授業
松浦 良行[MATSUURA Yoshiyuki]
担当教員[ローマ字表記]
松浦 良行 [MATSUURA Yoshiyuki]
特定科目区分   対象学生   対象年次  
ディプロマ・ポリシーに関わる項目 カリキュラムマップ(授業科目とDPとの対応関係はこちらから閲覧できます)
授業の目的と概要
この特論では、企業の価値最大化を念頭に置いて、合理的かつ説得力のあるビジネスプラン策定と効率的な投資意思決定を行うために必要不可欠となる、ファイナンスの知識を実践的に習得していく。まず、価値最大化という目的関数の意味とその背後にある財務論の重要な諸仮定やロジックについて、コーポレートガバナンスとの関係で理解する。そのうえで、事業戦略と財務戦略の関係性や整合性について検討する。
 これを前提として、価値を高める事業開発の立案と説得力のある事業計画の策定に向けて、投資意思決定の三要素である、①ハードルレートの推定方法、②投資評価尺度の選択と利用、③プロジェクトの定義とプランニングについて実際の企業のデータを活用しながら検討していく。
 ①に関しては、主としてCAPM(資本資産価格モデル)を念頭に置いて株主資本コストを計算する事とあわせ、その前提となるファイナンスにおけるリスクの考え方も理解する。②に関しては、代表的尺度である投資収益率、回収期間、NPV、IRRおよびオプション価値について、計算方法に加えてそれぞれの特徴及び長所短所を習得していく。③に関しては、機会費用やシナジー効果など、意思決定時における検討範囲の確定法も議論する。これらを設例に即しながらグループワークによって習得していく。
授業の到達目標
標準的なバリュエーション尺度を用いて企業のポテンシャルを分析できる。
代表的な投資基準をベースとした一般的な投資評価を行うことができる。
仮想的かつ定量分析可能な仮想的なビジネスケースを構想できる。
授業計画
【全体】
本講義は、会計・エコノミクス特論で得た知識を前提として、ファイナンスにおいて想定されている企業目的である企業価値最大化を基礎として、財務論の構造を理解することからスタートする。その後、財務論における基本的分析枠組みであるリスクとリターンの概念を理解し、財務戦略と事業戦略の関係を議論する。得られた知識をより実践的に活用するために実際の企業の財務データや株価データを用いた分析を行う。
 さらに、代表的な投資評価尺度それぞれの特徴や限界、あるいは利用上の注意点などについて理解し、学生が自社の投資評価尺度のあり方などについて意見を述べることが出来るのみならず、実際に定量的に分析を行えるようにしていく。
項目 内容 授業時間外学習 備考
第1回 イントロダクション~企業目的と財務 ・事業の論理と財務の論理
・財務的な企業目的
予習・復習(4時間)
第2回 財務論における基礎概念 ・リスクとリターン
・経済的価値の考え方
予習・復習(4時間)
第3回 企業目的とステークホルダー ・経営者、株主、債権者の目的関数
・ステークホルダー間のコンフリクトとその解消
予習・復習(4時間)
第4回 事業戦略と財務戦略 ・事業リスクと財務リスク
・企業価値最大化と戦略
予習・復習(4時間)
第5回 事業のライフサイクルと財務問題 ・プロダクトライフサイクル
・事業ポートフォリオ
・配当問題
予習・復習(4時間)
第6回 リスクの基礎 ・リスクの計算
・リスクの分類と対処策
予習・復習(4時間)
第7回 資本コストとハードルレート(1) ・CAPMの意義とパラメータ
・データを利用したCAPMベータの推定
・回帰分析の推定値の利用法
予習・復習(4時間)
第8回 資本コストとハードルレート(2) ・リスクプレミアムの種類
・ファンダメンタルベータの推定に当たっての必要項目(事業内容、事業リスク、財務レバレッジ)
予習・復習(4時間)
第9回 資本コストとハードルレート(3) ・負債コストの推定
・総資本コストの推定
予習・復習(4時間)
第10回 投資リターン測定の基礎 ・投資意思決定に必要な要素
・代表的投資評価尺度
・会計数値とキャッシュフローの関係
予習・復習(4時間)
第11回 代表的投資評価尺度(1) ・会計数値ベース投資評価尺度の計算方法
・会計数値ベースの投資評価尺度の限界と活用方法
・回収期間法の限界と活用法
予習・復習(4時間)
第12回 代表的投資評価尺度(2) ・NPVの理論的基礎
・NPVの計算方法
・IRRの理論的基礎
・NPVとIRRの関係
予習・復習(4時間)
第13回 副次的コスト・ベネフィット ・機会費用
・シナジー効果
・オプション価値
予習・復習(4時間)
第14回 事業価値分析演習(1) ・具体的な設例に基づいて事業予測を行う 予習・復習(4時間)
第15回 事業価値分析演習(2) ・具体的な設例に基づいて事業予測を行う
・分析結果の発表と議論
予習・復習(4時間)
※AL(アクティブ・ラーニング)欄に関する注
・授業全体で、AL(アクティブ・ラーニング)が占める時間の割合を、それぞれの項目ごとに示しています。
・A〜Dのアルファベットは、以下の学修形態を指しています。
【A:グループワーク】、【B:ディスカッション・ディベート】、【C:フィールドワーク(実験・実習、演習を含む)】、【D:プレゼンテーション】
A: 35% B: --% C: --% D: 10%
成績評価法
講義への参加度;60%、期末リポート:40%
教科書にかかわる情報
備考
当方で講義資料を準備します。
参考書にかかわる情報
参考書 書名 コーポレート・ファイナンス-戦略と応用- ISBN 4492601031
著者名 アスワス・ダモダラン 出版社 東洋経済新報社 出版年 2001
備考
参考書として記載したものは、配布する予定の講義資料のベースとなっているものです。じっくりと復習して体系的にファイナンスを学ばれたい方は、ご購入ください。なお、基本的な表計算ソフトの関数の利用法を理解していることが前提となるので、表計算ソフトの利用になれていない方は事前に関連書籍でマスターしておいてください。
メッセージ
ファイナンスの考え方は、一旦理解してしまえば極めてシンプルです。また、経営に関連する諸領域での十分な知識と洞察力があってこそ、本当に意味のある数値化、また議論が出来ます。逆にそれがない状態での財務数値の議論は無味乾燥なものに感じられてしまいますので、他の科目で学んできたことをいかにして数値に翻訳できるかという姿勢で臨んでください。
 会計・エコノミクス特論で習得した基礎知識を踏まえ、実務において実践できるようにするために、講義内外で何人かのグループを編成してもらい、かなりの作業を行いながらスキルや考え方を体得していきます。不明な点があればお答えしますが、ロジックを体得するためにもできるだけ皆さんで試行錯誤しながら行ってください。あわせて、毎回宿題として簡単なクイズを出し、次回講義の冒頭で解説も合わせた振り返りを行う予定です。
キーワード
企業財務、資本市場、投資尺度、業績評価、資本コスト、管理会計
持続可能な開発目標(SDGs)

  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
(経済成長と雇用)包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(インフラ、産業化、イノベーション)強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
関連科目
『会計・エコノミクス特論』は本講義の基礎となる科目ですので、本講義受講の前提となります。ともに私の担当科目ですので、当該講義でのみなさんの理解度などを見ながら、本講義での講義内容は微調整していく予定です。
履修条件
連絡先
matu@yamaguchi-u.ac.jp(内線9947)
オフィスアワー
特に設定しませんが、基本的に講義の前後で問い合わせには対応いたします。事前にメールをください。

ページの先頭へ